剣滅眼、擬剣眼
「誰か!冒険者を!」
「助けて!」
「子供がまだあそこに!」
「キャアァァァァァァァァ!」
「死にたくない!」
「うわあああああ!」
モンスターが侵略してきて三十分が経過した。俺達は今、前線で戦っている。いや、生きている。
今、運命が進み始める。モンスターを押し返し始めたその時、後ろから大きな影が現れる。それは……あの武者が子供のように思えてくる巨人だった。
俺はクリスハイトと名乗る男に切りかかる。
(巨人の方に行きたいのに、こいつ)
魔眼持ちか。能力は……。
「ハッ!」
奴の眼が金色に光り、黒いひし形の模様が四つ入った様な眼になる。
「ソードフェイク・サード」
男の手元に剣が三本現れ、こっちに向かってくる。
「せやっ!」
俺は二刀流を使い、それを叩き落す。こいつの能力は《剣を生み出し、それを操る能力》だろう。
「へえ、僕の《擬剣眼》をここまで防いだのは君が初めてだよ。いや、一人いたか。けどこれならどうかな?」
「ソードフェイク・フィフス」
五本の剣がこっちに来る。同時には防げないので、回避しながら叩き落す。
(大体分かってきた)
こいつが生み出せる剣はおそらく《見たことのある剣》のみ。そして剣には追尾性能があるが、叩き落せば操作不能。
「うーん、流石にこれ程とは予想してなかったなあ」
「ソードフェイク・ハンドレット」
「は?」
今度は百本。
「せっ、ふっ、てやああ!ハアア!」
防ぎきれない!
「下がってな」
「…………えっ」
俺の前に現れたのは、狐の仮面を着けた男。
「……」
その男の眼は、アインハルトと逆の色をした魔眼だった。
「セイバー・オン」
同じく百本の剣が百の殺意を弾いた。アインハルトは呆れたように
「やはりゼオン、君の《剣滅眼》は」
「「セイバー・オン」」
「近接の方が良さそうだ」
「俺もそうする」
アインハルトはサーベルを。ゼオンと呼ばれる者は片刃曲刀を握り、接近する。
「ふんっ!」
「せいっ!」
キン、と音がした後、またその音が鳴る。連撃同士の衝突。しかしそれは言うなら……。
凡人の剣。才能のない普通の剣筋。努力の結晶。
「「セイバー・オン!」」
手持ちの剣が壊れるとほぼ同時に剣を複製する。……何故だろう。手が出せない。この二人自身がやらなければいけない戦いな気がしてならないんだ。見守るしかないのか…………?
「セイバー・オン、対之剣」
「セイバー・オン、指揮剣」
「「エッセンスト・リバレーション!」」
「なっ……」
真相解放……
「リード・オブ・セイバー!」
「カウンターセイバー・セット」
「ファイア!」
高く飛んだアインハルトの後ろから数え切れない剣が絶え間なく降り注ぐ。それに対しゼオンは手に持った黄金の剣を構える。
「ストライクカウンター」
最初の一本を弾くと、他の剣が塵となって消えてしまった。――黄金の剣も。
「…………アンティス、代償の反撃か……」
「ご名答」
「セイバー・オン!」
また片刃曲刀を作り出す。
「せやっ!」
そこにサーベルの一撃。曲刀で防ぐ。
「油断しちゃダメだよ!」
「そっちこそ」
「リードカリバー・エクステンション!」
アインハルトのサーベルが伸びて、刺突。
「破ッ!」
曲刀でサーベルを地面に叩き付け、てこのようにアインハルトが吹っ飛ぶ。
「うわっ⁉」
ゼオンは追い打ちをかけるように
「同時展開」
片刃曲刀を両肩、両腰に一本ずつ複製する。
四本を発射し、アインハルトの気を逸らす。そして高く跳躍し、アインハルトの懐に接近する。
「これは……やばいね」
「遅い」
「〝菊斬六連〟」
手に持った剣で上段斬り、そして下段からの切り上げ。ザン、と切り裂いた音で倒れたのは先程俺が気絶させた偽騎士だった。その男は腹に二連撃を浴びたことにより絶命。
「なっ……」
おそらく地面から剣で運んだのだろう。そしてもう一本の剣にはセナ。するとアインハルトは
「ちょっと分が悪いね。細工も済んだし、撤退!」
剣を掴むと浮かび上がり、立ち去ってしまう。
「逃がすか!」
ゼオンも同じく飛び去る。
「一体何だったんだ。そうだ、巨人は!」
外を見るとまだ巨人が暴れている。俺は巨人の元に走った。




