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新世界(ニューワールド)

 これは異世界、アースリア世界へと転移する少し前。

「ねぇ、兄さん」

「ん? どうした」

我が弟、優也の声に兄である俺が反応する。

「兄さんたちって、最初どうしてたの?」

「最初?」

「そう。プレイヤーがニューワールド・ファンタズムに閉じ込められてからの話、聞いたことないなって」

「ああ、確かに……本になってるのもだいたい冒険時代からだもんなぁ」

「そうだよ。聞かせてよ、兄さんの話」

「いいぞぉ。じゃあ、話そうか。道化のギルガメッシュが英雄王と呼ばれるに至った経緯を」



 フルダイブ。二〇二九年に鬼才、流川大智により完成されたそれは、人類を新たなる世界へと誘った。時にはファンタジー、時にはミリタリーガンアクション。時には、本物へと。

そして、世界初のフルダイブVRMMOニューワールド・ファンタズムが発売されて一年。

二〇三〇年十二月二十五日。クリスマスイベントが告知されていたのでワールドにはプレイヤーが集結していた。


「わぁ……!」


 俺は、初めて仮想世界にダイブした。

全世界で話題のVRゲーム、ニューワールド・ファンタズムへと。現実の身体と変わらない感覚を持ったアバターは、ここが電脳世界という事実を忘れさせる。


自分へのクリスマスプレゼントとして応募したクリスマスキャンペーンに当選し、初体験したこの世界。凄まじいとしか言いようがない世界の作りこみの細かさには感嘆する。


剣と魔法のファンタジー世界、そこで俺はもう一人の人間として生きるんだ。プレイヤーネーム《ギルガメッシュ》。俺が一番好きな英雄から名前を貰い、それに見合うように強くなりたい。このゲームのシステムは完全レベリング制。つまり、どれだけ戦ったかで強さが決まる。


「新しいゲームってのは、なんでこうも毎回ワクワクするんだろうなぁ」


背中に担ぐ初期装備の片手剣を撫でながら周囲を見渡す。【始まりの街】と呼ばれるそこは初期スポーン地でもある。チュートリアルは受けたからスキルの発動方法も分かっている。なら。


「じゃあ、初戦闘といきますか」


 街を出て数分。平原には多くの動物、モンスターが生活していた。


 その中には、HPバーが赤く囲まれているモンスターが。レッドカラー、つまり敵対モンスターだ。そいつは黒い毛皮に覆われたライオン。


種族名、【シャドウレオ】。


「先手必勝!」


剣技スラスト。背中から抜刀した片手剣で上段斬りを放つ。

しかし予想外に敵へのダメージが浅い。獅子はその爪で反撃してきた。


「うおっ……」


左手から赤いポリゴンが漏れ出る。これは、未成年への配慮か。まぁ確かに最近こういうのに厳しいからなぁ。


「他に有効な攻撃……そうだ、まだあったな」


獅子と俺は互いに向かい合う。睨み、そして―――突進した。


「せ、ぁああああああっ!」


『ガァアアアッ‼』


単発突進剣技、《シューティング》。緑色の光を纏った剣が獅子の心臓部を貫いた。

そして、シャドウレオはポリゴン片へと霧散する。


「……ハハッ、こりゃ楽しいな。―――――よし、決めたぞ。この世界に一番強くなってやる」


我ながら厨二臭いが、目標があった方が頑張れるというものだ。


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