エンキドゥは語る
いつかは宣言をした俺は最低だと思う。
うん、自分でもそう思う。
ごめん。
「僕を忘れてもらっては困るなぁ」
「え――」
「エンキドゥさん⁉」
俺のスマホに映るのはあの世界で出会った少女、エンキドゥだ。
「…………どちら様?」
シズクの問いに
「ギルガメッシュ時代に一緒に戦ったAIだよ」
「まさか英雄の証拠品まで出てくるとはね………」
「どういうことだよ」
「あの世界でエンキドゥと名付けられた人間は2週間で死ぬの。だからこうしている時点で証明になっているのよ」
「へー、そんな忌み名みたいな感じなんだなー」
「失礼しちゃうよね、まったく」
ぷんぷんと怒るエンキドゥは、とても優秀な相棒だった。
ギルガメッシュ時代ではよく助けられたものだ。
「というか、こんな有名な話を知らないなんて、あなたどういう暮らしをしてたのよ」
「ん?7歳の時に母さんが死んで、10歳の時に爺ちゃんと父さんが死んで………14歳まで一人で森に暮らしてたな」
「…………色々あったのね」
「ああ」
「はいちょっとストーップ」
アリスが静止する。
止められたシズクがちょっとムスッとしている。
エンキドゥはつい1週間前にデータ解凍が終わったのだ。
流石にデータ量がとんでもなかったよ。
「あ、そういえば旦那様、僕もそろそろMMOに入れそうだよ」
「お、それじゃあ一緒に行くか」
「うん!」
「そういえば、貴方って何者なの?」
「?」
シズクの問いに戸惑う。
「何者って?」
「ほら、貴方の両親の事とか」
「ああ、俺の父さんと爺ちゃんは《勇者》だよ」
「えっ?」
「で、母さんは父さんのパーティーメンバーで………」
「ちょっと待って。貴方、《勇者》の息子なの?」
「ああ」
「あのコスモスター親子の?」
「うん」
「…………道理であの強さ………納得がいったわ。………けど、もう一つ」
「なんだよ」
「ギルガメッシュ、なんで二重人格みたいになっていたのよ」
「あー、それは多分………」
「僕の仕組みだね」
そう言ったのはエンキドゥ。
「仕組み?」
「そ。旦那様が覚醒したら戦いのサポートが出来るように神威にギルガメシュの記憶を移しておいたのさ」
「移すて」
「それが覚醒と同時に旦那様と同化して記憶が徐々に蘇ったんだと思うよ?」
「…………そうなの?」
俺はその長い記憶の事だと気が付き
「ああ、ギルガメシュの記憶ならある。だけど、ゼウス討伐辺りから記憶があやふやなんだよな………」
「それは多分、ギルガメシュ本人がそうしたんだろうね」
「?」
「あの頃の君は頑固でね。死ぬ前に自分が伝説にならないように必死に隠蔽しようとしていたんだけど、誰も我慢できずに後世に伝える物語を描いたのさ」
「アルらしいですね」
「ええ」
「そうですね」
「えー…………」
俺そんなに頑固かなー?
「けど、完全顕現出来るようになってからは面白そうな時に出てきてたみたいだけどね」
「面白い状況じゃなかったぞ…………」
少なくとも俺にとっては。
「気がついたら目の前で倒れてる人がいるんだぞ、ホラーだろ」
「あはは………」




