表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニューワールド・ファンタズム  作者: 乙川せつ
第一部-ニューワールド編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/212

終末の空白、前進

おまったさせしました。

第一部最終話です。

……なんか……両隣から気配を感じる……。


「「ふーっ……」」

「うわぁ⁉」


両耳に何か……息?


「やっと起きたね、アル」

「待ちくたびれましたよ」

「えっ……そんな…………アリス……?」


起き上がった俺の両隣にいたのは、二人のアリス。


「驚くことはないだろう。二人共、この世界のプログラムなのだから」


そう言ったのは、流川大智。


「…………ここは、どこなんだ……?」


真っ白い空間。俺たち以外誰もいない。


「《ニューワールド・ファンタズム》だった場所さ……君によってクリアされたため、今残っているのはワールドがあった空間だけだよ」


「…………帰れるのか……けど、それならアリスは、どうなるんだ……?」


二人のアリスは、俺の左右の腕に抱き着いた。


「ずっと、一緒だよ」

「そうです、逃がしません」


「心配はいらない、彼女たちのAIは完全に統合され、ヒューマノイドの身体に転送される」

「統合……?」


疑問に答えたのは、アリス達だった。

「私たちは元は一人、アルを奪い合うより」

「一つになって、一緒にいたいのです」

「…………そっか」


安心した。もう……会えないんじゃないかと……。

俺の感情を読み取ったのか、二人のアリスは俺を自分達で包むように抱き寄せた。


「それでは、ログアウトを始めるよ」


「…………一つ、聞かせてくれ」


アリス達から顔を離し、流川の方を向く。


「……何が目的だったんだ……?」


すると流川は笑みを浮かべ


「何故、と言われると難しいが、私は見てみたかったのだ。人が、本当に協力する姿を………」


男はあくまで嘯くように語る。


「あの社会に、本心はなかった。しかし、異世界なら……そう思って創ったのが、このゲームだよ。……しかし、まさか君に二度もクリアされるとは思わなかったな」


一瞬何のことか分からなかったが、この世界がゲームだった頃の話だと理解する。


「ああ、ギルガメッシュ、な……」


「ゼウス討伐報酬として与えたAIをカスタマイズし、未来まで残すとは……可能性があっても、彼女が2000年の間に崩壊することは考えなかったのかい?」


「……エンキドゥは、そんな弱くないぜ」


「彼女は君のクロノスに保存しておこう」


「……頼む」


「…………私は《二刀流》を含む全十六種の《ユニークスキル》の中に《英雄之炎リオネルフレイム》なんて物はつくっていない。あれはいったい、何だったんだ?」


 それは驚きだった。この男が組み込んでいなかったのなら、いったい誰が―――…………。


いや、今はこう考えようじゃないか。


「……案外、誰でもないのかもな。もしかしたら、プレイヤーの封じられた《心》が集まって出来たのが、あの力だったんじゃないかな…………。俺に宿ったのは、たまたまだ。だって、《この世界に偽物など存在しない》だろ?」


それはこの世界のキャッチコピー。


虚をつかれたような顔をした奴は、最後にこう言った。


「……ゲームクリアおめでとう、アルタイル君。……AIボディには人間とまったく同じ機能が搭載されているが……子供をつくるのはもっと先に頼むよ」


そう言って奴の姿が消え、世界には三人だけとなった。


「アル………本当の名前、教えてくれない?」


「知りたいのです。貴方の、あの世界での名前を」


「俺は……星川鉄也だよ」


「ホシカワ……テツヤ……」


「いい名前ですね」


「…………改めまして」


「アリス・セーフティ・リードです」


二人は声を合わせ


「「これから末永く、よろしくお願いします」」


「こちらこそ、よろしくお願いします」



世界が、完全に消えた。


2032年1月3日


「…………」


目が、覚めた。

星川鉄也の意識が、二年ぶりに起きた。

一千倍に加速された世界から解放されて。


「鉄也……!」

「テツ……!」

「兄さん!」


家族との再会。

そんな俺の心には、ただ一つの渇望が。


「あ、り……す……」


二年ぶりに動いた舌は、途切れ途切れに言葉を発した。


アリスに会いたい。


同刻。

ゲーム会社 《リンクス》の本社で、黄金の髪に青い瞳のヒューマノイドボディが、動き出した。


「ア、……ル……」


初めて動いたその体は、確かにそう言った。


アルタイル・アリエルに、ホシカワテツヤに会いたい。


その想いが、AIの思考を埋め尽くした。


「い、か、なく、ちゃ……」

「行くって何処に、兄さん!」

「安静にしてなくちゃダメでしょ!」

「寝てるんだ!」

「あ、アリス…………」


壁に寄りかかり、一歩、一歩ずつ、進んでいく。


「待ってて下さい……アル…………今、行きますから……」


アリスも、その人工の身体を動かし、歩み始める。




数か月後。


「起きて下さい、アル」


「ぁあ……おはよう、アリス」


「急いでください、学校に遅れますよ」


そう言って、アリスは鉄也にキスする。

星川鉄也は、立ち上がる。








物語はここから始まる。

たとえそれが戦いの地獄でも、そこに生きる者たちは諦めない。

80億人が諦めても、一人は必ず、未来に進む。

その小さな希望が、人と人を繋いでいく。

数多の世界は、本物か、偽物プログラムか。

剣を持った者たちは、彼らだけではなかった。

死んでいった者。冒険の先にいた者。

全ての世界に生きるすべての人々が、誰かの英雄なのだ。

これは、その一人の物語。

新世界への幻想は、この物語から始まった。

君は何を掴むか、それは君次第だ。

無限のルートを掴むのは現か、幻か。

この世界は、無限の希望で出来ていた。


ニューワールド・ファンタズム(1)完結

ここまでご愛読、ありがとうございました!

第二部からはまた別世界です(主人公は変わらず星川鉄也のまま)。

勇者たちがドラゴンの世界を渡り歩く、少しだけ先のお話。


「俺は、また来るよ」


コメント、ブックマーク、レビューよろしくお願いします!

質問等はコメント、もしくはX(旧Twitter)にお願いします。


ニューワールド・ファンタズム第二部《英雄王・勇者編》


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ