夜が群れるは陰る月
本日も短め、次回は長めに仕上げます。
「……」
カチャリ
「……ふぅ」
2人は寝ただろうか
コーヒーを飲み干しカップを置く。夜というものが俺はそこそこ好きだった。誰にも邪魔されないところが心地が良い。
ガチャリとリビングの扉が開く。
「……」
「……」
「どうした、どっちが来たか分かんないが、枕は合わなかったか?愛華さんよ」
「……」
「まぁそう驚かないでくれ、見えてないと言っても大体は分かる、コーヒーの用意をしてやろうか?眠れないのだろうよ」
「……何をしているの?」
「見ての通りコーヒーを嗜んでいるんだよ、やはり夜のこの時間は落ち着ける唯一の瞬間だよな」
「手に持ってるそれを見た私に対して同じことが言えるのかしら?」
ストン、落とした包丁は軽い音を立てて食材を切った。
「なんだ?料理は落ち着く要素にならないのか?この静かな空間で料理する音だけがある、綺麗だし美しいだろ、愛華さんも分かるようになればいい」
「……そう」
とキッチンの向かいに座る。
料理の良さを理解しようと歩み寄ってくれたか…。
「コーヒーは?」
「いらないわ」
「じゃあホットココアを作ってやろう」
「…そういうことでは無いのだけど、まぁ貰ってあげるわ」
「眠れない夜にはココアと相場が決まってるんだよお嬢さん、まぁ悪い子になりたければコーヒーという選択肢がある訳だが」
「悪い女にしようとしてたの?意地が悪いのね」
「悪女の方が、君には似合ってるだろうに」
とココアを差し出す。
「……」
「……」
それからただ黙々と料理をする。
それを何を考えているか分からない瞳で愛華さんは眺めている。
1時間も経てばココアは空になったようで、空になったカップが前に差し出された。
「珍しいわね、貴方が私に対して何も言わないなんて」
「…珍しいな、愛華さんが何も言わずにこちらを見ていたなんて」
売り言葉に買い言葉、少しムッとした表情をしたようだが、無視する。
「寝なくていいのか?悪い子になるぞ」
「コーヒーを飲みたくなったわ」
「仰せの通りに」
ゆっくりとコーヒーを淹れ、慣れた手つきで差し出す。自分のコーヒーも同時に淹れる。
「お茶請けに話が欲しいかな?」
「そうね、眠れなさそうな話を頂戴」
「……はぁ、しょうがないな、悪い子になったことを後悔させてやるよお嬢さん?」
目を開けると、隣に彼女は居なかった。
…、僕は身体を起こし、ゆっくりと部屋を出る。
リビングに明かりが付いており、ドアが少し開いていた。
中を覗こうとすると声がした
「しょうがないな、悪い子になったことを後悔させてやるよお嬢さん?」




