雷魔法と…………ゲーム内宗教?
切断・改…………。
あまりにも早すぎる。
エクストラスキル、それはNFではユニークを除いて、最上位のスキルだった。
なのにプレイして数時間で会得できるものなのだろうか…………。
「ねぇ、アル、これ何かな?」
「ん?」
「…………《雷魔法》」
メニューに記されたそれは、《魔法》。
俺達、魔術師じゃないんだけど………。
三人が同じ属性魔法を持っているらしい。
「チュートリアル飛ばしたからなぁ…………」
試しにチュートリアル画面を開くと、簡単な説明文があった。
勇者の紋章
右手の甲に刻まれている勇者の証。
魔法を付与し、一度だけ無工程で発動できる。
念じることで発現。
「念じる…………」
―――出てこい…………。
仮想体の神経が総動員し、手の甲に紅の紋章が発現する。
赤い球と赤い棒の印。
それは幾千年伝承された、命の、魂の聖火。
「付与…………」
身体そのものに、魔法を刻む…………。
今使える《雷魔法》…………《雷剣》を付与する。
アリッドは《雷砲》を。
アリスは《雷突》を。
「使ってみよう」
アリッドは詠唱を始める。
「えーっと…………『痺れろ、混濁の雷鳴を大砲に!――《雷砲》!』」
手のひらから雷の弾が発射。
「おー、すっげ」
炎なら慣れてるけど、雷はな…………。
「じゃあ俺も」
背中の大剣を引き抜き、
『麻痺、破砕、落流、幻影。幻想の大剣…………《雷剣》』
この世界でも、同じ感覚。身体の隅々まで広がる神経が、肉体に宿るあらゆる機能を呼び覚ます。
例えそれが、別世界になくとも。
俺の魂は、この感覚を知っている。
脳から放たれる信号が、クロノスを越え、この世界を変化させる―――。
空間に電気が迸り、それを形作っていく―――――、
大剣を投影した電気が六つ発現する。
合計七つの剣戟…………。
遥か過去に己が行った動作を、理が異なる世界で模倣する―――!
「―――――――――弐式七連光鏡」
鏡合わせの七連撃。
英雄王の剣術を、勇者の雷撃が超えていく――――――――――。
「おぉ!」
◇◇◇
「すごいわね」
そう…………俺達は気付いていなかった。
俺達を監視する者たちがいたことを。
調教師のスキル、《視覚共有》で、木々に止まるカラスの眼から。
「この者たちは本当に今日始めたのですか?」
勇者教聖騎士団
それは《勇者教》の信者、その精鋭《騎士》で構成されたこの世界最強の戦闘集団だ。
勇者教の教義は、『アリアス様絶対主義』。
アリアスというのはこのゲームの1プレイヤー。
圧倒的なカリスマと強さで《神》と謳われている。
設定上の神より、見える最強の方が、人間は現実を理解できるのだ。
そして、ここにいるのは――――――、
「私が彼達を止めます。…………世界の終わりを、アリアス様に捧げるために」
そう言うのは、青い髪の青年
「いや、僕たち《聖光隊》がやるよ。手柄は渡さない」
「貴方達じゃ無理よ」
そう言い切ったのは、黒い短髪の少女。
聖騎士団長兼アリアス守護騎士第一席
《シズク》
元連合国騎士団筆頭騎士。
「あの少年は、NFから私を含めた四十六万人を救い出した英雄…………《黒き剣士》なのだから」
「あり得ません!」
「あんな奴が、現代の英雄だって言うのかい⁉」
「あの顔を忘れる訳がないでしょう。私が唯一、負けた相手だもの」
「シズク様が…………負けた⁉」
「ええ、彼は強いのです」
教祖、《アリアス》。
元《天使》、《セナ・クリスハイト》。
二人の脳内で、忌々しい記憶が蘇る。
次回はシズクとアリアス、アルタイルの過去話です。
(一話で終わらないと思います。ごめんなさい)




