溶けない氷は溶かせる人が居ないだけ
メインヒロインの「メ」の字だけ出て、それ以降すぐにまたしばらく出てこないやつです。少なくとも夏休みイベントが終わるまでは出す予定がございません。
ちなみに今は夏休み前のイベントです。
あの後、俺は何も思考が出来なかった。頼まれた書類を先生に渡し、家に帰り寝るまでのその全てで何も思考することが出来なかった。
「どうした、蒼空」
「…え、あぁ別に」
それは次の日もまたそうだった。
思考がまとまらない、別に嫌では無い、もう好きでもない、だがただただ思考が纏まらないのだ。
「あの実は…」
悠斗が拓也に何か言ってる、聞こえないし聞く気もなかった。
「あー、バレたんか」
「そう…」
「でもなんでこうなってんだ?」
「わかんない」
気がつくと、一日は終わっていた。
途中誰かに色々言われたり聞かれたり心配された気もするが、何一つ覚えていない。
「おい、蒼空」
「…拓也、どうした」
「お前がどうしたってなるんだが…ほんとに大丈夫か?」
「なにが?」
何の話をしてるか分からないからこその疑問だった。
「なんかいつものお前らしくないのはそうだが」
「お前にはわかんねーよ」
「だろうな、だから聞いてんだ」
「でもな、俺にもわかんねーんだよ」
叶わない恋と知って、諦めて、未練もないし、悠斗の恋は応援したい、何もかも正しいし、あの人を見ても悠斗を見ても嫉妬なんて感情は出てこないんだ。
「ただ、何も考えられないだけなんだ、何も、思考がまとまらなくて、応援したいとは多分思ってる、嫉妬する気は無い、じゃあこのざわつきはなんなんだ」
「蒼空」
「わかんねーんだよ!何も!何もわかんねーんだ!今の俺は何も分からない」
「お前、初恋って何時だ」
「忘れた、思い出したくもない」
「次の恋があの人か」
「そうだ」
「本当か?」
「違うかもな」
振られる前提で告白したんだから恋と呼べないのかもしれないな。
「よし、わかった、ついてこい」
「…はぁ?」
突然拓也は俺の手を引く、俺は連れられるままに彼に着いて行った。
「美香、入るぞ」
で連れられてきたのが何故か八重宅、いやほんとに何故?
「あら、拓也…と蒼空?」
「…なんでここに連れて来たんだ…イチャつきを見せつけんのか?」
「美香、見てくれコイツ」
「……あら」
「いや、なんっ…」
突然柔らかい感触が俺を包む。
いや何故俺は美香さんに抱きしめられて…って
「ちょっ!?っは、はぁっ!?拓也!?」
「どうした?蒼空」
「いや…え、なっ…なに、され…っ」
「んー?見てわかるでしょ?蒼空くん」
「いや見えないですけど…」
ただ抗うことは出来なかった…かといって抱きしめ返そうものなら拓也が怖い!
「ほら身を委ねてー…」
「え、いや…ほんとに…なん、で…」
俺はすぐに意識を失った。
「…あ…」
「お、起きたな」
「えっと…なにがどうし…っ!」
「おうおう暴れんなって」
ということで一旦落ち着く。
「ふぅ…でなんでこんなことを?」
「なんで?そんなのお前を癒すためだ」
「…はぁ…?とりあえず降りていいです?」
「駄目です、蒼空くんの権利はさっき拓也から貰いましたので」
「…まぁ拓也がいいんなら甘んじて受け入れるけども…」
少なくとも恋人に友人の男を膝枕させるってのも中々だと思うが。
「疲れてますね、私に言えば何時でも癒してあげますのに、それこそ拓也がいいって言うのなら、ですけどね」
「……なんでそんなこと」
「そんなこと?お前には2人とも借りがあるんだからこんくらいは普通だって」
「…そのことなら俺は関係ないって言ってるだろ…あれは悠斗のおかげだ」
「だからお前にも借りがあるんだよ」
美香さんの指が俺の頭に入ってくる。
「拓也と違って少し柔らかいですね」
「悠斗のを触ってみろ、すごく柔らかいぞ」
「あんなに可愛い悠斗くんを撫でてないと?」
「…あぁそれもそうか」
「おい待て美香その話は初耳だぞ!」
「あまりにも可愛くて…つい」
おうおう照れない方がいいんでは?悠斗が怒られるだろ…って思ったが、ま、こんくらいは俺に氷川さんのこと秘密にしてたバツだ甘んじて受け入れろ。
「ようやく笑いましたね」
「スッキリしたか?」
「…まぁ、お陰様で…って美香さんその手は?」
「何逃げようとしてるんですか?いいましたよね?権利は貰ったって」
「えっ、ちょ待っ…拓也!?」
「諦めろ」
「えっ…待っ…」
その後。本当に色々遊ばれた。
ちなみに、美香ですが、可愛いものに目がなく、人を甘やかすのが大好きな魔性タイプの女です。
もっと言うと拓也と付き合ってるだけなのになぜ蒼空と悠斗はあまり積極的に来てくれないのか!おかしい!もっと甘やかさせろ!というタイプです。
一応一途なので恋愛対象としては見てませんが、悠斗は子犬系、蒼空は狼系と感じており、わんこを愛でる様な気持ちで甘やかしまくりたいと感じています。
そんな時に舞い込んだいつも狼っぽいクール系が無防備に全てを受け入れてくれる状態、それは肉食獣の前に足を怪我した動物を置くのと同じ、すぐに喰われるという訳ですね。
後美香さんのこのくだり書こうと思えばまだまだ書けるんだけど何この人…(引)
美香さんは次回は多分出てきません。




