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剣と剣

振り絞れ、己の全てを、拳に乗せろ。


「せ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!」


「………さよならだ、人間たち」


拳から放った衝撃砲によって神の上半身が吹き飛んだ。そして、存在自体が消滅した。


「…………ぁあ、さようなら、アード。………最も優しき男神よ」


***



戦いが終わった。「黒き拳士」による一撃で神は死に、脅威は去った―――はずだった。


「ああ、やっと終わったー?」


 半壊した塔の上空に浮いているのは、やけに嬉しそうな子供。


「子供……?」


「空を、飛んでる…………!」


「彼は、いったい――――」


「うそ、だろ…………!」


音花新だけが、その少年を知っていた。三年前、殺されかけた相手なのだから。


「………〝妖戒ディザスター〟………⁉」


「あはは、久しぶりだねー。勇者くーん」


「ど、どうして、こんなところに………!」


「うーん………花嫁を連れていくために、かな」


「は、花嫁?」


ディザスターと呼ばれた少年は優しく、無慈悲に語りかけた。


いいや、彼なりの慈悲なのだろうか。


「魔王の花嫁」


「…………は?」


彼らが話している内容を理解しろ、俺がみんなを守るんだ。


「予言が出たんだよ。魔王の花嫁になる女性は二人。一人は異界から降り立った白い姫」


「六花⁉」


少年の後ろに目を閉じた少女が。………彼女が花嫁? もう一人は?


「そしてもう一人は――――作り物の剣聖」


「…………えっ?」


――――――――アリス?


「君だ」


「ぁ………」


少年はアリスを気絶させ、同じように浮遊させた。


「何を………何をする気だ、ディザスター!」


「だから、結婚式だよ。結婚式」


「ふざ、ふざけるな………!」


「君達にはどうしようもないことだと思うけど?」


「なら、俺がやってやる」


 そう言いながら一歩踏み出すと、


「黒き剣士………異世界の事情に関わらないでもらえるかな」


「ならアリスを返せクソ野郎」


「…………チッ」


少年の背後に現れたのは四つの光球。


あれはロゼラリアのレーザーと同じようなものだろう。


「まぁ、そうなるわな。――――起きろ、ナイトプレート」


この身体に宿って分かったことがある。この愛剣は、俺の魂と同化していた。

だからHFで召喚出来なかった。そのやり方を知らなかったからだ。だが、今なら――――


「真相解放、【虚王之神ギビル・シェリタ】」


真の力とやらも解放できる。


黒い刀身が輝き、その夜はあらゆるものを包み込み、あらゆる敵を斬る。


「目覚めろ、ベールリオン。――――【永久之神アザリート】」


ベリアスが作ってくれた剣。恐らく人間が創造した武器の中では最上級の性能だ。

ホワイトディザスターの核と魔法金属の剣から生まれた片手剣。まだまだ若いが相応の力を溜めている。永久に俺と共にある剣でもある。

それらの剣を構え、敵と相対する。予想ではあるがアードよりも強い。いや、より正確に言えばポテンシャルが高い。経験不足を感じさせる体勢――――。


(なら、先手を取って早く仕留める――――!)


片手剣四連撃 《エクシア》。四方に打ち出した斬撃。

攻撃は惜しくも光球に防がれ、少し距離が空く。


(今、一瞬反応が遅れていた………やはり反射で動ける程の経験がないんだ)


手数で押してみるか。そう考え二刀剣技を放つ。


「せぁあっ!」


二刀流上位剣技 《アトラス・オネスティ》。十一撃の剣は奴の身体を僅かに捉えた。


(いける………!)


「⁉」


しかし、その予想は覆された。何故なら、奴が《加速》したからだ。

いきなりの事で虚を突かれ、攻撃をモロに受けてしまう。


(クソ、コイツ…………加速能力持ちかよ………)


それならそれでやりようはある。………が、この身体で使えるのだろうか。


「やるしかないか………ブーストアクセル。ソニックアクセル」


思考加速、身体速度加速の重ね掛け。その武技の名は――――、


「―――……《神加速方法アルティメットアクセル》」



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