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たえちゃんのランドセル

作者: 絶海 孤島

リビングで父親が見ているテレビに、父親自身が映っているので、たえ子はソファの後ろから話しかける。

 「何してるの」

 テレビの父親は水槽の中を歩いている。

 「泥の中を歩く動画を撮ってるんだよ」

 水槽の底は泥がたまっている。そこを歩く父親は裸足で、ズボンの裾を膝まで上げている。

 歩きにくそうだが、ゆっくり1歩ずつ確実に歩いて、水槽の端から端まで1分くらいで歩いてみせた。

 たえ子は好奇心が旺盛だ。父親が予想したとおりの反応を見せる。

 「たえが歩くとどうなるかな」

 「たえちゃんは歩けないよ。転んで泥から出られなくなるよ」

 「転ばないもん」

 負けず嫌いのたえ子は即座に反発する。

 「じゃあ泥に入ってみる?」

 「うんっ」

 たえ子は小学5年生。歳相応の小さな体、運動能力は平均的だ。

 「実はこれ、大人は泥を歩けても、小学生が歩こうとすると失敗するっていう、教訓の動画にしようと思って。かわいい小学生に実演してほしいから、たえちゃんがやってくれると助かる」

 失敗すると決めつけられてくやしいが、かわいいと言われてうれしい、という表情のたえ子。

 「…わざと失敗するの?」

 「わざとじゃなくても失敗するから」

 「やる、やるっ」   

 たえ子は一刻も早くやりたそうに父親の服を引っぱる。

 全て父親のもくろみどおり。この父親はかわいい女の子が泥まみれになると興奮するという変態趣味の持主だ。愛娘が小学校高学年になってかわいくなってきたので、変態趣味の餌食にしようという趣向である。

 泥を敷きつめた水槽は、家のすぐそば、同じ庭に建つ倉庫にある。

 泥は、バクテリアだらけの土を水に溶かした本物の泥ではなく、土色の砂にオイルローションなどを混ぜてドロドロにしたもの。変態欲求を満たしたいからといって、娘は大事なので、安全に気をつかっている。

 泥の深さは、大人の男は抜け出せるが、小学生は抜け出せないように調整してある。

 「たえちゃんは小学生代表だから、小学生の女の子らしい、元気なかわいい服でやろう」

 と言われて、たえ子は着替える。長袖長ズボンを脱ぎ捨てて。

 床にあらかじめ置いてある真新しいスポーツバッグから、父親は元気なかわいい服を取り出す。

 股下がほとんど無いくらい短いデニムのショーパン、ピンクの半袖ブラウス、白いニーソックス、白いスニーカー、赤いランドセル。たえ子はそれらを身につける。全て新品だ。学校の指定ランドセルは黒なので、たえ子は赤いランドセルに憧れていて、大喜びでそれを背負う。ランドセルの中に教科書はなく、かわりにスポンジを詰めてあるのでとても軽い。

 転んで水槽の壁に頭をぶつけるかもしれないと、通学用の白いヘルメットを父親にかぶせてもらう。

 スニーカーは脱げないように靴ひもをきつく締め、ヘルメットのあごひもは、もう少しで苦しいくらいきつく締めてもらう。

 父親はその姿をビデオに撮って、たえ子自身に見せる。

 「ほうら、かわいく似合ってるよぉ」

 「わあ…」

 「転んでいいからね」

 そのために泥に誘い込むのだ。

 「汚すの靴だけだもん」

 たえ子は水槽に向かって立つ。水槽の高さはたえ子の膝くらいで楽にまたげる。

 勇敢に足を泥に踏み入れる。

 ずぶうっ。

 粘り気が強く、ぬるぬるする感じもある。

 スニーカーが完全に埋まって、ニーソックスのかかとまで埋まる。

 たえ子は水槽の外にあるもう片方の足を上げて、半歩先の泥に入れる。

 ずぶうっ。

 転ばないでしょ、と言いたそうに、たえ子はビデオカメラに半分隠れた父親の顔を見る。父親の顔は期待に輝いている。

 それから最初に泥に入れた足を抜こうとして。

 「…んっ」

 抜けない。

 「んっ…んんっ」

 ランドセルの肩ベルトを両手で握りしめ、真剣な顔でもがくと。

 ぬじゅる、と前の足が少し滑る。

 「あん」

 あわてて後ろの足で泥を踏むと…不安定な姿勢で踏んだので足首が曲がり…。

 ずぶうずずっ。

 「きゃああ」

 片足が泥の中を一気に滑って、水槽の壁で止まる。片膝が泥に埋まってしまう。

 両手は肩ベルトを握りしめたまま。泥に手をつくのは嫌。

 「ううっ…ん」

 滑って伸びた足を縮めようとする。不安定な姿勢でやるから、バランスが崩れて、おしりが泥についてしまう。

 「くうっ」

 両手を泥につき、何が何でも立とうとして足をもがく。体が斜めになって、上半身が泥に横たわる。赤いランドセルも泥についてしまう。

 「あっ、あんっ」

 かわいい顔を赤く染めて、両手両足をもがいて、泥に逆らう。ショーパンが泥に滑って、うつぶせに。

 「ああ、あっ」

 くやしさでいっぱいの顔を父親に向ける。

 「汚れちゃった」

 「よく見てごらん。服は汚れてないよ」

 たえ子は泥に半分埋まっている体を見る。泥から出ている部分はきれいなままだ。

 「その泥は特製で汚れがつきにくいのと、たえちゃんが着てるものは全部、撥水スプレーをかけてるから、ほとんど汚れないよ。かわいい服はかわいいままだよ」

 たえ子は救われたけどまだくやしいという顔をする。

 「転んで立てないわ」

 そう言いながら懸命に四つん這いになって、両手を泥から引き抜いて…そのはずみで両足が泥に滑って。

 「きゃ!あっあーっ!」

 泥にズブッと、またうつぶせ。

 父親が変態の本性を表して言う。。

 「かわいいねぇ。かわいい服を着たかわいい女の子が泥に転んで立てないからいいんだよ」

 「何言ってるの」

 「小学生の女の子は弱いからかわいい。弱ければ泥に転んで立てないはずで、泥に転んで立てないのが、小学生の女の子らしくてかわいい」

 たえ子はくり返し「かわいい」を言われてうれしいのと、くやしいさで悶える。

 「ああん…弱いからかわいいなんて、くやしい!」

 「そうだよ。弱いのをくやしがるのが、小学生の女の子らしくてかわいいんだよ」

 「くやしい!くやしい!」

 たえ子はありったけのくやしさを泥になすりつけて悶える。

 テレビアニメのヒロインがローブで縛られて悶えるシーンを思い出す…それに近いけど、手足が動くのに抜け出せないから余計にくやしい。

 「くやしいっ!くやしいっ!」

 「たえちゃんのくやしそうな顔かわいいよぉ、くやしそうに悶えてかわいいよぉ」

 たえ子が元気な「かわいい」服を着ているのは、父親がたえ子を本当にかわいいと思っているから…弱いから馬鹿にするのでなく、弱いからかわいいと本当に思っている。たえ子はそれがうれしい…でも。

 くやしさとうれしさを足して倍にしたような気持ち。

 うれしさがもうひとつ…ヘルメットをかぶっていること。父親がたえ子を苛めたいだけなら、絶対にかぶせてくれるはずがない。それが脱げないように、父親はきつくあごひもをしめてくれた。

 たえ子は父親に大事に思われている。

 大事なたえ子を泥に転ばせるのは、くやしがるとかわいいから。

 それなら…たえ子は父親に、もっとかわいいと思われたくなってしまう。 

 「あんっ!くやしいっ!あんっ!くやしいっ!」

 父親は鼻の下を伸ばして、たえ子をさらに誘う。

 「泥に負けちゃうのを感じて、くやしがって悶えると、もっと弱くてかわいいんだよ」

 「あ、ああんっ…泥に負けちゃって、くっ、くやしいいいっ!」

 たえ子は両手でランドセルの肩ベルトをにぎりしめ、駄々をこねるようにそのランドセルを揺らして叫ぶ。

 「あん!くっやしいいいいっん!負けちゃって、くっやしいいいっんっ!」

 「いいねぇくやしがればくやしがるほど、弱くてかわいく見えるよぉ」

 たえ子は倒れたまま両手を泥から抜いて頭の後ろに…かぶっているヘルメットを抱いて。

 「泥に負けちゃうからヘルメットかぶってるの、ああっんっ!」

 まるでくやしいことが快感のように、泥に体をこすりつけて悶える。

 「いいねぇそんなに悶えたら、気持ちよくなってくるだろう?」

 「ああっ…?」

 たえ子は股間を異様な感覚が締めつけるのを感じていたが、言われて初めてそれが気持ちいいと気づく。その快感を、短すぎるショーパンがまた締めつける。

 「あっ…何…これ…ああんっ…!」

 「たえちゃんは、かわいい者が憎たらしいものに負けるエロスを感じてるんだよ」

 「あんっ…えろす、って…くやしいこと?」

 「そうだよ。たえちゃんがくやしがって悶えてる中心が気持ちいいだろぉ?」

 「ああっ!…泥に負けちゃったから、気持ちいいの?」

 たえ子はますます股間を中心に悶える。

 「そうだよ。泥に負けたくやしさに悶えるから、気持ちよくなるんだよ」

 「あんっくやしいっ!泥くやしいっ!くやしくって、悶えちゃうっ!」

 「くやしがって悶えれば悶えるほど、泥が憎たらしいことになって、その泥に負けるエロスを強く感じるんだよ」

 「くやしいっ!くやしいっ!憎たらしいっ!憎たらしい泥に負けちゃって、き、気持ちいいっ!ああああっんっ!」

 股間の気持ちよさで、股がどんどん開く。股間を直接刺激するものは、きつく穿いているショーパンだけなのに。

 「ああんっ、ま…股がっ…気持ちいいっ!」

 「いいねえエロチックに悶えてるねぇくやしそうで気持ちよさそうだねぇ…それとヘルメット…憎たらしいものに負ければ、どんな危険な苛めを受けるかわからないから、ヘルメットがうれしくて気持ちよくなるよ」

 「あんっ泥に負けちゃって、ヘルメット、気持ちいいっ!」

 たえ子は両手でヘルメットを、さっきよりきつく抱く。

 ヘルメットに感じるのは、父親に大事にされるうれしさと、自分を守ってくれる気持ちよさ。それと股間の気持ちよさを同時に感じて、2つとも、もっと強く感じたくなってしまう。

 もっと泥に負けちゃいたい。

 たえ子は股を開いたまま、手足で泥をかき回して前へ進もうとする。両手足を交互に、伸ばしては縮める、そのくり返し。泥はヌルヌルとネバネバがからみ合っているので、手足がなめらかに弱々しく動く。

 「あっ…あん…ああん…泥に…いじめられちゃって…あん…逃げられないわっ…くやしいわっ」

 逃げられないと最初からわかっていて、弱くかわいく抵抗するのだ。

 「おおお、弱いねえかわいいねえ、弱くて逃げられないとわかっているのにもがくのは、そんなにくやしいんだねえ」

 「ああんっ弱いからくやしくて、もがいちゃうっ、もがいても、逃げられないのに、もがいちゃうっ!」

 負けず嫌いのたえ子が、こんなに弱さを感じようとするのは、弱くてくやしがるたえ子自身に、もっとエロスを感じたいから。

 くやしがっているせいか、手足を縮めるとき、だんだんきつく縮めるようになって、頭とお尻が上がってくる。それで手足が滑ると、ヘルメットがズブリと泥に突っ込んでしまう。

 「あうう!」

 くやしさの裏でヘルメットがあるのがうれしい顔。頭にかぶるドロドロの大半をヘルメットがかぶってくれる。

 水槽の縦に長い方向へ頭を向けていたのが、もがく間に向きが変わって短い方向へ…。

 コン!ヘルメットが壁に当たる。

 「あう!」

 「大丈夫か?」

 「うんっ!ヘルメットで!」

 元気な返事をして、たえ子は両手でヘルメットを抱きしめる。

 父親は長い腕を伸ばしてヘルメットを撫でる。

 「かわいいから守ってるんだよ」

 このひと言で、たえ子の泥に負けて、かわいくエロチックにくやしがる快感と、ヘルメットで守る快感が、うれし涙の涙腺のようにつながってしまう。

 くやしがる姿がかわいいという、ちょっと異常な愛、ヘルメットで命を守る強い愛、異常な強い愛を1つに感じて、ヘルメットから股間が爆発的に気持ちいい!

 「ああああああああーっ!」

 たえ子はヘルメットから股間まで全部股間になったように悶える。

 「ああ!ああ!ああ!」

 ランドセルを背中で振り回すように悶える!転がる!壁にドンッ!ランドセルがぶつかる。

 「ああっ!」

 痛くない…ランドセルも、ヘルメットのように身を守るために身につけていることを、たえ子はこれで知る。

 ランドセルも気持ちいい!ランドセルの気持ちよさが、ヘルメットから股間と1つになる!

 たえ子は肩ベルトをきつく握りしめる。

 「ああああああああああーっ!」

 泥の中をのたうちまわり壁にくり返しぶつかって…。

 「たえ、かわいいから、守られちゃうっ!弱くて泥にいじめられちゃって、危ないから、ヘルメットとランドセルに守られちゃううっ!ああああああああああああああーっ!」

 弱さが爆発した形に股を開き、泥に惨敗したように横たわって、それでも守られているからうれしい、というように肩ベルトを握りしめて、ショーパンに涙がとめどなくあふれるのを感じる。

 「あ…ぁ…っ…ん」

 たえ子はランドセルの下で失神した。


 - END -


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