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ニューワールド・ファンタズム  作者: 乙川せつ
第一部-ニューワールド編

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98/212

幸福崩壊

「テツ? アリスさん? これはどういう事かしら?」

 

ログアウトから十数分後。俺、アリス、ウェスタの三人は母さんに正座させられていた。


「いや、その、これは………」


「お母様………」


「あれ、これってオレのせい?」


「ううん、ウェスタ君のせいじゃないのよ。今は二人に聞いてるの」


母さんからの圧が強くなる。闘気による殺気よりよっぽど怖い…………。

そういう特殊な魔法も沢山見て来たけど、母さん。それを超えるってどうなんですか。


「あの世界で結婚して、子作りしてました………!」

「はい、致しました!」


「よろしい。最初からちゃんと言いなさい。まったく……ウェスタ君……こんなおばあちゃんだけど、よろしくね?」


「……うん、ばあちゃん!」


「ウェスタ」


「どうした? 母さん」


「…………ここで暮らす? その……家族みんなで」


「……いいの?」


「もちろんだ。息子なんだから」


「ああ……ありがとう!」


これで二世帯同居になっちまったなぁ…………。

そして、新しい生活が始まる―――はずだった。

俺達が普通に暮らし、普通に生きるという生活を送れていたのは、正しくこの時まで。

笑っていた瞬間、俺とアリス、ウェスタの足元に黒い穴が発生した。

無論床が抜けたというようなものではない。【次元の穴】だ。


「なんだ……これ‥‥⁉」


「アル!」


徐々に下に引っ張られていく。どこかに、落ちていく。


「テツ、アリスさん! ウェスタ君!」


「クソ……【もう】かよ……親父!」


「⁉」


「今から行くのは【アースリア】だ!」


「? 何を言って―――」


「あの世界じゃない。本当の異世界!」


「異世界………⁉」


ゲームでもない、本当の異世界。それは、本当にあるのか?


「この先、困ったら【ゼウス】を頼るんだ!」


「創造神ゼウス――⁉」


「いいか、絶対に、――……の、神、だけには――――!」


言葉の途中で、ウェスタが穴に取り込まれてしまった。これは、どうしようもないみたいだ。


「アリス!」


「アル‥‥うん、分かってる」


『きっと、また会えるから!』


言葉が重なったのを最後に、景色が暗闇に落ちた。


異世界転生というやつか。もしくは転移か。どちらにせよ、まず優先すべきことはアリス、ウェスタとの合流だ。しかし、身体の感覚がない。


―――俺、どうなってるんだ? お、目があいた。ん? 今、どうやって開けた?


…………知らない場所だ。ボロボロの宿ってところか。アースリアの宿に似てるけど、少し違う…………。あれ、立った。歩いてる…………。


そうだ、身体が勝手に動いているんだ。なんだ、ギルガメッシュに操られでもしたのか?


お、鏡だ。


「ふぁ……まだ眠いなぁ……けど、頑張らなくちゃ」


鏡に映るのは、銀髪碧眼の少年。推定年齢十四歳ほど。



――――――…………誰?




次回からいよいよ物語が動き出します。

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