薔薇の誘い
次の日、ダンジョンから帰った後。
「よっと……」
いつもお世話になっている宿の部屋に戻りベッドに座る。
「修行に行くか」
ダンジョンの後には修行。これが一日のルーティンになっている。
外壁の外で素振り千本。型の調整。
「おい、貴様!」
誰かに声を掛けられる。そいつは白銀の鎧を身に纏った騎士。そして胸には薔薇のエンブレム。
「《ロゼラリア・クラン》の団員が何の用だ」
「我らが主神、ロゼラリア様がお呼びだ。一緒に来てもらおう」
「……ふぅん」
「貴様!何故剣を振り続けている!早く来んか!」
「断る」
「なっ……クソ。どうやら力ずくで連れていくしかないらしいな!」
その男は腰の剣を引き抜く。俺はため息をつきながらナイト・プレートを鞘になおして地面に置いていた量産型の片手剣を手に取り剣を騎士に向ける。
「貴様、その武器はどういうつもりだ!」
「どうもこうも、あんたにあの剣を使うのはもったいなくてな。今はこれしか無いから」
「この……主に会わせる前にその口、切り裂いてやるわ!」
そう言って男は冒険者カードを取り出し、それをタップする。俺のカードは『クラデオルに決闘を申し込まれました。承認しますか?』と空中に映し出した。それのOKボタンをタップ。そして条件は『一撃決着条件』一つの技で全てを決める。
空中に十秒のカウントダウンが表示される。お互いに剣を構え、集中。
GO!
俺は一瞬早く走り出し、剣技を発動させる。クラデオルは両手剣上位単発重突進技 《ギガゲイン》を発動。互いに間合いに入った瞬間。剣はぶつかる。キィン!とぶつかった二本の剣。そして、クラデオルの剣は二つに折れ、先端は地面に刺さる。
「片手剣下位剣技――《ソニックスラスト》」
俺は剣を鞘になおし、
「あんたの主神に伝えておきな。俺は……〝アンタ等に嫌われている〟ってな」
騎士は膝を付いたまま黙っている。俺はその場を去った。
そしてその決闘を見ていた者がいた。
「アリオス様、彼は一体何ですか?主神の加護もなく、レベルアップすらしていないのにあ
の強さ……」
それに神が答える。
「う~ん……彼は特別なんだ。その特別さに俺達、神も恐れている。それに……彼の魂を気に入っている爺さん婆さんがいるからなあ……」
(けど、ロゼラリアがあの子を求めているということは………彼が……)
「運命ってのは不思議だ……神ですらわからないものが突如現れる」




