優しさ
ギルガメッシュとの決着から数か月後。
もうNF攻略から一年半が経過していた。
シズクとセナはそれぞれの家に帰っている。
「アル~、これなんですか~?」
「ん?」
アリスが段ボールを運んでくる。
覚えはないが、置き配できたようだ。
「なんだろ、これ‥‥」
「開けてみよっか」
カッターで開けてみると、白い箱が四つ出てきた。
「‥‥ゲームか? 【ミーティア】‥‥今度出る予定のやつじゃん」
「どうしてうちに?」
「あっ、懸賞って書いてある」
「兄さん、どうしたの?」
「おー優也、ミーティアってのが届いたんだけど知ってるか?」
「あ、それ僕だよ」
優也だったのか。
珍しいこともあるもんだな。
「応募したのか?」
「うん。その……」
「「?」」
「ゲーム内でキャンペーンクエストをクリアすると、ハワイ旅行があるんだ‥‥」
「「ハワイ⁉」」
ワイハ⁉
「それで、みんなで行きたくて‥‥」
「なるほどな! いいことするじゃないか、この可愛い奴め!」
「あはは、まあ、これもVR系だけど」
「優也君、どんなの?」
「バーチャルフルリアリティって書いてありましたね。現実世界を完全再現したCG世界にダイブするらしいけど‥‥あ、モンスターを狩るやつ」
結構面白そうだな。
またVRゲームだけど、これはそんなヤバいやつじゃなさそうだし。
「じゃあ、早速やってみるか!」
「あ、βテストは明日からね」
「なっ‥‥」ガクッ
「アル、そんな落ち込まなくても‥‥」
「兄さんはゲーム中毒だからね、面白そうなのは早くやりたいんだよ」
「…………」
「まあまあ、アル、膝枕してあげますから」
「…………うん」
(…………アルが膝枕させてくれた⁉)
アリスの足は柔らかい。
人工筋肉、人工皮膚で本物の人間と変わらない。
これが俺の嫁だ。
(…………いい匂いだな)
ふと、記憶が蘇る。
あの時、アリスとデートしたときの記憶。
本当にアリスは、優しいなぁ‥‥。
「…………ん?」
枕――アリスの脚が消えた。
そして、隣に気配が動く。
「…………アリス‥‥?」
目を開けると、目の前にアリスの顔が。
俺の隣に寝ていたのだ。
(…………まったく、こういうところは変わらないなぁ‥‥)




