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ニューワールド・ファンタズム  作者: 乙川せつ
第一部-ニューワールド編

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21/212

正面突破

「ふぁ…」


起きた俺は朝食を取った後、装備を整えて家を出る。平和な日常。


「おーい!」


俺を呼ぶそれはカインだった。


「どうした?」


慌てているカインを見て俺は、呆れたような声で聞くと。


「それがよ!今朝セナちゃんからの発表があったんだけどよ…………」


「それがどうかしたのか?」


カインが叫ぶように言う。


「だからよ、セナちゃんが《黒き剣士》を探して欲しいっていう依頼を出したんだよ!」


「はぁ?」


「そんな事しなくても、ギルドを通じて呼び出してくれれば顔を出すのに」


「だろ?なんか変なんだよ」


「それで、その捜索の条件は?」


「……………《捕獲許可》」


「……っ」


思わず息を呑む。《捕獲許可》とは犯罪者などに適用される。要するに強制連行を許可する条件。俺が自

ら冒険者ギルドに行けば話は解決するのだが………。


「……ここからギルドまで結構距離があるな」


「多分それがセナちゃんの目的なんだと思うぜ。」


「どういうことだ?」


カインから出てきた言葉は驚くものだった。


「情報系の冒険者に聞いてみたんだけどよ。何故か冒険者にギルドの周囲に囲むよう指示が出ているらしいぜ」


「まさか………ギルドの上層部は何を考えているんだ」


「さあな、だけど、その冒険者が言うにはまるで、お前を試すような陣形が組まれているんだと」


「試す……」


「…………カイン」


「どうした?」


「自分で聞いて確かめたい、力を貸してくれ」


オッサンは俺の背中を叩き、任せろ、と言った


「相手は完全武装だと思うけどよ、どうすんだ?」


「正面突破だ」


「…………面白れぇ!」


カインはズボンの中から赤いマフラーを取り出し、首に巻く。そして腰から飾り気のない直剣を引き抜

く。赤い鞘に赤い持ち手の鉄剣。路地を出ると早速冒険者が出てくる。


「見つけたぞ!」


こっちに切りかかってくる。完全に捕縛する気だな。


「どりゃあ!!」


直剣上段技 《スラスト》。直剣共通の上段斬り。


「殺すなよ?」


「手加減はしてるっての」


こいつは二つ名 《旅月》の称号を持ってるだけあって頼りになる。抜けてるけどな。


今度は重騎士が構えていた。俺は全力で走り出しスキルを発動。片手剣上段突進技


《ソニックスラスト》。兜を叩き割った。


「おめぇこそ手加減というものを知らねえのか?」


「?」


その時俺らは何かを察知してステップでよける。


「……アリス!」


そこにはレイピアを構えたアリスが立っていた。


「アル、何をしたの?」


アリスはかなり怖い顔をしている。


「何もしてません誤解です!」


「そう………けど、依頼だから」


「……アルよう、……ここは任せろ」


「……すまない」


俺はギルドに向かって駆け出す。カインは直剣を構えて


「さあ、お嬢ちゃん。俺と遊ぼうぜ?」


「はっ、はっ……」


走っている俺の目の前にまた一人、大盾を持った騎士が。


「っ、せ、ああああああ!」


片手剣単発突進技 《ソニックシュート》。盾に向けて放った一撃が通り、その騎士を越えていく。


「行きたまえ」


「ああ」


騎士は俺に道を繋いでくれた。進む。最後の壁を破り、ただ進んでいた。まだ、進め!


カインと騎士に繋いでもらったこの道。たどり着いて見せる!


「どりゃああああああ!!」


冒険者ギルド支部長室のドアを蹴破る。


「お、来た来た」


「さあ、聞かせてもらおうか。なんでこんな事をした。支部長!天使!」


「いやぁ、俺の権限じゃ断れなくてね……本当にすまなかった」


頼りなさそうなオッサンの謝罪を聞いた後。


「ごめんね。君の実力を確かめたくてこんな依頼を出したんだけど……」


「流石にやりすぎだよね」


「ああ、やりすぎだ。ギルドに慰謝料は請求するからな」


「あはは……」


「で、なんでやった?」


「えっとね。昨日のライブで弓矢の軌道を変えて、助けてくれたのは君なんでしょ?」


「どうして分かった」


あの投擲針には《隠蔽》の効果を付与していたはずだ。鑑定スキルでもそう簡単には……。


「ウチにはお抱えの鑑定士がいるからね」


「……はあ」


専門家の目は誤魔化せないか。


「なんで探してたんだ?」


「えっと、私の依頼を断った件について聞きたくて」


「え?ただただ、めんどくさかっただけだけど」


「え?」


「え?」


「は?」


支部長、天使、護衛の騎士の三人が、ふざけてる?という反応だったので俺は、


「いや、ホントにめんどくさくて。しかも昨日休日申請してたし」


「そう…………なら、私の眼を見て」


「?」


「いいから」


「……分かった」


言われた通りに俺は彼女の眼を見る。すると彼女の眼が薄い紫の光を纏う。俺は危機を感じてバックステップしようとしたが今は座っていて動けない。


「《私の騎士になって》」


俺の中に何かが入り込んで……魅惑の光が俺の心に入ってくる。鎖が、俺を縛る。これはまさか……《魔眼》。ユニークスキルとは違った、派生したスキル。意識が……塗りつぶされて……。コツ、コツ、俺の中で誰かが歩いている。その男は俺にそっくりな姿をしている。黒いロングコートに二本の片手剣。その男は二刀流の構えを起こしてこっちを見る。キイィィィンとスキルの起動音。《二刀流スキル》。


「……」


技名を言ったらしいが俺には聞こえなかった。二刀流の連撃。その剣は俺を縛る鎖を断ち切る。


「うら、ああああああ!!」


俺は自身の意思を立ち上げ、立ち直る。


「うっそぉ……」


「なんと!」


「何をした……!」


俺の怒りが籠った問いに彼女は


「いやぁ、わたしの《恋成眼》で護衛になってもらおうかなって」


「ほうほう、ま、これで用はないんだよな?……それじゃあな」


俺はソファーから立ち上がり、部屋を出る。


(疲れた。後でカインに礼を言っておかないとな。)


後で聞いた話によるとカインはアリスさんの攻撃に耐え、倒れなかったという。


あいつすごいやつなんだな……。アリスはなんで強い人は一人がいいんだろう……って俺に聞いてきた。いやディオン団長じゃん!というツッコミはやめておいたが。


「疲れた」


マジで休めねぇんだけど。しかもカインは明日のライブに行くつもりらしい。


よくそんな体力あるよな、バカだからだろうか。あいつ今頃くしゃみしてんのかな。しかし天使とはいえあんなことするんだな…………。


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