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ニューワールド・ファンタズム  作者: 乙川せつ
第一部-ニューワールド編

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27/212

セルウス、発進

「ここが、ブリタニア王国………」


この世界の技術力は国によって大きく異なる。とはいえこの国には機械というものまであるらしい。そんなことを考えていえると、バシッと俺の背中が叩かれる。


「よ、アルタイル」


「師匠、それにアリスも」


「他にも 《マティリス・クラン》の人は来てるよ」


「ようこそ。王国へってな」


師匠が笑ったその矢先。


「さっさと歩きなさい!」


まるで言うことを聞かないペットを躾けているようだが。その首輪が付いているのは――人間だ。


「あんた、何を……」


俺が止めようとした時、肩が掴まれる。


「なんで止め……」


「これがこの国のルールだ。俺達が首を突っ込むことじゃない。」


「なっ……」


「……分かってくれ」


「アル」


「ふざけるな……!それが、人が人を踏みにじっていい理由に、それを正当化していい理由には、ならないだろうが!」


「……すまない」


「………それでなんで俺がここに呼ばれたんだ」


「それはすぐ分かる」


「?」


戦争に負けたスレイブ。つまり男『黒種』(ブラック)それを虐げる女『帝王種』(ロード)


そんなことが正当化されていい理由が、あってたまるか。


「よく来たわね、《黒き剣士》」


師匠に案内された王城の女王の間。そこには王座の上にもう一つの椅子……そこに座っていたのが。


「私が 《ロゼラリア》よ」


「あんた、なんで俺を呼んだ」


「それはね、救ってほしいからよ。貴方も知っているでしょう?この国は神の恩恵を受けていない。だから自分達の科学力で守るしかない。そこで現れたのが貴方。恩恵を受けずに恩恵を超えた男。貴方がこの国を救う勇者になるのよ 《黒き剣士》」


「いいだろう。」


「そう、よかったわ」


「ただし、俺が救うのはこの国ではなく、スレイブ達だ」


「……どういうつもりかしら?」


「どうもこうも、愛と平和の女神様が奴隷制度を推進しているって情報を聞いてな?俺は前々からこの国が嫌いだった。人間を扱う権利は、誰も持っちゃいない!」


「……残念ね」


ロゼラリアが手を振ると騎士たちが現れる。王宮のじゃない、《ロゼラリア・クラン》のだ。


「やりなさい」


騎士たちは襲い掛かってくる。


「お前らはすっこんでろ!」


俺の闘気に気圧された騎士たちはバタバタと倒れていく。


「じゃあな。支配と差別の女神さんよ」


そう言って窓から飛び降りる。体術スキルで受け身を取り、ダメージはない。


「……」


先に調べておいて正解だったな。俺が行くべき場所は。


(最前線、北部!)


「……《ソニックアクセル》!」


身体の最高速度を引き出す。


走ったその先にあったのは。


「なんだこれ、扉?」


首都から約三時間。高さ数十Ⅿの、鋼鉄の。


「でかすぎんだろ」


その時スピーカーから


『こちら、北部戦線第一戦団。貴官の所属を名乗れ。』


「こちら冒険者ギルドアースリア支部所属第一級冒険者。アルタイル=アリエル………貴官達を救出に参上した」


『この基地には軍人以外の者は侵入出来ない。それに、本当に僕達を助けてくれるの?』


最後の声は震えていた。恐怖に怯える子供の声。


「ああ、任せろ。」


『この扉は厚さ五Ⅿあるんだよ。壊せるわけがない』


「修行の成果を見せてやるさ」


俺の最近の特訓は神威を抜かずに炎を扱う練習。あの時、豚を倒した時のイメージを。


「フーッ…………」


腰を落とし、どっしりと構え、そして武術の〝掌〟の構えを取る。炎を掌に集めて。


「〝炎掌〟‼」


そこから炎を一点解放。


「ハアアアアアア!」


扉を吹き飛ばす。地面ごと抉り飛ばし跡形もなくなる。


「これでいいだろ?」


『……ありがとう。冒険者』


「……ああ」


中に入るとみんなから剣に興味を持たれた。この国の剣といえばロボットの大剣のみ。人が持つ剣など昔のものになっているらしい。しかも、その大剣を振るうのは大隊長ただ一人という。


「俺は二番隊隊長、レングだ」


「おーい。カイ、エイルを呼んでくれ!」


「はいはーい」


「……」


しばらくすると無表情な少年がやってきた。


「こいつが俺達の大隊長、エイルだ」


「……よろしく」


「ああ」


「ごめんねー無愛想でしょ」


「あはは……」


「本題に入りたい」


エイルと呼ばれた少年は話を切り出す。


「本当に俺達を助けるつもりか?」


「ああ、そうだ」


「…………なら、俺達も動き出すか」


「……?」


「俺達も一週間後に革命を起こすつもりだったのさ」


レングが笑いながら話す。


「あの悪女共の顔面に一発ぶち込まないと気が済まないからな!」


レングの声に周りの少年達もそれに頷く。


「それなら話は早い」


「俺達の戦力は大型が百六○機、小型が八十八機。……そして」


『儂達だ』


半透明の男たちが音もなく現れる。


「あんたたちは……?」


「この人たちは僕たちの先祖。死んだ黒種の人達の魂だよ」


「死んだ……魂……」


「そう、そして俺達黒種には能力がある。……死者を身に宿しそれをトレースする能力〝英霊憑依〟」


「凄い能力だな……」


「神の加護がない俺達の力だ」


「……俺と同じか」


「え?」


「俺にも加護はないんだ」


「それであの力を……⁉」


「どうして俺にこんな力が宿ったのかは分からない。それに俺は二年前、刀を引き抜くまで自分のステータスすら見ようとしてなかった。冒険者になってステータスを見れるようになってもそれを人に見せようとは思えない。ただ、俺は俺だ。神の加護を受けない純粋な俺の力。それはあの女神がいうように、君達への希望になるのかな?」


「……ああ、お前は俺達の希望だ」


「そうだぞ。」


「一緒にあいつらを叩く」


「おう!」


首都からここまで約三時間。この基地から戦士が飛び出す。


「行くぞおおおおおおお!」


俺たちが向かったのは王城の裏側。城壁の警備が最も薄い場所。警備しているのは《ロゼラリア・クラン》と警備兵のみ。この大扉を破壊するのは俺の仕事だ。


「炎術〝炎波〟!」


両手から溢れ出る炎が扉を溶かす。そしてそれを合図に全方位から侵入する。


「一番隊、出る。」


『了解!』


『野郎共!終わらせるぞ!』


『押忍!』


「ああ、決着をつけよう」


これが俺達の革命となる。そしてこれは、神破りとなる。


ガシュン、大きな足音と駆動音。これは俺たちのものでは無い。


「あれは……」


王国の首都防衛兵器。それは 《セルウス》によく似た二足歩行の機体。

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