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英雄開幕 1

これは、俺が死合った最初の戦い。

ダンジョン四十二階層へと進出した時に出会った強敵との激戦。


俺が狂った一戦。


「どうして、こんな所にいるんだよ……なぁ……ダークオーガ!」


中型レベル4モンスター《オーガ》の突然変異種にして、規定レベル5の化け物。

中層に出てきていいモンスターじゃない。


もっと下の、六十二階層から出てくるモンスターのはずだ。

特殊危険個体としてギルドに知らせがあったが、まさかこんなところにまで上がってきているとは。


どうする、逃げるか?


上に行って応援を呼べばコイツは倒されるだろうか。


そうだ。師匠やアリスさん達に任せれば――――――――――――……違うだろ、そうじゃないだろ。


俺は、何の為に冒険者になった。


何のために、この喜劇ものがたりを始めたのだ。

いつも持ち歩いている日誌(冒険の記録)の新しい一ページに相応しいだろう、強力なモンスターを一人で討伐したという功績は。


「あァ……俺は、冒険者だ」


冒険しなくちゃ、嘘だろ。


「こっちだ、オーガ!」


『グゥ……』


更に上を目指す鬼を制止し、引き付ける。

ここで倒さなければ上の階層で死者が出る。いや、もう下で何人も殺してるかもしれない。


ここで、やらなくちゃ。


「うぅおおおおおおおおおおおお――――――――――――ッッ!」


ナイトプレートを抜刀し斬りかかる。

連撃を複数回にわたって放つ。


『ガァアア!!!!』


オーガも右手に握る大剣で俺を狙う。

動き自体は速くない、だから避けれる。でも、当たったら不味い。

一撃だけならまだしも二撃――――耐えて三撃で死ぬ。


「せあっ!」


《ソニックリード》。緑色の纏いが揺らぎ、斬撃となって肉を絶つ。


(次!)


動きを止めるな、走れ。


腕を動かせ、もっと速く――――――――――――もっと!


『ガァアアアあああああああああああああああッッ!!!!』


「うぉっ……」


鬼の回転斬りを寸前で回避する。

心なしか速度が徐々に上がってきている気がする。


……成長、しているのか?


ありえない、とは言わない。


ダンジョンは、未知ありえないで満ちている場所なのだから。


魔境であり修羅。


そこで生まれた強者がさらに強くなるのは道理。俺より早いスピードで強くなるのは当然だ。


『ガァアアア!!!!』


「ぐぅっ……!」


大振りの上段を流水剣で受け流す。

そして反撃。しかし俺の流水剣では師匠のような火力を出せない。

受け流す剣、防御の流水剣は会得できたが攻撃の流水剣は未だ修行途中。激流の秘剣は遥か遠く……。


(なら、出来る剣を組み合わせろ! できる全てを思考しろ!)


俺にできるのは上位剣技までの片手剣と防御だけの流水剣。そして、小さな炎。


神威なしで小さな炎は出せるようになった。


だが、必殺となる火力は持ち合わせていない。だからこそ、一撃に。


「ぁ……」


『グゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!」


しかし、敵の成長のほうが早かった。


大剣の一撃をまともに受け、大きく吹き飛ぶ。切れ味のない「なまくら」とは言え、そのダメージは大きかった。


吐血。打撲。あばらが二、三本逝った。


「ぐっ……」


立てない。力が入らない。


そこに、誰かが立った。


「大丈夫」


「……ぇ」


そこには、《閃光姫》アリス・フリューレが立っていた。


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