夜空に煌めく花は彼には写ってないらしい
夏も終わりメインヒロインの残滓が薄くなっていくこの頃、そろそろ本編に足を運びます。
「祭だー!」
「はい」
「はいじゃないが!行くぞ!」
そこそこ夏を堪能し夏休みも終盤のこの時期と言えばまぁ締めを飾るべきは夏祭りだろう、近所の花火大会、運命が決まる日に拓也、美香さんと今回の話し合いをしていた、悠斗も居ないのはきっと美香さんの案だろう
「んで、前に言った通りお前らがハグれたから俺が探す口実で、だけじゃねーんか」
「話が早いなぁ、蒼空」
「そうそう、やっぱりせっかくだからもっと近づけちゃおうって」
「はぁ…」
事の名目はこうらしい
「花火の時間じゃなくてもっと前から居なくなるから3人で遊ぼうよ」
「なるほどな、あっちの距離を近付けつつ俺に配慮した形ね」
「そう!」
「なら、俺はそれでいいぞ、」
合流する気なんて無いがな、と内心で思ってると
「これダメだな……けどこれ以外に方法は…」
「じゃあ私たちで探しましょう」
「名案だな…なら探すって名目のタイミングからすぐに…」
何やら2人でなんか嫌な会話をしている気がするが、まぁいい。
「んじゃま、俺は甚平着るけどお前らは?浴衣?」
「たり前だろ!もちろんアイツらの分も完璧に用意してるぜ」
「はいはい、俺の分もあるとか言うんだろ?拒否するよ」
「まぁもう別の着るって言われたからさすがに言わなかったけどな!着たけりゃ何時でもいいぜ!」
「着ねーよ、んじゃそろそろアイツらも呼ぶか」
と言うことでいい感じのお時間に全員で俺の家に集合、着替えは俺の家でするそうで、
「んで家主なのに部屋に入れられてんだよ…ってまぁ仕方ねーか女子組の着替えなんて覗こうものなら色々アウトだからな…でもアイツらはまたなんでだよ…ったく…」
それから数十分して女子組から問題ないとのメールを貰ったので階下に行く。
「おー、2人とも似合ってますね」
「でしょー、いやー着物が似合う美人さんっていいよね」
「はい、それであいつらは?」
「ん?拓也はそこに倒れてるし、悠斗くんはそこにいるよ」
「何してんだ拓也、悠斗、俺が介抱しとくから」
「ありがとー」
「お前はさっさと氷川さんをベタ褒めするんだな」
「か、からかわないでよ!」
と悠斗と交代する。
「拓也、らしくないな、どうした倒れて」
「美人が2人、倒れない方が無理ってことだ」
「あ、そう大丈夫そうだな」
「えっと……氷川さん、に、似合ってる…よ」
「えぇ、悠斗も似合ってるわ」
「初心だねぇ」
「分かるわぁ、おじさんたちには目の保養ですなぁ」
「ふざけたこと言ってると悠斗に怒られるぞ…まぁいいもんだな、あれが恋ってやつなんだな」
嫉妬なんて上等な気持ちは湧かないが、俺の目に彼女らは輝いて見えた。
「……なんか蒼空が儚げだな」
「このまま1人にしたらフラっとどこかに消えそうな怖さがあるね」
「……なんか言ったか?お前ら」
「いーや、お前も早く彼女作ればいいのにって、な、美香」
「そうそう、優良物件なんだからー、それに蒼空のこと好きな人だってクラスに1人はいるんじゃないの?」
「何言ってんだ、そんなん有り得ねーよ」
「いるには、いるんだがな……ったく、コイツらは揃いも揃って自分の好意に鈍感だな…」
「拓也なんか言ったか?」
「なんも言ってねーって、っし、じゃそろそろ行くぞ!」
と彼の号令で5人で祭り会場に向かう。
「じゃ作戦通りに」
「おk」
「拓也、早く!祭りだよー!」
「おい美香引っ張んなって…」
「仲良いね」
「そうね」
とみんなで歩くように見せかけ拓也美香が前に出るように俺は後ろへと少しづつ下がる。
「……これでいい」
2人、いや4人に見つからないように俺は人混みに紛れていく。誰も後ろは見ない、俺のような影は光には見えないように雑踏に溶け込むのだ。
すぐに誰も居なくなる。いや俺が距離をとる。
「よし、拓也の考えなんてお見通しなんだよ…俺はお前らの邪魔をするのは嫌だからな」
と1人で祭りを回ることにしたのだった。
「やられた!」
「どうしたの拓也」
「くっそ蒼空のやつ、居なくなりやがった…」
「あれ、ほんとだ…あの人は…」
「幸い悠斗は気付いてない、俺らもこのまま2人になるが…美香、どうする?」
「どうせ探しても見つからない場所に蒼空っているよね」
「そうだろうな…ったく、シンプルにあいつの思惑に乗っかるか、素直に楽しめねーな…」
「彼ってそういうとこあるもんね…仕方ないよ、できるだけ楽しも」
「あぁ……切り替えてくかぁ…」
「あれみんないなくなっちゃった」
「そうね、2人きりにしてくれたんでしょう、拓也くんと美香さんは元々その気だったみたいだし、蒼空くんに関しては…まぁいいわ、楽しみましょ折角だし」
「う、うん!」
思惑は錯綜する




