最後の二十六撃
俺は、この技を放つ。
二刀流最上位剣技、《ザ・プロメテウス》
「失敗を繰り返すとは…………!」
流川もまた、同じ技を。
ザ・プロメテウス
十撃。左右同時の切り払い。
十五撃。右切り上げ。
十七撃。右刺突。
二十三撃。左上段斬り。
二十四撃。右水平斬り。
二十五撃目。左刺突。
本来ならここで敵は死ぬはずだ。そもそも一つの戦いでこの技を二回使うなんてことはなかった。
一度使えば殺せていたから。
モンスターも、魔族も。
「同じ結果になるだけだ!」
硬直する直前の流川がそう叫ぶ。
だが、それはさっきまでの俺だったならの話だ。今の俺は一味違うぞ?
…………俺は、止まらない。…………止まれないんだ!
「う、…………うぉお…………!」
僅かに、身体が動く。
身体が痛む。
世界の理すら超えて。その代償である痛みを乗り越えて。
見えない鎖を引き千切って!
「馬鹿な…………」
流川も理解したようだ。
この《システム》には、人の想いを現実にする力があるのだと。
「行きたまえ…………アルタイル君!」
《聖騎士》ディオン=クリンス。お前は俺の目標だった。
「行け…………!」
《旅月》カイン=アーク。お前は俺を助けてくれた。
「行きなさい!アル!」
《最高鍛冶師》ベリアス=ユリーナ。お前は俺の愛剣を作ってくれた。
「頑張って…………!」
《刀の継承者》シーナ=アインハルト。貴女は俺のことを認めてくれた。
「行くのだ、少年」
《愛の騎士》クラデオル=ローズ。アンタは俺が救えた数少ない人なのかもしれない。
「…………行け、アルタイル」
《騎士王》エイル=ローグ=ペンドラゴン。お前は俺なんかよりよっぽど凄い、英雄王だよ。
「いけえええええええええええっ!」
《二代目勇者パーティーの剣士》アース。師匠、俺に流水剣を教えてくれてありがとうございました。
師匠の叫びに続き、目覚めているプレーヤー全員が、そう叫んだ。
そして、世界を黄金の光が満たした。
―――…………弱者が覚悟を決めたのだ、強者に敗れる筋合いはない。この世界は―――――――――――無限の希望で出来ていた!
その短い詠唱を心で世界に刻むと、小さな世界が心に現れた。
身体の内側から黄金の光が溢れ、右目に集約。そして心の中に、無限の剣が現れた。
プレイヤー全員の記憶が剣となり、力となったのだ。
魂剣之希望
ナイトプレートを、水色の光が包む。まるで最初から、《その技》を放っていたかのように。
「――――……ぁぁぁああああああああああッ!」
《スターオーバー・エクストリーム》 二十六連撃。
―――。
流川の身体を、切り裂いた。
瞬間、流川の身体を中心に、世界を白が包む。




