表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/182

竜の魂

俺はマティリス・クランの前に立っていた。


「でか……」


本拠地が大きすぎる。ここの試験を受けるのか。

中に入るとすぐに説明がされた。試験の内容は試験官相手に一本をとれば合格。ルールは決闘方式。いわゆるデュエル。


「あなたは一番最後です」


三十六人の最後。時間がかかるな。と思っていたその矢先。


「始め!」


最初の試験が始まる。受験者は鎧を装備した騎士。そして相手は《閃光》、《アリス=フリューレ》。それは一瞬だった。そのレイピアの先端は、騎士の顔数センチで止まっていた。


「勝負あり!失格!」


騎士はトボトボと去っていく。他には格闘家、魔法使い、戦士、弓使い等々の新人が全員失格となった。そして僕の番。


「お願いします!」


「うん」


「始め!」


さっきまでの人達と同じ様に、その細剣は顔の前に接近する。しかし


「⁉」


片手剣反撃技 《リバーサル》。爆音と共に剣を弾く。


「防いだ⁉」


咄嗟の反応で防御が間に合った。そして僕は剣を緩めに下段に構える。女剣士は中段に構える。


「アアッ!」


「セイッ!」


その剣撃はぶつかり、お互いに弾かれる。僕は 《エクシア》の構えを取る。そして駆け出す。

空中に飛び上がり、エクシアではなく、上段垂直斬りを発動。 《グランツ》。


「……」


バックステップで躱された。


「誰かに似てると思ったらアースの剣筋にそっくり」


「まあ、教えてもらいましたから」


「やっぱり。それなら少し本気でいくよ」


黄金の髪が揺らぎ、青い瞳が一層光を強める。彼女は突進技を放ってきた。そして僕は受け止めきれずに吹っ飛ぶ。何とか剣を地面に突き刺して体制を整える。


「くっ……」


「―――――諦めたら?」


彼女の何気ない一言。僕の中に何かが走る。

僕は昔から冒険者になりたかった。父と祖父の冒険譚の読み聞かせ。

そして俺は……英雄に憧れた。諦めてたまるか。――これは、俺の物語だ。


「う…………おおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ‼」


身体から闘気が吹き荒れる。


「なに……この圧――」


「来い……〝神威〟!」


ソニックブームを起こしながら扉を通り、廊下を通り、それは俺の前に現れた。


「弱者が覚悟を決めたのだ………強者に敗れる筋合いはない…………行くぞ、第二ラウンドだ」


炎を発動した状態で神威を引き抜く。赤炎を纏い、更に闘気を練る。


「――――――――〝飛剣纏い〟」


刀から溢れ出る炎を刃に集め、そのまま剣技を発動。炎の内側で刀身が水色に輝く。


「う、らあッ!」


片手四連撃 《エクシア》。刀の利点は三つ。速さと切れ味、そして《両手剣技と片手剣技の二つを使用可能》。エクシアを弾かれ、一瞬の硬直の後、俺は両手単発切り上げ《リンクス》を発動。左下から右上に向かって切り上げる。

そして俺は自分でも驚くほど一瞬で納刀した。

自分の意識を無限とも思える世界に広げて――――――――――――。


英雄剣術・気配の極意

《居合領域》


目を閉じて、気配を感じる。集中、集中―――!

ボッ。

俺の世界に、入ってきた。

「セアッ!」

炎を纏った刀身が奔る。


英雄剣術・抜刀の極意 《神速一刀》


刀の特徴は、その切れ味!


「セアアアアアアッ!」


熱で脆くなった量産品の細剣を叩き切り、首に刃を突き付ける。


「勝負あり!勝者、アルタイル=アリエル!」


「……あれ?」


緊張の糸が切れた俺は、地面に倒れてしまった。


これは……夢?


女性に手を引かれて森を歩く……貴方は――――――――!


「……ここは……」


「目が覚めたか」


「アースさん……」


「立てるか?」


「はい……」


「行くぞ」


「……どこに……?」


「主神のところへ」


部屋に入るとそこには女剣士、審判二人、そして主神 《マティリス》。


「来たか。……単刀直入に聞こう。アルタイル・アリエル、君は何者だ」


「質問の意味が分かりません」


「それでは質問を変えよう。君の炎は一体なんだ?」


「それはこの刀の能力ですけど……」


「そうか。それでは結果を発表しよう。不合格だ」


「そうですか……失礼しました」


俺はその部屋を出て、本拠地を出る。その後の部屋では。


「アイナ、彼のステータスは見れたか」


「ああ、見えた」


アイナと呼ばれた審判の女性。


「彼のスキルは三つ。《剣技》。《闘気》。……そして、《英雄之炎リオネルフレイム》」


「まずは彼の闘気だが、あの威圧感だな」


「うん、気圧されるところだった」


アリスがコクッ、と頷く。


「そしてその総量は想像もつかない。」


「それに彼の炎、あれは武器の能力などではない。確かに刀がトリガーとなっているが発動しているのは彼自身のスキルだ」


「《ユニークスキル》……か」


「それにどっかの誰かさんが教えた剣術」


「うっ……」


(それに、あの魂……)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ