ソウテン
宿に着いた後。
「合わせる‥‥」
アルタイルさんに言われたことを頭に浮かべ、思考する。
ナイフと紫電、どうすればモンスター相手に効果的な立ち回りを出来るか‥‥一撃で薙ぎ払うことはできない、それなら連撃で――――いや、連撃では「紫電一閃」程度の威力になるはず。
「どうすればいいんだ‥‥?」
無いなら無いなりに組み合わせる‥‥愚者なら、愚者なりに。
威力、速度、範囲‥‥全てを万能にこなせる必殺技を作らなきゃ。
そうでもしないと、誰も守れない。
今の僕ではただ守られる弱者に過ぎないのだから。何か、何かないか‥‥切り札。
「そうだ‥‥」
昨日職員さんから聞いた話だ。
***
「《双天》?」
ギルドでアルタイルさんの情報を教えてもらっている時。
「そう、彼の‥‥必殺技みたいなものかな」
「いったい、どんな技なんですか?」
「彼は二刀流の使い手なんだけどね、二刀に規格外のオーラを注ぎ込むことで高威力の一撃を放つ。それが《双天斬撃》‥‥彼の奥の手だよ」
「双天、斬撃‥‥」
***
(そうか‥‥紫電を纏わせるんじゃなく、内側に装填すれば‥‥《奴隷恋慕》を使って――――)
「出来るかも‥‥」
しかし、それを試す暇はなかった。
邪神は既に魔の手を発動させていたのだから。
夕焼けが暗闇へと変わり、その不自然な夜がアースリアを包み込んだ。
『あっ、あー。テステス』
その声は街中に広がる。
冒険者の一部はその声に聞き覚えがある。
そして僕も、つい最近その神の声を聴いていた。
「この声‥‥!」
「まさか‥‥貴様‥‥!」
「………また、殺しに来た‥‥」
『やぁアースリア、久しぶり。君達が憎む邪神‥‥アードだよ』
全ての一般冒険者は各々の武器を手に取った。
彼らの目は殺意を持っている。ギラギラと鋭い殺意を。
『今夜はみんなとゲームをしに来た。そう‥‥この世界の崩壊か、短い安寧か。それを選択するゲームをね。この放送が終わると同時に六体のモンスターをアースリアに解き放つ。勿論逃げようとしても無駄だよ? 結界師は沢山いるんだから。この街で生き残る方法は唯一つ、モンスターを殺し、僕を殺すこと』
「アード‥‥!」
『そして、アルタイル・アリエル』
「っ!」
『白雪六花は預かった』
「は‥‥?」
『――――さぁ、ゲームを始めよう!』
「‥‥――――六花ぁああああっ!!!!」
ここに、都市決戦が開戦する。