ベールリオン
ゴーン、ゴーンと、七時の鐘が鳴り響く。それで目を覚まし、簡単な朝食を食べる。
「おはようございまーす――」
冒険者ギルドに顔を出すと
「アンタ……!」
「げっ……」
ベリアス――。彼女は俺の首元を掴み
「また無茶して!武器だけで良かったけど、あんた死ぬところだったらしいじゃない!」
「うぐっ……」
「《アイアンブレード》を寄こしなさい!」
「…………はい」
背中の鞘に入れているアイアンブレードをベリアスに手渡すと
「あらー見事にボロボロ…」
「すまん」
「いいわよ別に、カモがまた来たみたいなもんだし」
「あ、鍛冶場借りるわよ」
冒険者は大体がベリアスに世話になっているため、ギルドは断れない。どうぞどうぞと道を開ける。
「相変わらず使われないくせに設備だけはいいのね。ここ」
「まあ、中央ギルドだからな」
「それより、さっき言ったこと、本気なんでしょうね」
「…………ああ、頼む」
ベリアスはただ「分かったわ」とだけ言い、アイアンブレードとそれを取り出す。それは《ホワイトディザスター》の魔石。俺はこいつの罪を。後悔を背負う。それが名も知らないあの人達へのせめてもの贖罪
だ。
彼女は魔石を剣に押し付け、炎で熱する。それにより刃は溶けて、混ざっていく。そして金槌で叩く。千回ほど叩き、水で冷却。その刀身はただの魔法鉱石だった頃と違いエメラルドグリーンとホワイトに輝いている。
「これが…………」
「それが、その剣の新しい姿、《ベールリオン》。意味は…………《獅子の布》」
「ベール、リオン……」
剣の柄を握る。
頭に流れてくるのは見たこともない景色の幻想。そこに立っているのは白い獅子。
赤眼をこちらに向け、値踏みするような視線を感じさせる。「我を扱えるか?」そう問われている気がした。
……上等だ。剣に認められない剣士なんて、恥晒しもいいところだからな。
「その剣はアンタの魂の鏡。あんたの願いを、後悔を、未来を切り開く剣」
「……べリアス。ありがとな」
「いいわよ別に。お得意さんなんだから」
「……ああ」
《ホワイトディザスター》の負の力。俺の願いの力が宿ったその剣を背中の鞘に入れる。
……重い。二刀とも片手剣にしてはかなりの重量級だ。ナイトプレートに関しては伝説となるほどに。
それでも、俺は振るってみせる。
「二刀流。似合ってるじゃない」
「だろ?」
「…………ふふっ」
穏やかな時間。しかしこういう時に限って、悪いことは起こるものだ。
それが、運命という奴だからな。




