アリスの目覚め、本当の創造神
朝が来た。
…………夢を見ていた…………。
どこか知っている家で目覚め、家族と平和に暮らす…………そんな夢。
「起きて、アル」
「ん…………むにゃむにゃ……おはよう………アリス…………」
「さ、行くよ」
俺は頭のスイッチを切り替えて
「ああ!」
と、朝一番の元気な声で答える。
ギルドの転移ポータルで移動すると、ボス部屋前には、もう大勢の冒険者が待機していた。
「皆、覚悟はできているだろうが、引き返したいものは帰って構わない。しかし、先を見たい者は…………剣を取れ」
ディオンの言葉に、皆が真剣な眼差しを向ける。
「さあ、…………行こうか」
扉が重く、ギギギ…………と錆びた音を出す。
そして完全に開くと、暗闇が現れる。
「突撃!」
ディオンの号令で全員が中に侵入する。
しかし、何もいない。
ボスはいない。
だけど、そんなはずはない。
「アリス…………?」
ビュン。細剣の剣先が、俺の顔を襲った。
「…………ッ⁉」
ナイトプレートで防ぐ。…………有り得ない。
「アリス君!」
「アリスの嬢!」
ディオンやカインも気付き、冒険者たちがざわつく。
「アリス…………いったい、どうしちまったんだ…………?」
今の攻撃、ライトベールを纏っていた…………。完全に、殺す気だ。
アリスの顔を覗くと、瞳の青が濃くなっており、表情は、まるで妖精の人形のようだった。
『驚いたかい』謎の声。しかし、何処かで…………
「 ! …………誰だ!」
『私は、この世界を創った者だ』
「…………っ、《最高神ゼウス》だっていうのか!」
俺の叫びに、一瞬の間。
『いや、ゼウスも私が創ったプログラムに過ぎない。この世界もね』
「プロ、グラム…………?」
その時、俺の頭に電流が迸る。
―――――〝俺〟は、誰だ…………俺は、俺は…………日本の、ただの高校生だ…………。
ようやく、思い出した。
俺の名前は、……〝星川鉄也〟だ。
そしてこの《世界》は…………。
『《ニューワールド・ファンタズム》。《クロノス》による始まりのフルダイブMMOさ』
「それでは………まさか…………」
ディオンのかすれた声。
『そう、アリスはNPCだったというわけさ。正式名称は、《アリス=セーフティリード》。アルタイル君を抑え込むシステムさ』
「俺を…………抑え込むだと…………」
『そう。気にならなかったかい?いつも助けてくれる、可憐な少女を。………君を助け、不要な成長を抑制する、それが彼女の役目。…………アリス・フリューレというのは、それを隠す〝偽物〟さ』
「………… ! ……貴様…………〝流川大智〟!」




