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ハルの異世界出戻り冒険譚 ~ちびっ子エルフ、獣人仲間と逃亡中~  作者: 実川えむ
第9章

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第67話

 結局、期限である『明後日』である今日を迎えた。

 その間、俺は大人しく宿屋に籠っていた。どこで誰に見つかるかわからないからだ。

 現時点で、明確に俺を追っているのは、ボブさんたちと村を出るときに追いかけてた奴らは、さすがに諦めているだろうから、ギルドから誘拐した人間たちくらいだろう。

 アーロン曰く、昨日の時点では俺を探していそうな怪しい奴らは見かけなかったらしい。

 しかし。


「昨日の夜、ギルドに行ってきたんだけどな。どうも、お前、お尋ね者になっちまったらしいぞ?」

「……は?」

「あ、違った。尋ね人だった」


 最終日、俺が朝食をとっている時、アーロンがテーブルに肩肘を立てながら言った。

 なんで、俺が『お尋ね者』なんだよ。

 こんな、見た目5才児が。


「なんかお前さぁ、ヨグズの町のギルドの建物、ボロボロにしたらしいじゃん」

「その、ヨグズっていう町は知らないけど、そういや、魔力の暴発? とかいうのがあったかも」

「それだよ。なんでも、その時の行方不明者ってことで、お前と同じような容姿の子供が尋ね人で掲示されてた」

「はぁ?」


 こっちは、わざわざ容姿を隠すためにフードも被っていたっていうのに。

 目の前の芋のふかしたのに、怒りを込めてフォークをぶっさす。


「……何があった?」


 俺は、そのギルドでどういう扱いをされたか話した。


「かー! なんだ、その受付嬢。へリウス様に頼まれて預かってるのに、そんな不用意なことしたのかよ」

「……トイレから出たばっかで洗ってない手を握ったけどな」

「ぶふっ」

「きったねぇなぁ……」

「いや、きったねぇのは、お前だろ。ていうか、よく覚えてんな」


 クククッと笑いながら、アーロンは俺の皿から、ソーセージを一本取りやがった。まぁ、ちょっと俺にはボリューミーな朝食だったから、助かったけど。


「しっかし、下手うったよな、あのギルマス」

「知り合い?」

「いや。ありゃぁ、へリウス様からギルド本部にクレームいくのは確実だな」

「……俺が誘拐されたから?」

「いや。誘拐されたとは書かれてなかった。単なる行方不明者。クレームいくだろうっていうのは、近隣の各ギルドに、お前の情報が公開させたからさ」

「はっ!?」


 バカじゃねーの。

 こっちがわざわざフード被ってた意図に気付いたくせに。


「焦ったんだろ、自分たちのところの不手際で、行方不明とかになったわけじゃん? それもけして数の多くないAランク冒険者、その人に無理言って仕事してもらっている間に預かってた子供がいなくなってるんだ」

「最悪だ」

「ほんとな。こんなんで、港町までちゃんと行けるんだろうかね」


 ハッとなる俺。


「なぁ、これ、ギルドにここにいます、とか自己申告すれば、へリウスに知らせてもらえる?」

「それ、本気で言ってる?」

「え」

「お前のことが知られた瞬間、また、別の奴らに誘拐されるのがおちだぞ」

「マジかよ」

「下手すりゃ、ギルドぐるみでな」

「……」

「それくらい『エルフの子供』ってのは、貴重で高く売れるってこと」


 まだ皿の中には芋が残ってたけれど、食べる気が失せた。


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