白の災厄《ホワイトディザスター》
ダンジョンの中、俺は紫色の液体――回復ポーションを飲み、傷を治す。
「……帰るか」
ポーションを使いながら一対一の戦いを続ける。これがソロで最も効率の良い戦い方だ。
功績、というか実力が認められた俺は最前線の下層に潜ることが許され、今いるのは七十六層。本当の死地といえる。
「きゃあああああ⁉」
(なんだ⁉)
声の下に走るとそこには八人ほどのパーティーが。その中にいる女性。その子がスケルトンに襲われていた。
(……っ)
俺は躊躇った。ここで助けてどうなるかを考えてしまった。だけど、俺は何の為に冒険者になった。英雄になる為だ。
「ハァッ!」
スケルトンの頭、胸、股にかけて真っ二つにする。周りにいる他の個体は三十秒程で仕留めた。
「無事か⁉」
「あ、ありがとうございます!」
「助かった……」
「本当にありがとう」
「君は……」
「俺はアルタイル=アリエル」
彼らは《クラリン・クラン》の団員らしい。数はこれだけのようでかなり小規模。しかしこの階層に潜ってこられるだけの実力はあるみたいただな。
「アルタイル……どこかで聞いたような……」
ギリギリ記憶の外らしい。
彼らと俺が安堵したその時、真の地獄が襲う。
「ワォォォォォォォ!!」
狼にも似たその声が大きな足跡で近づいてくる。
「……なんだ……あれ……」
ゾクッ、俺達に悪寒が走った。それは、《絶望》だった。
姿は真っ白の巨人。大剣と盾を持った巨人はこっちに向かってくる。
「う、うわあああああ!!」
団員の一人が恐怖で逃げ出した。俺達もそれに続こうとする。しかし、俺達がそっちを向いた
その瞬間。その男の首から上が無かった。
そう、消えていた。俺達がそれに気付いた時、その巨人は死者と俺達の間に立っていた。




