婚約と家族
ディオンに勝利した俺は、正式にアリスにプロポーズした。
「俺と………結婚してください」
「…………はい」
笑いながら瞳に涙を浮かべるアリスを見つめながら、俺は安堵する。
闘技場でのプロポーズに観客たちは口笛を鳴らしたり、拍手を送ってくれたり、歓声をくれた。
「…………あり?」
バランスがとれない…………後ろに倒れ―――
「やれやれ、大丈夫かい、アルタイル君」
俺の肩を支えたのは、ディオン。
「……ああ、すまないな…………」
「まったく。………前から思っていたのだが、君の戦闘スタイルは一対一に特化しすぎている。一戦全てに限界を注ぐと、その後が大変だぞ…………うちの神は心配性だ。前回の決闘は私の判断で行ったがね…………何故不合格にしたのか理由がわからない。……気を付けたまえ」
「忠告どうも…………けど、負ける気はしないよ」
俺の手を握るアリスを見つめ、これが現実なんだと実感した。
――――――起きてくれ、…………t――
――――――起きてよ…………テ――
――――――起きて…………兄さん!――――――――――――――――――ザッ。
「…………?」
今、何かノイズが…………?
「どうかしたの?」
大変うれしそうなアリスが顔を近づけてくる。
「いや…………何でもない」
「さあ、行こう!」
アリスに手を引かれ、闘技場を飛び出す。
俺達が向かったのは、役所。
婚姻届は、今すぐ出す。それは、俺達が互いに思っていたことだった。
カウンターで待っている時。
「…………一つ、聞いていいか」
「どうしたの?」
「アリスが言う………〝綺麗な心〟って、どういうことなんだ?」
あの時から………グレフリオ・レッド戦から気になっていた事だ。
「それはね、優しくて強い。私が好きな心の事だよ」
「お待たせしました」
出されたのは、たった一枚の紙。
けれどそれは、俺達を結ぶ一枚だ。
夫、アルタイル=アリエル
妻、アリス=フリューレ
人暦二〇二四年、婚姻。




