ユーザー、ギルガメッシュ
「…………私では止められませんか…………お願いしますよ、アルタイル・アリエル。私の、愛する人よ」
「…………っ」
嗚咽を噛みしめ、その《技》を構える。
一瞬、アリスが消えたように見えた。
しかし、俺を襲ったのは、《七本の剣》。次元を超えた七撃。
細剣最上位剣技 《コスモスター・レスティング》。同時七撃。
「…………うぉおおおおおおお―――――――――――ッ!」
片手剣最上位剣技 《スターブレイク・ノヴァ》。八連撃。
俺の身体は自分史上最も速く動いた。まるで、《ブーストアクセル》でも使っているかのように、思考が加速される。
七本の剣が、止まって見える。
「はぁああああああああ―――――――――――――ッ!」
七連撃を弾き、俺は最後の上段斬りを放った。
「…………」
剣を受け入れるアリスはナイトプレートによって切り裂かれ、ポリゴンとなって消滅した。
アリスは必死に口を動かし、無音でこう言った。
愛してる
…………笑っていた。
笑顔を、もう一度見たい。
眼の縁に熱い雫が溜まるのを感じ、拭った。
「アリス………俺は、やるよ」
またアナウンス。
『お見事。まさか本当にアリスを倒すとはね。…………約束だ、褒美を与えようじゃないか』
俺の前にポリゴンが集まり、人の形を作っていく。
「やあ、初めまして」
栗色の髪の、若い男。確か当時二十六歳。…………間違いない。流川大智だ。
「流川………!」
殺気を剝き出しにする俺に、奴はこう言った。
「まあまあ、落ち着き給え。四十六万人を救う戦いだ、中継なしでは盛り上がらないだろう?」
そう言って奴はウィンドウを操作し、そのボタンをタップする。
「うわっ!なになに⁉」
この世界全ての国々に中継される。
「今現在生存し、記憶が戻っているのが二十七万人。彼らを絶望させないようにね」
俺は、右手の人差し指と中指を立てて、円を描く。
すると効果音と共に、メインメニューウィンドウが表示された。
「…………やっぱりな」
そこにあった名前は、《ギルガメッシュ》だった。
アルタイル・アリエルというのは、偽物の、俺なのか…………。
「…………関係ない」
俺は、俺なんだから。
「さあ、始めようか」
そう言って流川は全身を赤いコートで包み、白銀に輝く片手剣を装備する。
「…………ああ」
俺達の距離が急速に縮まった。
互いに上段斬りを放ち、ノックバックで後ろにとぶ。
「その剣…………何なんだ…………!」
そう、奴の剣はまさに異質。剣同士がぶつかっても、その感触が伝わってこない。ただ止まっているのが分かるだけ。
「この剣は九十七層ボスの剣でね、名は《透明剣》という」
「そうか…………よ!」
剣戟。奴は片手剣だけで俺の二刀流を防ぐ。
流石開発者というべきか。フルダイブシステムを完全に使いこなしてやがる。
また、少し距離が空いた。
「どうする?君だけでは勝ち目はないと思うが?」
「最初から分かってたことだ!」
そう叫び、左手に握るベールリオンを全力でぶん投げる。
「諦めたのか…………つまらないね」
奴はひらりと躱す。
その瞬間、俺はウィンドウを操作し、その武器を実体化する。
「その剣…………七十六層の」
ナイトプレートを左手で持ち替え、奴の言葉通りのそれを右手に武装した。
第七十六層ボス、グレフリオ・レッドの主武装であった大剣。
その名を
「輪廻剣…………!」
二本の刃が螺旋状に交わった形状のその剣を、流川に向ける。
「その剣の特性は…………《絶対貫通》」
「そうさ。ま、あの豚はそんな知能がなかったみたいだがな」
俺が構えたのは、《ヴォーパル・ブレイク》。
螺旋を赤い光が包んだ。
「…………うおおおおおおおッ!」
高速で接近し、奴の心臓を狙う。




