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第33話

 登録を終えた俺たちは、森で片づけたゴブリンの耳を買取の窓口に持っていった。


「あれまぁ、ずいぶんたくさんだな」


 鼻眼鏡をかけた小さいおっさんが、カウンターに積まれた山のようなゴブリンの耳に、げんなりした顔をしている。ホビットかなと思ったが、そういう訳でもなさそう。単純に小柄な人間なのかな。


「森の奥のホビットの村から出てくるときに遭遇した奴らなんだけど」

「……なんだと?」


 鼻眼鏡がキランッと光る。


「うん、ボブさんとメアリーさんと一緒にやったんだ。それで、耳を取っといてギルドに持ってけって」

「ボブとメアリーだとっ!?」

「うわっ!?」


 いきなり立上った鼻眼鏡。いや、立上っても、そんなに大きくはないんだけどさ。


「まさか、元冒険者のボブとメアリーかっ!」

「え、あ、うん」


 身を乗り出して言ってくるから、ビビった俺は素直に頷く。


「おいおい、子供相手に何熱くなってるんだよ」

「おっと、すま……ん? まさか、お前」

「よぉ、久しぶり」

「ヘ、ヘリウスかっ!」


 なんか、二人は知り合いな模様。

 鼻眼鏡……カークさんというそうだ……は、ヘリウスとなんか会話が盛り上がっている。


「いや、しかしなんだ、お前にこんな子供が出来たとはな!」

「違うって!」

「とーちゃん!」

「おい、ハルッ!」

「プププ、冗談だよ」


 全然似てないしっ! 色合いも真逆な俺たちだよ? ヘリウスの子供だったら、もっとデカそうだしな。というか、子供はいないのかな?


「それよりも早く精算してもらおうよ」

「……ガキのくせに、難しい言葉知ってるな」

「まーねー」


 そこはスルーでお願いします。

 かなりの数を斃してたはずなんだけれど、やっぱりゴブリンってのはランクが低いらしく、大した金額にはならないようだ。それでも、数だけはかなりあったみたいで。


「ほれ、合計で銀貨二枚と銅貨十枚だ」

「おおお! 初めてのお小遣い!」


 掌に載せられたお金に感動する。ボブさんたちからも万が一用のお金は貰ったけど、やっぱり初めて自分で稼いだ(いや、これも半分以上はボブさんたちから貰ったもんだけど)お金は、嬉しい。一枚一枚眺めてしまう。元の世界の小銭に比べると、一枚が厚いし、重い。技術力の差ってやつかな。


「早く仕舞え」

「あ、うん」


 ヘリウスの言葉に素直に頷き、ウエストポーチにバラバラっと放り込む。仕方がないとはいえ、この状態は嫌だな。どっかで財布みたいなのを手に入れたいところだけど、雑貨屋みたいなのはあるだろうか。


「ヘリウス」

「ん? なんだ」


 鼻眼鏡と話していたヘリウスに声をかける。


「買い物行きたい」

「ああ、そうだな……でも、この時間じゃ、まだ店はやってないだろうな」

「何が必要なんだ?」


 鼻眼鏡が聞いてくる。


「んと、お金入れとく物が欲しいんだ」

「あ? そんな物か。そんなんなら、うちの売店にでもあるだろう」

「え、あるの?」

「ああ、中二階に売店があるから、見てこい。早朝から出ていく奴らが買い物していくから、混んでるだろうがな」


 なるほどね。冒険に必要な物を買い足したりしていくんだな。

 ヘリウスはまだ話があるみたいで、鼻眼鏡としゃべってるから、俺は一人で中二階を目指した。



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