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第38話

「防衛って、戦争?」


 すっかり平和ボケしている俺に思いつくのは、それくらい。しかし、聞いてみると、どうも魔物の暴走(それをスタンピードというらしい)があったらしく、街に迫ってくるのを、防衛したのだとか。その規模っていうのが半端ないらしいんだが、俺には想像がつかない。そもそも、ホビットなんかよりもデカそうな魔物とかいそうなのに、ボブさんたちはどうやって戦ったんだろう?


「すげぇんだぞ、ああ見えて」


 へリウスが身を乗り出して話をしだす。どうも、ボブさんは小さな斧の二刀流、メアリーさんは弓の連射が凄かったんだそうだ。俺にしてみると、弓のイメージはエルフなんだけど、あちらの大陸ではエルフの存在は珍しいらしい。


「え、そんな所に俺が行っても大丈夫?」


 こっちですら、追いかけてくるような奴がいるのに、と思うのだが、へリウス曰く、そんなのを考えるのは人族ぐらいで、これから向かうへリウスの住んでいる獣人が多く住んでいる国では、そんなことはないんだそうな。


「何せ、精霊を崇めている国なんでな、精霊に愛されているというエルフをぞんざいに扱う奴なんかいねぇ」

「ほお……」

「まぁ、逆に、中には勘違いしたバカエルフがいるにはいるがな。そういうのは、逆に獣人にコテンパンにやられちまうんだ。ガハハハ」


 ……獣人、自由だな。


「そもそも、どうやってここまで来れたの?」


 すごく今更な話を聞く俺。普通に、この国で冒険者をやっていたのかと思っていたら、話を聞けば聞くほど、拠点はあちらの大陸のようなのだ。

 へリウス曰く、なんでも知り合いに凄い魔法使いがいるらしく、その人に無理を言って、飛んできたらしい。飛んでくるって、どうやってかと思ったら、転移という能力があるんだとか。


「すげぇ……それ、俺にも出来るかな」

「無理無理、あんなのは、あいつくらいしかできないだろう」


 本来、転移なんていうのは、魔法陣を利用して、複数人の魔法使いでないと出来ないらしい。それを単独でやってしまうその人は、化け物レベルなんだとか。

 帰りもその人にお願いすればいいのに、と思ったら、もう本人は帰ってしまっているらしい。伝達の魔法陣で連絡すれば、お願いできたりしないんだろうか。


「俺もそいつに頼みたかったんだよ、本当は」

「なんで頼まなかったの?」

「……う、そいつのパートナーが、めんどくさい奴なんだよ」

「うん? その人、女の人?」

「ああ。そいつがまぁ、溺愛されててなぁ……あいつもそれで苦労してるんだが……俺も、アレには睨まれたくはない……」


 ……よっぽどな相手なんだろう、と勝手に想像する。

 まぁ、そうそう便利になんでも魔法っていうわけにもいかないのだろう。もともと、そんなものがない世界で生きてきたわけだし、それほど気にするほどでもないか。いや、移動時間がかかることで、自動車や電車、飛行機がない不便さは痛感してはいるか。


「とにかく、まずは、カイドンに向かうしかない。お前をおいかけてきてるとかいう奴らも、さすがに、そこまではしつこくはないだろう。それにかける金を考えたら、普通に魔物の討伐や護衛の仕事をしてたほうがマシなはずだ」

「そう思ってくれればいいんだけど」


 あいつら、バカそうだったしなぁ、と頭の中で思いながら、俺は、コップの中のジュースをずるずるっと飲み干したのだった。



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