【第二部最終話】終末の空白・限りなき一歩
大変お待たせしました。最終話です。
「最後に話がある」
「…………分かった」
ギルガメッシュに向き直る。
「それじゃあ、あの場所がいいよね?」
流川が指パッチンすると、世界が消えて空白が残った。
「二度目だな、ここに来るのは‥‥それで、何なんだ?ギルガメッシュ」
「…………」
ギルガメッシュは言いにくそうな顔をする。
「はやく言っちゃいなよ。融合して元に戻りたいって」
そう言ったのはエンキドゥだった。
「何を言っている、エンキドゥ!」
「だって、あからさますぎるでしょ。旦那様の敵対心を煽って戦うだなんて‥‥勝って止めてくれって言っているようなものじゃない。‥‥もしかして君、ヤンデレ系ヒロインだったの?」
「プッ…………」
「くくっ‥‥」
「ひひっ」
俺以外のみんなが笑いを堪えて腹を押さえる。
「ええい黙れ!‥‥ああそうだ!オレはお前と同化する!」
「…………分かった。来い」
「随分と軽いな」
「もう慣れたよ」
「慣れたくはないな。そんなこと」
「…………共有したいことはいっぱいあるよ‥‥本当に‥‥たくさん‥‥」
「………では、またな。下郎」
そう言ってギルガメッシュは消えていった。
「次は私の番だね」
流川大智。
「まだ何かあるのか?」
「酷いじゃないか。僕にだってあるさ‥‥君に伝えたいこと‥‥それは――‥‥アリスを頼んだよ」
直後に奴は消えた。
そして呆気にとられた心を戻してアリスの表情をうかがうと、その顔は唖然としていた。
親父が口を開く。
「あの男にとって、アリスさんは娘のようなものだったのだろう‥‥‥そしてこうも言いたげだった。『ごめんよ』と。」
「…………!」
アリスの瞳に涙が浮かんだ。
その姿は父との別れを悲しむ子供のよう。
そしてアリスが泣いた理由はもう一つ。
《ニューワールド・ファンタズム》の世界はもうないと実感したからだ。
アリスにはあの世界で仲のいい人が大勢いた。その中にはNPCもいただろう。
「‥‥うっ、うぅ‥‥」
「アリス」
「アル‥‥――――‥‥うわぁーん!」
アリスは俺の胸の中で泣いた。
大きな声で。
こういう姿を見るのは初めてだな。
そしてまた、一つの世界は消えていく――――――――――。
ピコン
≫一件のメールが届きました。
――――――お前の脳にオレ達の最大戦闘能力に耐えられるよう、一つの力を与えた。
その名は―――――
《神加速方法》
究極の神速‥‥か。
無論肉体上限のないフルダイブ空間でしか使用できないが一瞬だけなら―――いや、考えないでおこう。
その能力は名前の通りあらゆる速度を究極の神速に加速する能力。
仮想体の基本速度を上昇させる《ソニックアクセル》
思考速度を一千倍に加速させる《ブーストアクセル》
この二つを融合した本当の神速。
―――――これでやっと、アリスとシズクに追いつけるかな‥‥。
剣速で言ったら俺は二人の足元にも及ばない。
俺はほら、色々チート使ってるし。
《二刀流》とか、《アクセル系統》とか、〝飛天〟とか。
◇◇◇
「…………」
帰ってきた‥‥この世界に。
「アル」
「アナタ」
「ん、どうした? アリス、シズク」
二人は身体をもじもじとしながら‥‥。
「「…………膝枕、してくれない?」」
「⁉ ふふふ二人とも何言ってんだ⁉」
「ちょっと、ね‥‥」
「おねがい」
「…………あー、んー‥‥今回だけだぞ‥‥?」
二人はコクコクと頷いた。
ソファーに座る俺の膝元に、二人の頭が預けられる。
「…………どうしたんだ?‥‥二人とも」
「…………怖かったの」
「何が―――――あっ」
「ギルガメッシュが言っていたじゃない、死ぬって‥‥」
「いや多分、あれはハッタリ‥‥だと思うけど‥‥いや、そうだと信じたい‥‥」
「それでも、アルが死ぬんじゃないかって、怖かったの‥‥!」
「そうよ‥‥アナタ、自分が死んだらどうなるかぐらい考えなさい‥‥!」
ぐっとくるものを堪えて、
「…………ごめんな、二人とも‥‥」
「いいよ、このままいさせてくれれば」
「私も‥‥今日だけは甘えさせて」
「‥‥おう」
お帰り、俺の日常。
さようなら、寂しい人生。
さようなら、ギルガメッシュ。
さようなら、《父さん》、《母さん》、《爺ちゃん》。
そしてさようなら、《アリエル》。
俺の名前は、星川鉄也。
又の名をギルガメッシュ。
そして又の名を――――――――――黒き剣士、アルタイル。
ここまで付き合ってくださってありがとうございました!
急ぎまくった第二部最終回ですが、作者の私情でこうなってしまったことをお詫びいたします。
そして第三部連載再開は2025年1月30日。
第三部【蒼の奇跡/邪悪な正義編】、乞うご期待!




