体育祭準備でも何かあるらしい
事件はどこで!起きてますか!
「参加する?」
「うん、せ、折角だし…やってもいいかなって」
いつもならやっぱり嫌とかいう拓也が珍しく、決意を持った瞳をしていた。
何かあるのは間違いないが…それが何かは俺には分からない。
もしかすると悠斗と何か話したのがきっかけなのかもな、と思ったが、まぁいい、詮索するのは野暮ってものだ。
「よーっし、そうと決まれば1位狙うしかねーな!」
「うん!」
あ、そこはちゃんと目指してくれるんだ、意外と思いつつ、からかう程のことでもないので2人で拳を上にかざす。
ほんとに悠斗はこういうところノリ良い奴だ、まじで弟感が強い。たまに撫で回したくなる衝動が…まぁかっこいい時はかっこいいヤツだからこれだけじゃないってのはいいとこだよな。
「ということだ拓也」
「俺の助言が効いたか」
「いや、別にされてないけど…」
されてないのかよ、なんだ今の師匠ムーブ、ってまぁそんなことはどうでもいい、練習…ってのも
「俺らなら問題ないなぁ…」
「ま、そうだな…」
「まぁ僕も別に遅くないし」
こう見えて俺らはかなりのハイスペック3人組なので割と練習せずとも結果は出せるわけで
「ま、もう1人もいるし、そいつとも結束するくらいのことはしとくか!」
「賛成」
「わかった」
と拓也の提案でもう1人のリレーメンバーに話しかけに行くことになった。
「一輝」
「ん?あぁお前らか、どうした?って聞くまでもないな、今体育祭準備だから、リレーの話だな」
「物分りがいいことで…さーって一輝くん、君はどうなんですかぁ?」
「どうって…何が?」
「んー?そりゃ恋愛事情に決まってるでしょう?」
「あー、一輝ごめんな、こいつ振られたから今無敵の人なんだわ」
無敵の人ってのも違うけどね、リレーってことは誰かに勇姿を見せたいのかなってことで、ってのは言わないが。
「俺か?特にだな、まぁウチは陸上部いないし、単純に足速いヤツでやる気あるからってとこだ、お前ら2人はわかるが…悠斗が出るのは珍しいな」
「まぁ、折角だし?」
「そう、なんだかんだ悠斗は俺のわがままを聞いてくれるんです」
「お前が発端か、可哀想に」
「まぁ俺としては悠斗が出来るやつってのを自慢したいだけだがね」
なんだかんだこのメンバーの中だとよく悠斗が陰口を言われやすい。悠斗自体は気にしてないのだが、俺が気にする、やっぱり悠斗は自信を持つべきなのだ。
「ソレは同意だ、蒼空、拓也は言わずもがなだし、蒼空お前も愛嬌はあるもんな、俺もたまに悠斗の陰口は聞こえるよ、滅多に無いがな、有名税って蒼空は笑うが、実害があるかもしれない芽は潰す魂胆か」
「!」
「おーっと?一輝くんや、勘のいいガキだねぇ、そういうとこ嫌いじゃねーぞ」
「悠斗、そういうことだよ、なんだかんだコイツも考えてるんだって」
まるで普段は考えてないみたいに言うねぇ、ま、あんまり考えては無いが。
「お前も素直じゃねーなー、蒼空」
「なーんのことかなー?俺はみんなで楽しく体育祭したいだけなんだけどなぁ、まったく!一輝ったら深読みしすぎなんだからぁ」
「照れ隠しだな」
「えっと、ありがとう…」
「おーっとソレは活躍してから言うべきですぜ、悠斗くんや」
「それもそうだな、っし、ちょい練習するかお前ら」
一輝がやる気出したみたいなので、折角なので4人で練習することになった、
ちなみにこの学校は体育祭準備期間という期間があり、午前授業が1日だけなくなり、その時は体育館やらグラウンドが学年で使いたい放題の時間だったりする。
まぁリレーなのでグラウンドじゃなくて体育館で出来るので4人でそっちに行き、まぁ特筆することも無く純粋に走ったりバトンの受け渡しやらの練習をするだけやってその日は一輝とも、ある程度仲良くなれたのだった。悠斗の方は知らないけど、人見知りだからね。
拓也「ということで一輝よ、悠斗、どうだった?」
一輝「なんか…すげーな、なんていうか動けるな」
拓也「だろ?アイツはだいたいなんでもこなすから」
一輝「ほんっとお前ら怖いな…ナニモンだ?」
拓也「努力の俺、愛嬌の蒼空みたいに言うなら、アイツは天才だ」
一輝「つーかアイツも愛嬌で済むのか?」
拓也「済まないだろうね、まったく揃いも揃って…人の努力も知らないでって」
一輝「お前が一番苦労してんだな」
拓也「まぁ金はあるんだけど自分の力じゃないからさ」
一輝「お前が自分のことを金しか取り柄のないヤツ、みたいに言うのは珍しいな」
拓也「アイツら見てると、嫌でも感じるわ」
一輝「全くだな、俺も知りたくなかった」
変に意気投合する2人だった