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星の勇者 リオン・レイア

第四部【英雄たちのカーテンコール】

今までに描けなかったショートストーリーを含めた物語。

短編が重なっているのでご注意。

「さぁさぁ! 追い詰めたぞ魔将軍!」


そう叫ぶのは一人の少女。いや、この場では勇者と呼ぼう。

神に選ばれた「星の勇者」、と。

本来、相応しい資格を持って生まれたのは別の少年だった。しかし、彼では遅すぎたのだ。

だから神々は、魔王に対抗できる急増品の勇者――――――――――――リオン・レイアを生み出した。

ところが神々の予想に反し少女はメキメキと力をつけ簡単に魔王軍幹部を倒していく。

そして彼女は本物の勇者として後世へと語り継がれる。


「……勇者、今度こそ貴様に引導を渡してくれるわ!」


スケルトンの剣士、魔将軍のスレイ。

魔王の右腕として長年支え続けた骸骨の英雄。


誠実にして天下無双。


彼の剣には死後の念が込められており、人間時代の技術が更に上の境地へと至っている。


「ふふーん、こっちのセリフだよ。あなたには何度も負けたからね!」


そう、彼女はスレイに何度も負けている。

それでも、神が味方したかのように勇者は生き残った。何度も何度も繰り返して、強くなった。


「「けんつるぎで」」


互いに愛剣を手に取った。

魔剣ベルザーと勇者の剣。剣の性能では勇者に軍配が上がる。神が自ら鍛えた逸品なのだから。

しかし、絆という面では魔将軍だろう。人間時代から使っていた相棒なのだから。


「「勝負!」」


正々堂々の一騎打ち。

この戦いには勇者の仲間二人も手を出さない。現代最高の賢者と、刀使いの少女は。


「せぇえええい!」


「カァ――――ツッ!」


双方の剛剣が衝突する。

剣の腕は互角。ならば、その他の面で敵を超えなければ。


自分の全てで対抗しなければ。


目の前の好敵手に失礼だ!


「あなたとは、敵でありたくなかった」


「まったくだ。お主とはいい競い合い手になれたものを……」


「では、来世では共に……己を高め合いましょう」


「ああ、ここからは言葉は無粋。……我を超えていけ、魔王様に辿り着きたいのであれば!」


先に動いたのは魔将軍。

死の闘気を纏った剣が勇者の肉体へと迫る。


(ここで止まれない。魔王がどれだけ優しい男でも、私は倒さなくちゃいけない)


少女は片手で剣を構える。


それは、勇者の基本的な技、【天翔】を派生させたもの。

天翔が闘気の斬撃を飛ばすのに対して、この技は闘気、魔力、気、紫電、聖気の全てが込められている。


「――――――覇王ハオウ戒殺剣カイサツケン!」


「――――――」


漆黒の闇が勇者を襲う。


しかし勇者は、右手の剣を迷いなく振るった。


勇者絶剣撃ヘルトスラッシュ!」


勇者の一撃。


「……見事!」


「うん……あなたもだよ、魔将軍スレイ。あなたに、神の加護が在らんことを」


勇者はまた歩き始める。


「リオン、また吸血鬼が出たみたい」


「どこで?」


「アースリア」


「冒険者の聖地じゃん。でもそっか、聖気がないとあれは倒せないから……」


「うん、勇者のお仕事」


「わかった、いくよ。……そういえばシーナ、あそこらへんの出身じゃなかった?」


「覚えてたんだ。うん、そう。と言っても行ったのは二回だけだけどね。でも、そっか……あの人にまた会えるかなぁ」


「あの人って、最近話題の黒き剣士?」


「誰それ?」


勇者の問いに賢者は溜息をついた。


「なんか急成長の筆頭らしいよ。強力な未確認モンスターをほぼ一人で倒したみたい。それにボスモンスター攻略に大きく貢献したって」


「すっごー! そんな人いるんだ、一戦やってみたいなぁ!」


「……でもシーナがどうして会いたがるの?」


「ちょっとね。……彼、私の英雄なんだ」


「へーっ……じゃあ会いに行きますか、その剣士に!」


「「目的変わってる」」


「ありっ?」

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