勇者の竜
「お前の使う 《竜技》…ドラグシリーズ……誰に習った…?」
「祖父と父の剣術ですけど……」
「その二人の名前は!」
「二人の旧姓は………《シリウス=コスモスター》と《シン=コスモスター》」
「…ハハッ、なるほどな。お前の強さも納得がいく……」
「アース、どういうこと?」
「アルタイルの親たちの正体は、《勇者》だ。」
「⁉」
(爺ちゃんと父さんが、《勇者》⁉)
「そういうことなら色々説明がつく。世界で一人のはずの《勇者》の剣技をなぜ扱えるのか。親から受け継いだものだったんだな。」
勇者はこの時代にもう存在している。勇者の証である 《力》。継承したものだったのか。
「お前の父は竜技の中でも刺突系を得意としていた。それはお前もそうじゃないか?」
確かに俺は 《竜牙突撃》を最も得意としている。扱いやすく、隙も少ない。
お父さんが見せてくれた技の大体が刺突系だったな。
「まったく、あいつらしいな…」
「師匠、父さんのこと知って……」
「俺は二代目勇者パーティーの剣士、アタッカーだったんだ。」
「父さんの仲間……」
「勇者パーティーの底力、見せてやる!」
「なら……」
俺は真相解放を解除。二本を直してナイトプレートを引き抜き。ローブの中からとある物を取り出す。
「それは……魔石?」
「ああ、さっき倒したファイアドラゴンの魔石だ」
「それで何する気だ?」
「お楽しみってことで」
「なら、こっちも刺突系で決めるか」
「へえ、《勇者》の一撃を超えると?」
「お前は《勇者》じゃないだろ?」
「じゃあ…………行きます!」
「〝流水剣〟!」
草薙の剣を覆う木の葉が刃に宿り、刃が緑色に輝く。
「第一秘剣!〝布都御魂剣〟!」
突進刺突技。しかも闘気を足から噴射して推進力を得ているのか……。この国の戦闘機と同じ考え方だな。
対する俺は手のひらサイズの魔石を空中に放り投げる。そしてそれを。
「〝人魔剣〟〝竜技〟 《竜牙突撃》!」
ナイトプレートで魔石を突いて押し出す。加速した魔石は師匠めがけて飛んでいく。
そして魔石の周りに闘気と魔力が螺旋を描き竜の形を形成する。それに魔石が反応して更に力を増す。この技は普通のとは違う。いつものは発動速度を重視しているのに対して、今回の技は威力重視。それを竜の魔石でブースト。
「くっ、なんだこの重さ……!」
師匠と技がぶつかり合う。
「吹っ飛べ……!」
俺の言葉に呼応するかのように竜の力は増し、師匠の剣に喰らいつく。
師匠が大きく後ろに飛ぶ。しかし師匠は上手く身体を捻り衝撃を最小限に抑える。竜は地面を
抉り、城の一部を砕く。
「ハア……ハア……凄まじいな、アルタイル……」
「……まだ奥義が残ってますよね」
「チッ……、見せたのは失敗だったか」
「もう発動条件は揃ってるはずですけど」
「……やる気なのか?」
「俺は本気です」
「……やめとくよ」
「……?」
「俺も奴隷制には嫌悪感を持っているが……必要悪だと思っている」
『……』
《セルウス》の足から駆動音が聞こえる。
「やめろエイル。必要悪だといいましたね。……そんなこと言ってるから魔王なんて生まれたんだろうが…………」
「……ッ………」
魔王――人間がモンスターに進化した存在。魔物を操る力を持ち、勇者と同等の力を持つ存在。人間が大きすぎる負の感情を背負った時、稀に覚醒する。
魔王が生まれた理由……それこそ、元奴隷の覚醒。とある国で虐げられていた部族の青年が、最愛の人を目の前で殺されたことをキッカケに魔王として覚醒した。そして二代目、それは半魔王だった。魔王になりきれず、苦悩のまま戦った。
ようやくわかった。俺が奴隷制度を嫌っていた理由。性格的な話だけではなく、親の記憶を心の奥底で知っていたから……?
「……分かったよ。降参だ」
「アース、いいの?」
「これ以上やったらどっちか死ななければいけないからな。……それは嫌だろ?主にアルタイルに対して」
「うん……やだ」




