~試し書き~
~その少年は壮大な物語を書こうとしていた~
大島一輝17歳。仕事もしていなければ 学校にもいっていない、一般的に引きこもりと呼ばれる少年である。一日中家に引きこもり、ゲームをして、 たまにコンビニに足を運び漫画や好物のコーヒーなんかを飲んで気分転換をする、そんな色気のない毎日を過ごしている少年である。今もコンビニにコーヒーを買いに来て家に帰る途中だった…「とっとと家に帰ってゲームやるか。」 そう一人で呟き家につくと扉を開けた。 その少年の目に飛び込んできたのは 父の姿であった。 「おっ、今帰ったところだったのか一輝~ ところで、一緒に父さんと一緒にゲームしないか?ちょうどコントローラーが二つあってな…」「いいよ元気付けようとしないで父さん…でも一年前のことは今も割り切れないんだ…」そう言ってイツキは部屋に引きこもってしまった。イツキの父の名前は大島匠。母の名前は大島佳南。イツキがこうなってしまったのには理由があった。 イツキの話した一年前というのは とある事件が起きた日である。昔のイツキは引きこもりではなく、 誰が見ても容姿よし、学業成績よし、コミュ力よし といった完璧美声年といった感じで、多くの友人に囲まれていて恨みを買うような人間ではなかった…だがその事を妬んだのか、友人グループ数人によって全身が骨折するまで集団リンチを受けただけでなく、自分を支えてくれていた母親も目の前で殺された。 その事件のせいで人が信用できなくなりそれからは ズルズルと堕落していった。当初は気にかけてくれる 友人も居たが、彼は周りを拒絶した。 友達がだんだん離れていき、孤独になって その悲しみを打ち消すようにゲームを初め、今に至る。そして、今のように実の父であるタクミに対してさえ 塞ぎ混んでしまうようになってしまった。 「必ず元のイツキに戻れるようにして見せる。」そう タクミは誓って献身的にイツキを支えていた―― いつものようにイツキは コンビニに漫画やコーヒーを買いに行って、帰ってくる途中であった。歩いていると奇妙な男が目の前に立ちはだかった。仮面を被って おり、全身黒いフードを被り、そこに立っていた。何か懐かしさのようなものを感じる…そうイツキが思っているとその男が「異世界にいってみたくはないか?」「は?」彼は自分の耳を疑った。何を言っているのだ この人は、という疑問が生まれた。この男とイツキの間には何の関係もなく、いきなりそんなことを初対面で 唐突に言われたのだ。「何を言っているのですか?」「君に異世界へ行ってほしいと思っているんだ、君に適任だと思うし…」男はイツキの言葉に耳を傾ける様子もなく長々と話を続けている様子を見て 話を聞かない タイプの頭がおかしい人だ。イツキはそう悟り、 「異世界にいくなら…準備が必要ですよね…僕は一度家に帰って準備をしてきます…」とりあえずその場しのぎの嘘でこの場を去ろうとしたのだが、 そうはいかなくなってしまった。黒い男がものすごい 速さで近づいてきて押さえられてしまい顔を手で掴まれてしまい、なぜか話すことが出来なくなってしまった。意識が朦朧としてきて「それでは、異世界を楽しんできてね~」そんな声が最後に聞こえ、 イツキは気を失ってしまった――