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ニューワールド・ファンタズム  作者: 乙川せつ
第一部-ニューワールド編

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93/212

相棒、《ナイトプレート》

一話完結の短編です。

三本の剣の中で唯一明かされなかったゲット話。

《ナイトプレート》。

それは黒き剣士の象徴の一つ。

黒い肉厚の刀身を持った片手剣。


その秘話をここに。


それは、僕が冒険者登録をしてすぐのことだった。

ただ、剣を求めて鍛冶屋によった。

それだけだったのに。


「おい! もっといい武器は作れねぇのか!」

「あんたの料金じゃそれが限界だよ、それとも、自分で素材取ってきてくれるのかい?」

「こんの‥‥こちとら武器に命預けてんだぞ‥‥!」

「だからなんだい、ベリアス武具店はサービスなしだぜ?」


客と店主だろうか。

何かもめているようだが。

触らぬ神に祟りなし、僕は武器を見てまわる。

‥‥腕はいいようだ。

素人の目から見てもそれは確か。

だけど‥‥性格に難ありか? あれ‥‥。


「…………だーっ、分かったよ、じゃあこれでどうだ!」


女性店主が一本の剣を指し示す。


「…………おい、まさか…………」


その黒い剣は‥‥漬物石ほどの岩に突き刺さっていた。


(なんだ、あれ‥‥)


「あれを抜けたら値引きしてやるよ」

「…………言ったな?」


冒険者の男はニヤッと笑い、その剣に手を伸ばす。


「冒険者を舐めたな、性悪鍛冶師‥‥!」


男が力を入れて引き抜こうとした。

だが


「なんだこいつ‥‥ビクともしねぇ‥‥⁉」

「その剣は三百年その調子よ」

「三百⁉」

「私が生まれる前に、父の元に勇者が置いていったらしいわ」

「クソがあああああああああああああああああッ!!!!」


大声は消え、疲労した男は壁によりかかる。

欲しい。

僕は、あの剣が欲しい。


「残念だったわね、ま、諦めて借金でもしてくることね」

「あの…」

「ん、いらっしゃい! 初めての人?」

「はい‥‥」

「どんな剣をお求め?」

「それを‥‥」


僕は迷わず、黒い剣を指さした。


「あー‥‥お客さん、それは無理よ、売れる売れないじゃなくて、抜けないから―――――――――」


その言葉が終わる前に、僕は手を伸ばしていた。


「ちょっと⁉」


さぁ、僕と行こう―――――――――――――。


ああ、共に行くぞ。我が永遠の主よ。我が名は―――――――――――――


え?‥‥僕も疲れてるのかな‥‥剣が喋るわけはないのに―――――――――――――けど、


「嘘…………本当に抜いちゃった…………⁉」


僕の手に、《ナイトプレート》があることは、紛れもない事実だ。


「よろしくな、ナイトプレート」

「⁉ あんた…………なんでその剣の名前を…………」

「…………この剣が教えてくれたから」

「…………お客さん、値段の話だけど‥‥」

「あ、そうですよね。おいくらですか?」


女店主は壁に寄りかかっている男がした顔と同じように笑い、


「その剣は無料タダであげるわ」

「えっ、いいんですか⁉」

「ただし! これからも、ベリアス武具店をよろしく!」

「…………はい!」


◇◇◇


僕が店を出た後。


「ほら、立ちなさいよ」

「ああ‥‥」

「…………気分がいいから、剣、特別サービスしてあげてもいいけど?」

「ほんとか⁉」

「ええ‥‥あの子の瞳を見て思い出したの…………私、ただいい剣を打ちたいだけなのよ」

「お前…………惚れたのか? あの子供ガキに…………」

「なっ‥‥⁉ そ、そんなワケないでしょ! …………こんなおばさん、拾うほど、追い込まれてないでしょうよ、あの子は―――――――――――――」


(――――――――多分あの子は、冒険者どころじゃなく、英雄とんでもないおおものになるわね)


私は、心で未来を予想した。


(きっとあの子の周りには、可愛い女の子が集まるわね…………そう、とんでもない子たちが‥‥)


◇◇◇


「せああああああっ!」


片手四連撃、《エクシア》。

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