神々の嫌う色
「嘘だろ…」
四人。一人。死んでいった。
「くっ……」
(やるしかない!)
「ハアアアアアア!」
俺は剣技を無数に繰り出す。
しかしそれは触れる前に叩き落とされ、その斬撃は俺の前に現れた。剣を身体で支え、無理矢理抑える……俺は吹き飛ばされ、壁にぶつかる。
そしてまた一人。
「助けて……お願い……助けて……!たすけ……」
俺がさっき助けた女の子の首は、消え去った。
(俺の身体、もってくれよ……)
『これは、俺の未来。俺の時間は全てを置き去る。その時俺は』
詠唱中にも大剣は俺を襲う。それを躱しながら、傷つきながら、詠唱し続ける。
『神に追いつく。人は、それを、黒き者と呼ぶ。俺の時よ、進め。』
「《ブーストアクセル》」
武技は神の力でスキルに統合された。そしてあらゆるスキルは詠唱を行うことによって最大限の効果を発
揮する。
そしてこれが俺の今の奥の手。意識を一千倍に加速させる技。しかし万能ではなく脳にかなりの負担をかける。
「届いてくれ……!」
〝我が血肉を喰らいて走れ、星の欠片〟
「……ッ!」
奴は心象領域とでもいうべきか。禍々しい領域を広げる。そこにたった一粒の雫が落ちる……
ピチョン。
剣圧。剣が押し出す空間そのものを刃に纏い、次元を切り裂く。その刃は―――――――――
――――――――――〝飛天〟
「……アア、アアアアアアアッ‼」
黒剣と大剣がぶつかった瞬間。なにかが起きた。質量が圧倒的に大きいはずの大剣が、まるで元々無かっ
たかのように、消え去った。
「うおおおお……アアッ!……アアアアアッ‼」
そのまま奴の体を切り裂き、上半身を吹き飛ばす。
俺は彼らが残した剣を、槍を、斧を、弓を、杖を全て持ち上げダンジョンから緊急脱出する為
のクリスタルを取り出し、叫ぶ。
「テレポート…冒険者ギルド!」
神々のもたらした道具。使わせてもらうぞ。
「君は……」
「一体その武器はどうしたんだ!」
「あ、ああ、ああああ……!」
一人の神が涙を浮かべながらこっちを向いている。
「それは、うちの子の、僕の、家族の物だ……」
「彼らは、死にました……」
その神は膝を突き、泣き崩れる。
「……何があったか説明してもらえるかな」
そう言ったのはマティリス。
「それは……本当かい……⁉」
説明した後、ギルドに激震が走る。
「俺のせいです……俺が、助けられなかった……」
「いや、君は戦い抜いた。誇るべきことだ。それに、彼ら勇者の武器をこうして持ち帰って来てくれたじゃないか。」
「ああ、ありがとう……うちの子を、ありがどう……」
「くっ……うあああああああ!!」
その声は街中に響き渡った。後に《神の泣き声》と呼ばれるそれは、この物語の始まりだった。




