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マジシャンにあこがれて
子供の頃、憧れた職業があった。
魔法使いのような、華やかなステージ。
見るものを虜にする、魅惑のエンターテインメント。
…俺は、マジシャンになりたかった。
来る日も来る日も…画用紙でこしらえた指サックをポケットに忍ばせ、トレーニングをした。
何度も何度も図書館で本を借り、知識を増やした。
しかし…夢に破れ。
俺はただのしがない一般人になった。
「今度の子供事業…なんかいい案ない?」
「無料でできて時間稼ぎできるようなやつがいいな…」
ひょんなことから、昔取った杵柄を披露することになり。
「すごい!」
「もう一回やって!」
「カッコいい!」
「ものすごい特技じゃないか!」
「慰労会もお願いね!」
今、俺は夢を叶え…輝いている。




