蒼の奇跡編プロローグ-二人の剣士-
時系列的には第一部の結婚した2週間です。
俺とアリスが結婚した直後のことだった。
いきなりマティリス・クランの皆さんが襲撃?してきたのだ。
「アリスさん! 遂にやったんですね!」
「うん、アドバイス通り押してみた!」
「そうそう、それがいいんですよ。アリスさんみたいな美人に押されたら誰でも落ちます!」
「ありがとね!」
アリスと女性陣は楽しそうに話している。
しかし、俺は男性陣に詰め寄られていた。
「貴様……もしアリス様を泣かせたら………分かっているな?」
「は、はいっ!」
「だが、お前の実力は俺達だって知ってる。俺達の姫を、頼むぜ」
彼らは本気でアリスを心配しているようだった。
なら、俺は―――、
「………ああ、任せろ」
「そうだ、一つ気になることがあったんだけど」
「何だ?」
「お前、ユニークスキル二つ目か?」
「あ」
そういえば、みんなの前で《二刀流》使っちゃった…………。
「どうなんだよ」
「…………ユニークスキルだよ、二刀流の……二つ目だ」
「へーっ、史上初じゃないか二つ目なんて」
「ディオンさんや天使だって一つなのに……お前いったい何者?」
「あ、ははは…………」
(流石にギルガメッシュの記憶があるなんて言えない‥‥)
「神殺しなんてディオンさんもやったことないからな。お前が名実ともに【最強の冒険者】だ」
「…………」
(最強、か…………)
ここまで来たよ。
父さん、爺ちゃん‥‥母さん。
俺、追いつけたのかな。勇者より強くなれたのかな?
頑張るから。二人が残した平和を、繋いでみせるから。
だから、見ててね。俺の、冒険を。
「アルアイルさん」
「あっ、ごめん。考え事してた」
「まったく‥‥というか、うちに入るつもりは本当にないんですか?」
「えぇ?」
「それは私も聞きたいな」
そう言ったのは聖騎士ディオンだった。
マティリス・クラン団長‥‥。俺が唯一、一度負けた男。
「クランに入るつもりはないですよ。俺は今まで通りソロでやります」
「アリスはそう思ってはないみたいだが?」
「?」
「君と二人で攻略することを楽しみにしているようだった」
「あー‥‥それはそれ、これはこれってことで‥‥」
「強欲だな‥‥どうだろう。やはりうちに入ってみないか?」
「すいません」
「だろうね‥‥君の信念は強さでもあるが、弱さでもある。アリスを、頼ってくれ」
「…………はい」
強くなっても、俺は未熟者みたいだ。
若いなぁ…………俺。
「それはそうと、君達いったいどこで暮らすつもりだい?」
「家?」
「アリスはうちの寮に住んでいるんだよ」
「俺の家はかなり広いですから、大丈夫だと思いますけど」
「そうかい? もしかしてアルタイル君、かなり豪勢な家に?」
「そうですかね。一千万ぐらいでしたよ?」
『⁉』
「えっ、皆さんどうしたんですか?」
「い、一千万の、家、に暮らすぅ…………」
アリスは顔が赤くなっている。
なにか変なこと言っただろうか。
「君、ソロでそんなに稼いでるのか⁉」
「えっ、まあ…………最前線ですし、山分けもないですから…………」
「羨ましいぃ…………!」
「まぁまぁ、彼は実力があるから」
「くっ、世の中不平等だぜ!」
「ああ、そうだ」
俺は、意外と金がある。
だけど、友は少ない。
この影は、アリスという光によって消え去った。
「アリス」
「アル、どうしたの?」
「いや、これからよろしくなって」
「………ふふっ。うん、よろしくね…………アル」
その笑顔は、本当に美しかった。
次回より本編始動です。




