第82話
こちらの更新はご無沙汰でした^^;;;
エンディングに向けて、ボチボチ進みます。
本当にボチボチです。気長にお待ちください。
いきなり現れたのは、木の壁に覆われたどこか。たぶん、ログハウス、だろうか。使い込まれた、いい感じの艶を持った木の壁だ。
周囲を見回すと、場所的にはエントランスのようなところなんだろう。大きな木の立派なドアと、大きな窓がある。
俺は変わらず、ミーシャさんの腕の中。近くで見ると、やっぱり、日本人っぽい。
「うわ、こうガタイのいいのが大人数だと、ここも狭く感じるわね」
苦笑いしながら、ミーシャさんはどんどん歩いていく。
辿り着いたのは、応接室だろうか。といっても、大きなパッチワークの壁掛けみたいなのがかかってて、暖かい雰囲気のある部屋だ。部屋自体、豪華な感じはしないし、ミーシャさんが着ている服も、村や町で見かけた平民の服と変わりない。ちょっといい生地かな、というくらいで、貴族ではないんだろう。
ミーシャさんはさっさと歩き、大きな出窓の窓を開けると、きょろきょろと見回す。
「イザーク! イザーク、いるんでしょ!」
「ミーシャ!」
なんか嬉しそうな男の声がする。
声の方を見ると、30代くらいのイケメンが駆け寄ってくる。茶髪? いや金髪にも見えるか。青い目をキラキラさせながら、猛ダッシュだ。見るからに、ミーシャさん大好きオーラが半端ない。
その男の後を、今度は小学生くらいの男の子と、幼稚園くらいの女の子がついてきている。二人とも、この男の人に似ている気がするけど、彼の子供か?
「お客さん連れてきたから、中入って! ああ、アルとシャーリーも、汗を流して」
「はい、ミーシャ姉様!」
「……ねえさま、そのこ、だれ?」
「その話もするわ、さっさと行きなさい」
うん? 『ミーシャ姉様』と言わなかったか? 彼女の子供ではないのか。
子供たちにそう言ってから、ミーシャさんは、腕に抱えている俺を抱きなおし、にっこりと笑うと、今度は後をついてきていたへリウスたちに声をかけた。
「なに、突っ立ってんのよ、ほら、そこのソファに座って……アイリーン! お茶、お願いできる?」
「はい、ただいま」
いつの間にいたのか、メイドさんみたいな格好をした女の子が、慌てたように部屋から出ていく。
「さてと、ちょっとここで待っててね~」
俺を一人掛けのソファに座らせると、ミーシャさんは部屋から出ていく。
その間、へリウスたちは何も言わなかった。言えなかった、が正しいんだろう。へリウスもここに来るのは初めてなのか、俺以上にきょろきょろしている。
「あの人は」
今更ながら、アーロンが聞いてくる。
「あー、うん、うちの嫁の命の恩人? 俺と嫁の縁結びの神様? で、今代の聖女、だな」
「は?」
せ、『せいじょ』って何。あ、『聖女』か!
魔物や魔法があるファンタジーな世界だから、やっぱり『聖女』なんていうのもいるんだ。見るからに日本人なのに。どう見ても、日本人なのに。
……それとも、俺が知らないだけで、ああいうアジアンな顔の人っているのだろうか。




