2週目(2)
閑話寄りの会話
「…案外器用なのね」
「蒼空は器用だよ、僕よりなんでも出来るから」
「器用貧乏って言ってくれ、生憎そこそこしか出来ないもんでね」
と料理を作りながらそんな会話をする。
「そういえば蒼空くんの好きな物って知らないわ」
「あ?別に無いな」
というか何気に名前呼ばれたこと無かった気がする。普通に驚いた今。
「無いの?」
「んー、ねーな」
「…」
「ノーコメントだ」
私はどうなの?みたいな目で見やがって、最近俺の事虐めてばっかだな、氷川さんは、何がしたいんだ。
「…氷川さんは?」
「お前が聞くのかよ、性格悪いな2人して」
「?」
「もう別に、興味無いな、友人の好きな人に振られてんのにその人との恋をまだ夢見るって、道化か引き立て役のモブか、そんくらいのもんだぜ」
「その程度だったの?」
「身を引くのも紳士の嗜みだよ氷川さん、ほら適当になんか摘んどけ、この話はこれで無かったことにしろ」
「元々、食べさせるつもりで作ったくせに」
「ハイハイ何言ってっか分かりませーん、食え食え、なんなら拓也たちにも持ってってくれてもいいんだけど?」
「じゃ僕が行くよ」
「2人して行けよ、そこは、悠斗も人を虐めるのが好きになって来たか?」
からかい半分の口調で言う。
「え!そんなことないよ!い、行ってくる!」
「おいコラ連れてけや…はぁ…全く悠斗は…」
「本音、漏れてるけど?」
「なら1人にさせてくれませんかね…アンタが着いてけば話は早いけど?」
「私ってこう見えてお人好しなのよ、寂しそうな人を1人にはしないわ」
「どうせ悠斗もそう言うんだろうな…なんだって俺なんか」
「そうね、興味無いと断った手前こう言うのもアレだけど、今は興味あるから」
「そ、意外と気を許したやつには懐が広いんだな」
だからなんだと思ってるが、それは悠斗にやってくれ
「モブに優しくすると勘違いされるぞ、辞めとけ」
「あらそれは困るわ、でももう私には興味無いんじゃないの?」
「…最悪の返しだな、よくやり手って言われない?」
「あいにく、今まで友だちが居なかったから言われたことないわ」
「そうか、じゃ今後よく言われることになるぜ」
と言うと何故か表情を驚かせる。
「…なんで驚くんだよ」
「悠斗みたいなことを言うのね」
「違うぞ、悠斗が俺みたいなことを言ったんだ」
「株上げかしら?」
「昔のアイツを知ってるんだから俺が正しいに決まってんだろ?にわかめ」
「悠斗の彼女になる私に対して挑戦とみていいのかしら?」
「いいぜ?昔のアイツを知らないにわか野郎は分からせねーとダメみたいだなぁ!」
と構えた瞬間にドアが開く。
「…なにしてるの?」
「「…多分喧嘩」」
「そっか」
何故嬉しそうなんだい悠斗、と思ったが、まぁなんだかんだ俺も慣れたんだなと思うと、不思議と俺も笑ってしまった。
「笑うなんて珍しいわね」
「悠斗はよく笑うけどな」
「いえ、あなたの方よ」
「…それこそ、一番笑ってるだろ」
「いえ、私が見た中だと初めて笑ったわ」
そんなもんか…?
「いや、氷川さんが悠斗ばっかり見てるから気付いてないだけでしょ」
「いや、蒼空が笑うのは珍しいよ?」
「悠斗まで何言ってんの、お前はクラス一緒なんだからもっと見てろよ、結構笑ってんだろ」
「…んー、笑ってるけど笑ってないから」
…
「まったく、この2人は揃って節穴だな」
全く何も言い返せなかった俺が、唯一振り絞れたのはこの一言だけだった。
とある海
「氷川さん、意地悪ってよく言われない?」
「言われたことないわ、友だち今まで居なかったもの」
「じゃあ、今後沢山言われることになるね!」
「…?」
「あ、えっと…ほらだって友だちも拓也とか美香さんとか…蒼空とか…それに僕も、いるし」
「ふふ、そうね、沢山、言われるかもね」
「おい!美香!あそこ2人イチャついてるぞ!」
「待って拓也!邪魔するなら私とイチャつこ!」
「そうだな!美香好きだぞ!」
「私もー」
「…何してるのかしらねあの2人」
「イチャついてるんでしょ、あの2人はよくスキンシップとるから」
「私も、取りたいわ」
「え、えっと…わかった」
「ねぇ見て!悠斗が膝枕してるよ!」
「んですとぅ!これは秘蔵の1枚に…」
「バレないように自撮りを装って撮ろう!」
「ナイスだ美香!」
その頃蒼空
「…なるほど、こうすると旨味が…」
「ええ、しかし貴方のこのレシピ、素晴らしいですね、買い取らせて頂いても?」
「いえいえそんな恐れ多い…」
「いえ、私どもではこういった創作料理はあまり作らないのですよ、これくらいでどうです?」
「ヒェ…えっと…で、では、最初この額で、売れなかったらこのままで、もしこれが売れたらこの額貰うってことで…」
「はい!もちろんですとも!貴方様は見かけによらず大人なのですね」
「いえ…お金ないのは事実なので…でも迷惑はかけたくないので」
意外とみんな充実してるな…?




