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さらば、キュルリン

お父さんはルイド君の首の奴隷印を見ながら、うんうんと何度も頷いている。


「なるほどなぁ~リレッタがここに魔力を流し込んだんだな?凄いな…ここを起点にして解術が広がっている…へぇ、これは…リレッタ、お前またやっちゃったか」


お父さんの言葉にドキッとした。


「何をやらかしたのでしょうか?」


お父さんは私の問いかけには答えてくれずに、ウエストポーチ型の魔道具鞄から手帳を取り出してメモし出した。何をメモってるんだ?


「あ~あ、またやっちゃったね?リレッタ」


「だからお母さん、何をやっちゃったのよ?」


お母さんはニヤリと笑いながらルイド君の肩を撫でている。


「奴隷印の解術方法を見付けちゃったわね~これでこの奴隷印を施術されても、誰でも解術出来ちゃうわね。私も奴隷制度に反対だから、解術出来ます~って堂々と宣伝しちゃおうかな」


嘘でしょう!?これからこの奴隷印を誰が付けられても解術出来ちゃうの?古代からある捕縛術が一つ無効化になったの?


「まあ新しい魔法が開発された…という申請を出しておけばいいだろう。これも解術魔法の一種としては違法でないしな。ローズ…ルイドの残りの奴隷印が解術出来るかどうか、やってみてくれ」


「は~い、ルイドちゃん行くわよ」


「はっはいっお願いします!」


ルイド君が緊張している…隣に座る私の手を握ってきたので、握り返してあげた。


お母さんはお父さんの書いた手帳を見てから、ルイド君の首に指を乗せた。


「…、…、…」


首の奴隷印が光り…ルイド君の魔力と匂いが一気に私に流れてきた。これっ…こんな番の匂いとか魔力を感じるものなの?もしかして奴隷印があったせいで番のセンサーみたいなのも鈍くなってた?


すごいっ…なにこれルイド君の周りが輝いている。


「はいっ治った!すごいね、この解術魔法…流石~リエガーとリレッタ!」


いやぁ私は何もしてないんですけどね…ルイド君は首の奴隷印があった辺りを触っている。


「魔力、全回復している」


「みたいだね、流石だね。奴隷印で封印されてたのかな…最初の頃より数倍は多いね」


ルイド君は私の方を見て、いきなりキスして抱き付いて来たぁ!?


親っ親がここにいますからっ!……ああしかし、ルイド君の匂い凄い…たまらんね


「番の匂いが濃い…やっぱり奴隷印で邪魔されてたのかな。だからリレッタに初めて会った時も番だと気が付かなかったのかな」


あっやっぱりルイド君もそうだったんだね?


「あ、やっぱりそうなの?私もルイド君の匂いが強まったな~と思ってた」


「へぇ~そうなんだぁ」


ぎゃああ!うっかりしていたっ!ルイド君に抱き付かれて匂いを嗅いでボーッしていたけど、お父さんとお母さんが見ていたんだったぁぁ!お母さんがニヨニヨしているのが怖いっ。


すると、真顔で私とルイド君を見ていたお父さんが斜め上発言をしてきた。


「リレッタ、私達が証人の署名をしてあげるから婚姻手続きをしてきなさい」


ひえぇ何だってぇぇ!?


「ちょっ…お父さんっ!?私まだ恋人気分を…」


「なぁに言ってるの!?引き延ばしていたって婚期が遅れるだけじゃないの!私達だって早く孫を抱っこしたわ~ねぇお父さん?」


「そうだねお母さん。ほら、早くしなさい。今から公所に行けばいいだろう?」


母親からの、婚期が遅れる発言……ジャックナイフで斬られるような言葉の破壊力だ…


「わあっ!ありがとうございます!」


ルイド君!?あんたっ裏切ったね!?


婚姻を急かす両親と番のルイド君が結託してしまい、逃げることが出来ないまま再び王都に戻り…公所に婚姻届けを出した。


あっけない…もうルイド君と夫婦だなんて。


「あなた達は古代竜に会いに行くのよね?私達も万能薬の件で急がしくなりそうだし、暫く王都の屋敷に戻ってるわ~それに奴隷印の解術魔法の販売も始めなきゃね」


お母さんの商魂が凄まじい…でもさ?


「あんな解術魔法って売れるの?」


「あんなもの、本当は無償で消してあげたいけど…商売として大々的に売り出してみるわ。奴隷印に苦しめられている人達がほんの少し勇気を出して解術をしてもらえるようにね」


「ローズエッタさん、あの…」


「やだぁルイドちゃん!お義母さんって呼んで!」


きっつ……おばさんに絡まれるルイド君が哀れだが、これも姑との宿命と…諦めてくれ。


ルイド君は、ビクビクしながらお母さんに


「お、お義母さん…えっと奴隷印の解術魔法の販売は、奴隷商人に反対されませんか?」


と、聞いている。そうだよね…私も真っ先にそれが浮かんだわ。


いくら非人道的な商売だとはいえ、この世界では数千年に渡り続いて来た商売だ。潰れないということは需要と供給が存在するということだ。


「ルイド君…実はね私、他の奴隷印も解術出来るのよ。他…というのはね、大昔にドラゴンに編み出された従属魔法が原点の奴隷印だけど、今では数百種類あると言われているの。つまり今回解けたのはその一つという訳。それでもすごいことなの」


私もルイド君も息を飲んだ。


「数百のうちの一つに自分の奴隷印が当てはまって、自由になれるかもしれない。奴隷制度は合法だけど自分から好んで奴隷になる人なんていないわ。逃げたくても逃げれない…それにね、何も奴隷印を消しますよ~という宣伝をするわけじゃないのよ?解術魔法を新たに作りました~と宣伝するの。実はねこれ内緒の暗号なの…それにね、ローズの魔道具店で働いている人達、元奴隷の人が多いの…ウフフ」


私もお母さんと一緒にほくそ笑んでやった。ルイド君はポカンとした顔をしたが、すぐに破顔して


「とても素晴らしい社会貢献だと思います。流石お義母さんですね」


と、52才ナイスミドルな格好いい言葉を捧げてくれた。


「ルイドちゃんに褒められたわ!」


とお母さんは乙女のようにはしゃいでいる。うん、姑は褒めて落とす!これだな。


両親は王都の家に帰って行った。私とルイド君は取り敢えずラウンの森の私の家に帰ることにした。


「一気に森まで帰ろうか?」


ところがルイド君が、両親と公所の前で別れて少し歩いてからとんでもないことを言ってきた。


「えっ?森ってラウンの森のこと?ここ王都だよ?めっちゃくちゃ遠いよ?一気に行けるの?」


「ああ」


事もなげにそう言ってきた、一応今日旦那様になったばかりのルイド君。


「奴隷印が解術されて、いつも通り魔法が使えるようになったから…行くぞ」


「えっ…ひゃ…」


叫んだ瞬間、視界が一瞬暗くなった後はもうラウンの森の家の前だった。


「嘘でしょう…」


「本当…俺、数人ぐらいなら国と国くらいの距離なら一回で行ける」


「ええっ!?そうなの?凄いっ…ってことは普段の表層魔力は抑えられてるってことなの?」


お腹が空いたというルイド君の要望で、すぐに夕食の準備をすることにした。私がお手伝いをお願いすると、ルイド君は野菜を洗ったり洗い物をしてくれたり、出来ることは手伝ってくれている。


夕食の準備をしながらルイド君に魔力抑制の事を聞いてみた。


「抑える…う~んそういう事は子供の頃から訓練はしていたかな。俺の実家は、素材ハンターなんだ。シルバレー商会って言って、リレッタのような薬術師の薬の素材になる希少薬草とか魔獣の素材の卸を…」


「ああっそう言えば!今頃、ルイド君の本名聞いたじゃない…ルイド=シルバレー…あの有名なシルバレー商会の息子さんだったの?」


ルイド君は頷きながら、大きな鍋をコンロに置いてくれた。鍋に水を入れて火を入れた。香草や買って来た魔獣の骨を入れる、スープを作るのだ。


「まあ、そういうこと!商会は父と兄がやってる…だからミツマメさんが万能薬の素材集めに俺を適任だと言ったのはそういうことなんだ。勿論、実家の伝手を頼れるし、俺自身も採取や捕獲する技能はある方だと思うしね。それに…オヤジやアニキに万能薬の話をしたら、すげぇ喜んで手伝ってくれると思う……って、やべぇ…リレッタと番ったこと実家に連絡入れなきゃ、忘れてた…」


「連絡、そうか!私もご挨拶に伺わなきゃ…」


「ちょっとオヤジ達に報告してくるよ」


んん?ちょっと?


そう言って台所を出て、玄関に向かおうとしたルイド君に慌てて声をかけた。


「え?ちょっとどこ行くの?」


「ん?だからオヤジと母さんに報告を…」


「それは分かったけど、今から?…え~と因みにルイド君のシルバレー商会ってマホーミッツ帝国にお店なかった?他国だよ?」


ルイド君は、ああ…と言った後ニヤリと笑った。


「さっきも言っただろう?俺、転移魔法で長距離飛べるって…家の中からはリレッタの障壁があるから魔法で遮断されて飛べないけど、外に出て飛んで来るから~ちょっと報告と万能薬の話もしてくる。もしかしたらだけど、オヤジ達なら万能薬にどんな素材使ってるのか、知ってるかもしれないしな~じゃあ行ってくる」


「え?あ、行ってらっしゃい……」


そう言ってルイド君は外に出て、障壁の効果範囲の向こう側に行くと、手を振りながら一瞬で消えた。


そして……気が付いた。


ルイド君の魔力がスゥーッと遠くに行って、北東の方向にいるのが分かる。しかもだっ何だこれ…ルイド君が喜んでいるのが分かる?何…温かい。心臓というか…胸の辺り…うんうん、喜んでいる。


これって番の繋がり?


そうか、ルイド君の言ってた番になったら遠く離れても分かる…てこれの事だったんだ。


うわーーー凄いね。本当に感情の起伏?も分かるみたい。今は落ち着いている…時々嬉しそうな感情になってる。マホーミッツ帝国で遠く離れているのに、ルイド君の魔力も安定しているのも確かに感じる。


番って凄いな…なるほど、これなら番と離れていても感情が共感しているし、淋しいけど根っこで繋がっているのが分かるから怖くないね。


フフフ、喜んでる喜んでる。そう言えば、ルイド君って最初の頃に比べてよく喋るようになったよね。沈黙の魔法がかかっていたし、ルイド君も喋れないと思ってあまり口を利かなかったのもあるだろうけど…


手負いの狼が家の番犬…自分の番さんになったことを離れて実感した。


私は、再び家の中に入ると夕食作りを再開した。魔獣肉ゴロゴロシチューの出来上がりを待つ間、ハンバーグでも作ろうかと思い立った。


先ずは魔獣肉をミンチにしようと、手動挽肉器を戸棚から出そうと踏み台に乗った時に突如、家の外に強大な魔力の持ち主が数名が現れた。


「…っ!」


一瞬、例の馬鹿侯爵子息の手先か!?と、思ったがルイド君の魔力も一緒だ。あれ?


玄関扉が勢いよく開かれ、ルイド君の声が聞こえた。


「リレッター!皆連れて来たぞ~」


皆って誰だ?答えはすぐに分かった。台所にドーンと、やや大きめのルイド君…ものすごく大きなルイド君に似ている男性…あきらかにルイド君にも混じっている成分を感じる女性の…ルイド君を含む総勢4名が戸口に立っていたからだ。


誰がどう見ても、ルイド君ファミリー…シルバレー一家だった。


突然の来訪にびっくりしてしまって、踏み台の上に乗ったままだった私は


「踏み台の上からすみません、リレッタ=リコランティスと申します。薬術師を生業にしています」


と、シルバレーファミリーに踏み台の上からご挨拶をした。そして今、気が付いた。異世界の玩具の動物キャラクターのご一家と名前の雰囲気が似ているね。


「リレッタ、何か取るの?」


ルイド君が踏み台に近付いて来て、手を出してくれたので挽肉にする道具…と伝えると私を踏み台から降ろして、代わりに登って取ってくれた。


床に降ろされた私は改めて、ルイド君のご両親とお兄様かな?を見上げた。


大きい…ワーウルフってこんな感じなんだ。すると…一番大きなルイド君を厳つめにした感じのお父さん?にヒョイと抱き上げられた。視界がグーィと天井に近くなる!?


「これがルイドの番かーー!可愛いなぁ~おいっ!なあ、マグリー?」


「本当!小さい可愛い!女の子は良いわねぇ~うちも女の子が欲しかった!」


「むさ苦しいのですみませんね…はじめましてルイドの番のリレッタちゃん。ギリッド=シルバレー、ルイドの兄です、宜しくね」


おおっ!やはり、やや大きめのルイド君はお兄様だったのね。お兄様も美形でカッコイイ!


じゃあ、この私を抱っこしている厳ついお兄様はルイド君のお父様で、その横のルイド君成分を感じる女性はお母様で確定だね。


「初めまして、お義父様の腕の中から失礼します。リレッタです、宜しくお願いします」


「お義父様だってぇぇ~やべぇな、おいっ!聞いたか?マグリー?可愛い可愛い!」


おぃ?おっさん…には見えない、お兄様っぽいオヤジは興奮したのか、私に、高い高ーいをしてきた。


更に視界が上に上がる!天井にぶつかる!?ひえええっ!?


「オヤジッ!リレッタは人間だっ手荒にしたら怪我するだろっ!」


ルイド君が怒ってくれたので、オヤジは私を降ろしてくれた…この年で高い高ーいは色んな意味できつかったです…


という訳で、ルイド君達ファミリーに囲まれて、ついでなので夕食を…という感じでマグリーママと一緒にハンバーグを作ったりしながら夕食を頂いた。


「それにしても良かったよぉ~こいつ…中々、番が見付からないし…もう無理なんじゃないかと…うぅ…」


ルイドオヤジがオヤジ泣きしています。マグリーママも目尻にキラリと光るものが見えます。


そうして話を聞いていくと、ギリッドさんの番もまだ見つかっていないそうなんだけど…因みにギリッドさんは60才だった…還暦!


「もしかすると俺の番も異世界にいるのかもなぁ…」


とお兄様がジョッキでお酒を飲みながら呟いているのを聞いて、確かにそうかもねとも思った。世界は広い…異世界も広い…どこかにいるのかも?


そして、万能薬の件はシルバレーファミリーはノリノリで快諾してくれたようだ。


「上手くいくと万能薬が世界中に出回るかもなんだよな…素材ハンターのうちとしては有難いことだよ。材料はうちの商会でも取り扱っている…バーナメントの花弁とかあるしなぁ」


「バーナメント!?あれって一年に一回しか咲かない花だ…なるほど、確かに材料を入手するだけでもハードルが高い…」


お義父様は商会で万能薬の材料も卸したことがあって、使われている材料は分かるのでそれを書き留めている書類を渡して見せてくれた。


「すごい…ほぼ全部が希少植物と動物の希少部位だわ…確かに製法が分かったとしても、誰も彼もが万能薬を作れる訳じゃなさそう…まずは材料集めで頓挫するわね…」


「見ただけで素材の値打ちの分かるリレッタちゃんは素晴らしいな~俺達もその素材で万能薬一本作るのに、大体どれくらいの分量がいるのか…までは見当がつく。素材集めの方は任せてくれ。ただ製法だな…ミツマメの奴、本当に古代竜と連絡つくのか?」


む?お義父様が親し気にみつ豆さんを呼び捨てているのが非常に気になるけど…


「お義父様…差し支えなければお義父様の年齢をお聞きしても構いませんか?」


「ん~?俺か88才だよ」


米寿じゃないか!異世界じゃあ関係ないけど…そりゃ早く孫が見たいわけだね~


そして急にどうしたのか、精力剤を欲したお義父様に秘蔵のバリバリ君一号を渡した後、シルバレーファミリーは帰って行ったのだが……


はい、私とルイド君は一応新婚さんです。色々諸々心配事はあるけれど、新婚さんです。


お風呂も入りました、準備は大丈夫です。


そしてお風呂の前にルイド君に一つ約束してもらったことがあるのだ。


「ルイド君、万全に新婚さんを満喫するにあたり、一つお願いがあります!」


ちょっと警戒していたルイド君は私のお願いを聞いて、首を捻りながらも了承してくれた。


「よーし来い!早く来い!ホラホラ~」


そう…湯上りモッフリ状態のルイド君が毛先の水分をプルプルと振る仕草を、是非っ私の目の前でして欲しい!とお願いしたのだ。よーーし存分にプルってもらおうじゃないかっ!バスタオルを持って構えてるよ!


「………行くぞ」


浴室から出て来たモフモフのルイド君にバスタオルを広げて向けて、喜々として脱衣所で構えている不審な私。そんな私をジト目で見ながら、ルイド君がプルプルと体を振るった!水滴が飛び散る!


「ひゃああんん!モッフリのプルプル頂きましたぁぁ♡」


「………」


雫を飛ばしてたルイド君はまだジト目で、興奮と悦びでくねくねしている私を見ている。どんなに冷たい目で見られたってヘ・い・き!


モフモフ好きにはこのプルっているワンコ達のお姿さえも愛おしいんだから~


ルイド君に近付いてモシャモシャとモフモフの体を拭いてあげる。


「なんかさ~獣化している時は、やけに体に触って来るよな…」


「だってルイド君のモフモフ好きなんだも~ん」


「…そう」


ルイド君は自分の口元の湿り気?を舌でペロペロと舐めている。そして、ルイド君の体を拭いている私の顔も、ついでとばかりにペロペロと舐めてくる。


「ルイド君、くすぐったい…フフ。……っは!もしかして…このまま?ねぇこ…このまま致すの?まさかの獣姦!嫌だわどうしよう!」


嫌だわ…と言いながらハァハァ言って妄想してしまう私を許して欲しい。獣のモフモフモフモフ…


ルイド君は大きな息を吐いた。


「……はぁ…いや、それは体格的に難しいと思うし、リレッタに無理はさせられないから…今日は止めておこう」


「ええぇ…ちょっと楽しみだったのにぃ……」


「…………」


またルイド君がチベットスナギツネ顔で私を見てくる。番さんに向かってその顔は無いんじゃない?


「普通でいいだろう?」


普通……?普通って何だろう?


そして私はワーウルフの普通を舐めていたことを翌朝、思い知ったのだった。


ルイド君は体力が底なしだった。おまけに…朝、目が覚めて金縛り状態になっていたので…全身の筋肉痛に鞭打って何とかベッドの中で体の向きを変えたら………


ルイド君によく似たギリッドさん成分も感じる、すんごいすんごいっ美形のお兄様(推定20代半ば)が私の横で添い寝してくれていたのだ。


「あんた…誰?」


思わず呟いてしまったら、そのすんごい美形のお兄様はゆっくりと目を開け、半眼で


「馬鹿か?ルイドだよ」


とお色気たっぷりの低いバリトンボイスで言ってきた。


……嘘でしょう?致しただけで成獣するなんて聞いてないよ!……ん?いや、待てよ?確か…みつ豆さんが契れば成獣するとか言ってなかったっけ?


契るってコレのことなんだ…事前に言っておいて欲しかったわ………ぎゃっ!?


「やだぁ!キュルリンルイド君にフリルのシャツ着てもらって王子様ゴッコしたかったのにぃぃぃ!こんなにゴツかったらキュルリンルイド王子にならないよぉぉ」


朝から叫んだ私は、大人に変化?したルイド君…とはとても呼べないルイドお兄様に冷たく睨まれてしまった。


これはこれでカッコイイんだけど、うわーーん私のキュルリンルイド王子ーーー!


契りました(笑)


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