英雄継承
魔術【紫電】
その名の通り紫色の電撃を放つ魔術。
敵を感電、麻痺させたり、チャージによって威力をあげた必殺にすることが出来る。
心の強さによって威力上昇。詠唱無し。
【チャージボルト】と【ソニックボルト】の二種類が存在。
別名【想いの雷】。マインドを使った技を中和する効果がある。
「おぉっ……」
念願だったスキルと魔術を獲得したことに興奮し、ゼウス様の祠に直行した。
そこで教えてもらった魔術の詳細は凄まじかった。
「詠唱、なし……」
確かに、咄嗟に出せたけど‥‥。
『これは、また凄まじいものを‥‥。シン。この魔術には二つの種類がある』
「はい」
『お前が使ったという速攻魔術【ソニックボルト】。そして溜め攻撃【チャージボルト】』
「【チャージボルト】…………」
『これの威力は岩すら砕くだろう。そしてこの魔術の最大のメリットは』
「メリットは…………?」
『魔術と攻撃スキルを相殺できることじゃ』
「相殺」
『そうだ。例えば炎の魔術が飛んでくるとしよう。お前はこれを軽く撃つだけで防げる』
「えっ⁉」
『まさに反則。まさにチート。まさかここまでやべーとは思ってなかった』
「ち、チート…………」
『もうこの力に武器が耐えられなくなる。シンよ、【雛鳥帽子店】という武器屋に行け』
(雛鳥…………)
「分かりました。行ってみます」
***
といっても実際に行くのは次の日だった。
「こ、ここかな…………」
アースリア南区、細い路地の先にある古ぼけた木造の建物。
看板にはひよこのマークが書いてあり、子供に好かれているようだ。
「す、すいませーん……」
扉を開けると、薄暗い景色が広がっていた。そして、【小人族】のおじさんが出てきた。
「おう、坊主。どうした、武器か?」
「は、はい。あの………ゼウス様に言われて来たんですけど‥‥」
「ほぅ‥‥お前、あの人の家族か」
「そうですけど‥‥」
僕の答えを聞くと、おじさんは「かかかっ」と笑い「待っとれ」と言いながら店の奥に向かった。
「‥‥」
店内を見渡すと、多くの武器が飾られていた。
武器屋なんだから当たり前だ、とい考えが湧くが、僕自身武器屋に来たのは初めてだ。
なんか、ワクワクする。…………かっこいい。
「待たせたな」
「あ、いえ」
おじさんの手には黒い鞘に収められたナイフ――刃渡りは三十CM程だろうか――が握られていた。何故だろう、すごく、目が引き付けられる。
「こいつはな、前の【ゼウス・クラン】の鍛冶師が鍛えたもんだ」
「前の?」
「お前たちの世代じゃしらねーか。もう五十年前になるが、あったんだ。ゼウスの家族は」
「その武器、ですか?」
「ああ。超高級金属オリハルコンで出来ているが、その鍛冶師が魂を込めたおかげでゼウス一家にしか扱えない…………小僧、今は唯一の息子だろ?」
頷くと、
「じゃあ、お前専用の武器だ」
「…………!」
(僕、専用――)
恐る恐るそれを受け取る。―――重い。長年の想いが継承されたのだ。
これは、絆。次世代への聖火。
「銘は、【ライジング】。進化っつー意味だ」
「…………進化」
(僕、進化できれば…………あの人の―――)
「ありがとうございます。お代は――」
「ああいらねぇよ。預かってただけだしな。整備はしてやるからまた来い」
「…………はい!」




