表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハルの異世界出戻り冒険譚 ~ちびっ子エルフ、獣人仲間と逃亡中~  作者: 実川えむ
第7章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/94

第49話

 封を開けると、白い煙が立ち上がったかと思ったら、丸い光の玉に変わったかと思ったら、すごい勢いでテントの中から飛び出ていった。


「な、なんだ?!」


 その勢いに、びっくりしたけれど、すぐに、我に返る。


「あ、あれで誰かのところに知らせにいったってこと、なのか」


 今の時点で誰が来るかなんか、俺には予想もつかないが、少なくとも、へリウスの身内であるはずだ。できるだけ、早く来てほしいところだが、いつ来てくれるかなんて、予想はつかない。こればかりは待つしかないんだろう。


 俺は気持ちを切り替えると、再びへリウスの鞄を再び漁ることにした。

 さっそく、魔物除けのお香がいくつか目に入った。

 一応、テント周辺に結界が張ってあるとはいえ、このテントの周辺だけだ。目の前で魔物が待ち構えている状況は極力避けたい。

 俺は自分のマジックバックになっているウェストポーチから、火打石を取り出す。火打石と言いながら、これもしっかり魔道具だ。ホビット族お手製らしく、今の俺にはピッタリサイズ。これのおかげで、すぐに火が付けられるのは便利だ。

 テントの入口から顔を出してみる。うっすらと張っている結界は、テントから1メートルくらい先にある。おかげで、へリウスの足が出ていても助かったわけだけど。

 このテントの機能である結界の厄介なところは、テントの所有者でもあり結界を張ったへリウス自身は出入りができるけど、俺は外に出たら戻れないこと。

 結界から出ないように気を付けながら、テントの外側四隅に火のついたお香を置く。へリウスがそうやっていたのを覚えていたのだ。これでしばらくは周囲に魔物は寄ってこないはずだ。

 安全が確保出来たと思って気が抜けたとたん、くぅ~っと腹の虫が鳴いた。


「……そういや、飯食ってなかったっけ」


 今更ながら、自分が空腹になっていたことを気付く。

 テントの中に戻り、もう一度鞄の中を覗き込む。紐で括られた干し肉の束を見つけ出す。それに黒パン。正直、この世界の干し肉や黒パンは硬すぎて、俺の顎じゃ太刀打ちできなかった。

 今まではへリウスが、干し肉を火で焙ったり、スープみたいのでふやかしてくれたりしてくれたけど、今は、自力でなんとかするしかない。ずっとしゃぶっていてもいいかもしれないけど、余計に腹が減りそうだ。

 他に何かないかと諦めずに漁っていると、小鍋を見つた。


「これに湯でもわかして、干し肉でダシとるか」


 もしかしたら、その匂いでへリウスも目を覚ますかもしれない。いや、干し肉程度じゃ、匂いも何もないか。あんまり期待はできないものの、そう願っていけないことはないだろう。


「よしっ」


 俺は気合を入れると、再びテントの外へと出ることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ