愛を知って、恋を知らず
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
全方位に敵意剥き出しな恋愛小説。
でも見てきたのは本当です。
勿論、それだけじゃないのも知っています。
男という生き物は、美人で巨乳にすぐに靡く。例え本命がいたとしても、種を残す事に躊躇いがない。平気で下ネタで盛り上がる生き物。
女という生き物は、表面上は賢く振舞って、裏で足の引っ張り合いをする。誰の幸せも喜べない。そんな哀れな生き物。
えぇ、けれども知っている。それだけが全てでは無いということを。
「好きでもない男に言い寄られる女の気持ちが分かる?」
鮮やか過ぎる黒髪に、至って普通の顏を埋めた女が冷徹に言い放った。目には呆れと、怠惰、兎にも角にも鬱陶しいという事をありありと表していた。
言い寄った男の方はその誰もが蕩ける様な美しい顔を真っ青に染め上げて、ぽかんと口を開いた。それから先に続く言葉がないという様に。
「綺麗な顏故に、靡かない人間はいないのでしょう? でも、私から言わせて見れば、恋人の方が数億倍美しい。鏡見て出直せば? 私の恋人にさえ遠く及ばない顏さん?」
煽りに煽りを重ね、動けなくなった男をその場に放置して、さっさと去る。顔はさぞスッキリしているのだろうと思いきや。先程までと変わらない怠惰な瞳を宿していた。
女は俺に気が付くと、その冷たかった目を柔らかくして、口角を上げた。
「探していたのよ? 美しい人」
「また、人助けをしていたの? それはとても美徳だけれど、無理をしない程度にね」
隣を歩く女は、ふわりとした口調でそう言って頬に触れた。視線が優しい。まるで我が子を愛でる様に。それから俺の体を心配する様に、上半身を揺らす。傷跡を探す様に。
しかし何も無いことに気が付くと、またふわりと笑顔を浮かべた。
「重そうな……荷物を持っていたから、つい」
「女の人?」
「まぁ」
彼女はまた笑みを浮かべて、その後ろ髪をふわふわと舞い広げる。機嫌が良い時の反応だった。
自分以外の人間に優しくするのを賞賛する。それが例え異性であっても。嫉妬も怒りも存在しない。それは決して恋と言う言葉ではなく、愛という言葉が真っ先に浮かぶものだった。
愛を知りえて恋を知らず、そんな無垢な恋人。それがこの女だった。
私は片親だった。母が幼い頃に亡くなり、それ以降、男手一人で私を育ててくれた。
母親代わりになる為だろう。父は料理やら、髪型やらの勉強をしていた。作る料理はどれも凝っていたし、可愛らしい髪型も沢山させて貰った。
私が大きくなるに連れて、人の生々しい姿を浴びる程に見た。目や、耳を塞ぎたくなる様なドロドロとした人間模様を沢山見た。
だからこう問い掛けた。
「私に気を使って居るの? 再婚しても構わないよ」
子供がある程度大きくなって、新しい恋をして、第二の人生を歩む人間だって沢山いる。それは別に物珍しいものじゃない。より優秀な者に靡くのは、種の本能だ。
しかし父は目を釣り上げて、唇を強く噛み締めた。それから絞り出した声でこう言った。
「二度とそんな事を言うんじゃない。私にとっての女性は、亡き妻以外に有り得ない。他の誰と会っても、有象無象に他ならない。そんな輩と私の妻を一緒にするな」
そう、苛烈に言い放った。それから暫く、一週間程、口を効いて貰えなかった。
愛していたのだと知った。他の者を有象無象と言う程に。他の男性と一線を期すほどに。
それから数ヶ月経って彼と出会った。光の顏に、大きな胸を持つ女性に対しても、甘さを許さない人だった。でも困っていると、容姿に関わらず手を伸ばす人だった。
あのね、私、沢山のものを見たの。本命が居るのに、綺麗な子がいたらそっちに向く。という話を聞いたの。綺麗な生徒がいらは、それを見て毎日自慰に及ぶというのを聞いたの。普段は仲良さげな友達二人が、裏で沢山の悪口を言ってるのを聞いたの。
でも、でもね、貴方達がそれだけじゃないって教えてくれたの。だからずっと、愛し続けようと思うの。
タイトルについて。
普通自分以外の人間と親しくしていたら、嫉妬するじゃないですか。でも嫉妬しないんです。
付き合っていたら、他の人間に優しくしないじゃないですか。
でも優しくするんです。
だから恋する、というよりも、愛するの方がしっくり来る。
そしてそれは恐らく死ぬまで続く。
恋は知らない。でも愛は知ってる。というタイトルです。
出てきた例え話、全部本当に聞いた話。
本命がいるのに、他に綺麗な人が靡くのも、綺麗な生徒が居たらそれを見て自慰するのも、お友達が裏で陰口言って、足の引っ張り合いするのも。
でもそれだけの人間じゃないとも思ってますよ。
人の為に泣ける人を知っています。怒れる人を知っています。
真面目な方を知っています。だから、それで良いんです。
願わくば、死ぬまでそんな人を見つけて、優しい言葉を掛けていきたいと思ってます。
だから、口を鍛えなければ。