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お風呂でモフモフ

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それから美少年ルイド君(人狼)は、度々私に牙を剥いた。


懲りないな〜


今頃クラリッサの言っていた事が分かってきた。クラリッサにもこんなに攻撃を仕掛けていたのなら、公爵家のご令嬢のクラリッサには到底扱いきれなかっただろう。


獣人に噛みつかれたら、魔獣も一撃で絶命するというしね。本棚から引っ張り出してきた『異種族とのお付き合い♡』という本に記載されていた注意事項だった。


クラリッサ的にはあの美少年を愛玩動物として愛でながら、面白おかしく生活するつもりだったはずだ。


しかしこんな暴れ狼じゃあね〜


だが流石、人狼といったところか…衰弱していた昨日より動きが早くなり、夜には寝転んではいるが、ぐったりしているという感じでは無くなってきた。


そんな私は本日、リビングの続き部屋の作業室にいる。卸している薬の納期が迫っているからだ。


私が薬を作りだしたらルイド君はリビングから寝室に行ってしまった。一応逃げないで寝室にいるみたいだ。


ゴリゴリ……すり鉢に朝鳴草と夕哭草を両方入れて擦り潰す。独特な匂いのこの薬草は、混ぜると湿布薬になる。最終仕上げに防腐魔法と回復魔法を混ぜれば完成だ。


「相変わらずメンソールの匂いが凄いな〜」


懐かしいツーンとした匂い。魔法をかけ終わると平たいバレットに入れて固める。大型の冷保管庫に容器ごと入れて扉を閉めた。


切り傷用の薬草の在庫を見ると、ちょっと数が足りない。


材料の保管棚を見ると、加工用の材料も少ない。これは何種類かの薬草を摘みに行かねばならない。


うむ…ルイド君とは奴隷契約で長距離離れられない。これは薬草採集の時に連れて行かなきゃならないね。


怒るかな〜?怒るよね〜


私は寝室のドアをノックして、入るよ〜と言って寝室を覗き込んだ。


「ルイド君、薬草摘みに出掛けたいんだけど、一緒に…」


「行かない…」


やっぱりモフモフから素早く拒否されたぁ!


ルイド君は完全に私の方へモフッとした黒いお尻を向けて拒絶の姿勢だ。


「う~んでもねぇ、ルイド君は奴隷契約で私とは離れられない体でぇ~一緒にお出かけしないと、体が千切れるような痛みが走るとか聞いたんだけど?」


痛みの話は本当だ。契約中に逃げ出した奴隷は悉く死亡しているのだが、僅かに生き残った者の証言によると、まさに身を引き千切られているような激痛が体を襲ってくるらしい。(参照:異種族とのお付き合い♡より)


そう言えばドラゴンが奴隷従属魔法を考えたのよね?酷い人権侵害だよ。あ、モフ権侵害かな?


ルイド君は若干、こちらに顔を向けながら


「そんなにまだ動き回れない…」


とボソボソっと言ってきた。おおっ、ということは行ってくれるんだね~もちろん私が連れて行くよ!


手をワキワキ動かしながら黒いモフモフに近付いて行くと、ルイド君は低い唸り声をあげた。


「なんか怖えぇ……お前…」


「大丈夫、大丈夫~痛くしないからぁ」


「っ!」


私はルイド君に襲いかかった…もとい、厚めの敷布の上に座っていたルイドモッフリ君を敷布ごと抱えると、転移魔法で山の中へ一緒に移動した。


「はいはい、到着~と。ルイド君はここで鎮座あそばしてお待ち下さいませ」


ルイド君は何かブツブツ言っていたけど、敷布の上で丸くなると、眠りの体勢に入ったみたいだ。


私は、その姿を確認した後、たすき掛けした魔法のショルダーバッグから薬草を入れる籐籠を取り出した。


「日が落ちる前には終わらせないとね~」


という訳で、私は薬草摘みを始めた。あら、炒めて食べたら美味しいスーズー草が群生してる!やった~私は黙々と食用の草と薬用の草を摘んでいった。


ふぅ……私は少し休憩しようとルイド君が鎮座されている、開けた場所に戻った。モフッとルイド君は耳をピクピクさせながら、一応私の方に意識を向けてくれている。


もう~モフモフツンデレなんだから~ルイド君にデレは無いか?無いよね、うんうん。


「ルイド君、少し休憩しない?」


私は魔法のショルダーバッグの中から水筒とハムサンドとフルーツサンドを出した。


この魔術のショルダーバッグは便利だ。お母さんが作ったんだけど、魔法でバッグの中に結構な重量を収納出来るし、食べ物も腐らないまま保存可能でバッグより質量の大きな物もすんなり入る不思議設計だ。


さて、水筒の中はオレンジに似た果物ジュースだ。恐らく今のルイド君ならこれくらいならもう食べれるだろう。


私は平たい取り皿の上にサンドイッチを置いてから、もう少し深めの皿(ルイド君専用だ!)に果物ジュースを注ぎ入れた。


「日差しがきついから、気を付けてね」


私は遮光魔法をルイド君の頭上にかけた。


私がそう言ってから皿をルイドの前に差し出すと、フンフン…と暫く匂ってから、サンドイッチを食べている。


あぁこの手負いの獣がちょっとずつ心を開いていってくれる感覚堪ら〜ん!


早くモフらせてくれないかなぁ〜いや待てよ?汚いからとお風呂に強引に入れちゃって触りまくるということも出来るよね?


「フフフ………」


ルイド君はサンドイッチを食べながら、こっちを見て警戒している。いいよいいよ~存分に警戒しろ〜洗いまくってやるからな~


さて、また丸くなって眠りの体勢に入ったルイド君を確認してから、私は薬草を摘んだ。


二時間くらい無心で薬草を摘んでいると、フト何かの気配が近付いて来たので、ハッとして横を見た。ルイド君だった……驚いた。


「それ以上奥へ行くな…魔獣がいる」


「ひっ…ぇ…本当なの?魔獣の魔質なんて感じないけど…」


私はルイド君が鋭い目で睨みつけている森の奥を同じく覗いてみた。そして魔質を探る…ああ、本当だ微かだが魔獣の気配がある。薬草摘みに熱中していて気が付かなかった。


流石、人狼のルイド君だ。


「アレは獲物が射程距離に来るまで、魔力を抑えて木々に擬態して狩りをする魔獣だ。ゆっくりと戻れ…」


木々に擬態!?そんな魔獣今までこの辺にはいなかったと思うけど…


「そ…そんな魔獣この辺にいなかったと…思うけど」


「…っち、俺のせいだ…と思う」


ルイドモフモフのせい?どういうことだろう?


私は身を屈めながらゆっくりと後退した。舌打ちをしたモフッとルイド君はトテトテ…と敷布の上に戻ると、振り返って鋭い眼光で森の奥を睨んでいる。


「魔素を吸う魔獣だ…」


魔素を吸う…嫌だ、吸血鬼?とかの魔獣かしら。そんなホラーな生き物が存在するの?


「帰るぞ…」


ん?んん?今、帰るってルイド君、言った?私の家に帰るのよね?やだーーっ一匹オオカミ(人狼)のモフモフルイド君がついにうちの子になった瞬間だわ!


「何だ…その目は…」


「い~え?じゃあ帰りましょうかねーー我が家へーー!」


敷布をルイド君にかけてモフモフで包むとルイド君と一緒に一気に家まで転移した。


ルイド君は家に戻ると、もはや定位置となったリビングの暖炉の前に行くとクルリとこちらを向いた。


「ここに敷布を敷け」


何で偉そうなんだよ!こらぁ私がご主人様だぞぅ……と思いつつもイソイソと暖炉の前に敷布を敷く私。ルイド君は分かってて私に命令してるでしょ?私がモフモフからの命令に逆らえないのを見透かして俺様ワンコ様の態度なんでしょう?


このぅモフモフのくせに卑怯だぞぅ…こうなったら…


「ルイド君…体を洗おうか?」


ルイド君の耳がピンッと立ち上がった。


「外から帰って来たし…土とかついているよ…汚い汚いよ~」


思わず小さな子供に諭すような話し言葉でルイド君に迫る私。モフモフは毛を逆立てて威嚇している。


「汚くな…」


「だめだめ~モフ毛がねっちょりしてたよ?」


「モフゲ?」


私は可愛く小首を傾げた狼~な姿のルイド君に捕縛魔法をかけた。油断していたのだろう…ルイド君はギャンッ!と鋭く一鳴きした。


「おま…ぇズルいぞ…」


私は身動きの取れないルイド君を重力軽減魔法で軽くして、お風呂場に連れ込んだ…断じて如何わしい事をするつもりは無い。傍目にはモフモフの体を洗ってあげるおねーさんの図だ。


「あ~しまった、動物用の石鹸無いわ…まあいいか。ルイド君からお花の香りがしても可愛いよね」


「っおい!もっと匂いのしないのないのかっ!」


っち…うるせーモフモフだなぁ。仕方ない…とっておきの…ゴソゴソ。


「じゃーーん。薬用石鹸ーー!これなら薬草の匂いだから大丈夫じゃない?」


ルイド君の鼻先に私の自作、皮膚の弱い人用の石鹸の試作品を近付けるとフンフン…と匂いを嗅ぐルイド君。


「茶の匂いだな…まあいいか」


OK頂きましたー!まずは手でしっかり泡立てて…ルイド君に浴槽のお湯を桶でかけようとした時に、ルイド君が何か慌てたような声を上げた。


「ちょっ…待て、お前服を着たままなのか?」


「うん、そうよ?防御障壁張ってるし防水加工も完璧よ」


私がそう答えると、ルイド君は何だか頭を下げている。んん?またブツブツ何か言ってるね?よく聞けば知らない国の言葉だわ…流石の私でも、この世界の異国語は聞きとれないんだよね。


「はーいお湯かけるよ~」


私はお湯の入った桶を傾けてルイド君の背中にゆっくりお湯をかけた。初めて会った時にも思ったけど、モフ毛が水をはじいちゃうのよね?狼の毛って防水加工をしているの?


…とお湯をルイド君の体に一通りかけた直後は思っていたのだけど石鹸を手で泡立ててルイド君を洗い始めた時に気が付いた。


「ぎゃあ、汚っ…ひえぇ…どす黒い!?」


ルイド君の体からどす黒い汁がぁぁ!?薬用石鹸の泡が黒くなってる!?しかも何度擦っても泡立たない…


「これは…結構汚れてるね、ルイド君…」


「うん…」


分かっている、今まで過酷な環境だったのも理解している。そう言えば性奴隷が云々とか言っていたよね…もしかして…ああ、色々想像しちゃった。


3回ほど石鹸で洗い、お湯で流して…4回目でフワモコの泡が立ち始めた。私はルイド君の背中から尻尾…禁断の?お腹まで洗っていった。


最初は低い唸り声を上げていたルイド君だったけど、黒い汚れ汁が体から流れているのを見て諦めたようで今は大人しくしている。


耳周りも遠慮なく洗っていく。


「目を瞑ってね~」


顔を遠慮なく洗っていく。そして気が付いた。ルイド君は黒毛だと思っていたけど、紺色?夜の空のようなネイビーブルー?ミッドナイトブルー?とても綺麗な色だと気が付いた。


「ルイド君の毛の色は濃紺なんだ!」


「…そうなのか?自分じゃ分からない…」


最後にかけ湯をして、ルイド君を浴槽に入れてあげた。もう捕縛魔法は解いているので、ルイド君は浴槽の端のほうで座って目を瞑っている。


湯舟に浸かるモフモフ…可愛い。


「ゆっくり浸かってね」


「ああ…」


私は浴室を出ると、体を拭くバスタオルとルイド君のあの綺麗なミッドナイトブルーの毛につけるヘアエッセンスを準備した。


毛先ぱさぱさで傷んでるんだよね…フローラルな香りは嫌がるだろうから…うんこれだ、柑橘系…これなら大丈夫だろう。


やがて、ルイド君の魔質が動いて近付いて来たので、浴室の扉を開けてあげた。


「もういいの?」


そう聞くとルイド君は一つ頷いた。


さて、どうやらルイドモッフリ君は風呂場で毛をブルブルと振るって水気を切ってきたようだ。ああんっ!モフ毛をブルブルさせてるあの仕草っ生で見たかったなぁ~今度やってもらおう!


ルイド君の半乾きの体をバスタオルで拭いていく。


まあ~手負いの狼さんが大人しくなっちゃってえぇ…。耳の中までタオルを突っ込んでいく。黒い耳垢が出て来た…いくら美形狼でも、汚いのは駄目よね。


「さあルイド君、これで傷んだ毛先を治していきましょうね!」


ルイド君は私が取り出したものを見て耳をピンと立てた。


「…それ、何?」


「これも私が作った薬だよ~傷んだ毛先を綺麗にしようね~」


「……」


ルイド君は大きく息を吐くと、座って目を瞑ってくれた。私はヘアエッセンスを手に付けると、ルイド君のモフモフ毛に塗りたくった。


ルイド君は鼻をヒクヒクさせていたけど、怒ったりはしなかった。これでもかっ!と毛先に塗りながらモフ~~と触りまくった。お風呂上りなので手触りが溜まらん!


「お前…必要以上に触ってないか?」


「あら?そう…オホホ…毛先綺麗にな~れ、な~れ!」


怪しげな呪文をかけるフリをして、モフ毛を堪能させてもらった。モッフリ♡


お風呂上がりのルイド君にルイド君専用のお皿に柑橘系の果実ジュースを入れて出した。


「ルイド君…晩御飯、何食べたい?」


「肉……」


「言うと思った~けどお腹とか大丈夫かな?ああそうだ…脂は抜けるから、しゃぶしゃぶにしようかな?」


「しゃぶしゃぶ?」


実はポン酢は無いけど、西の国の特産品でお酢と醤油は発見したんだよね~胡麻は多分南方の島にあるんじゃないかと睨んでいるけど、それの探索はまたいずれ…で、今日はポン酢でしゃぶしゃぶをしようかな~


冷保管庫から魔獣の霜降り肉薄切りを取り出して、野菜も準備する。〆のうどんは無いのでおじやにしよう。ルイド君のお腹がいきなり食べてびっくりしてはいけないしね。


ルイド君は窓辺に置いてあるソファの上に座って、外から入ってくる風を受けてうっとりと目を細めている。その姿に先日までの、汚れて鳴き叫んでいた痛ましい様子は窺えない。


少しは落ち着いたのかな…


その日の夜のしゃぶしゃぶはルイド君に大好評だった。まだ病み上がりのルイド君にはちょうど良いお肉加減だったみたいで喜んで食べてくれていた…と思う、狼の表情はよく分からないので、多分?


〆のおじやを食べてルイド君は暖炉の前で丸くなっている。


「あ、そうだルイド君。明日薬問屋の方が訪ねてくるから、知らない人に吠えちゃダメよ?」


ルイド君は首を持ち上げて、多分…睨んでいる?


「お前、俺を何だと思っている…」


「ん~モフっと君?」


「何だそれは、変な呼び名をするな…吠えたりしない」


ルイド君はまた丸くなって暖炉の前で眠りの体勢に入っている。


私は夕食の後片づけてを終えてから、今日採ってきた薬草を使って薬の調合を始めた。


随分と集中して調合していたようで、気が付くと夜半近くになっていた。予定の量は作れたし、今日はここまでかな~あ、肩が凝っている…ゴリゴリと腕を回していて、気が付いた。


ルイド君がいない…


彼の魔力を探ると随分と遠くまで行っている…こんなに離れて大丈夫なのかな、急いでルイド君の後を追った。


「…が…ぐぅ…」


ルイド君は森の中でのたうち回っていた。多分…奴隷印の戒めがかかっているのだろう…そうか逃げようとしたんだよね。


「ルイド君…」


ルイド君は私の方を見ようとはしない。私から逃げたかったんだよね…ルイド君が落ち着くわけなんて無かったんだ。人の…人狼の尊厳なんて無い…奴隷にされて、悔しくて悲しくてずっと吠えていたんだよね。


「ゴメンね、ルイド君…ルイド君がどれほど苦痛に思っているか、実感出来ていなかったよ…辛かったね…怖かったね。でもこれだけは約束させて、私の居る場所では絶対にルイド君を虐げたりしないし…怖がらせたりしない。だから一緒に帰りましょう」


自然と涙が零れた…奴隷なんて認めない!と異世界ルールを掲げてそんな制度に嫌悪感を示していたが嫌うばかりで理解しようとしなかった。その制度に苦しめられている人に目を向けていなかった。


少なくとも、目の前のルイド君をその戒めから解放出来るかもしれない手立てを私は持っているのに…


ルイド君は起き上がると、私に近付いて来た。もう動けるみたいだ…そうか主人である私が側にいるからだ。


「ルイド君、私の両親に相談しよう…魔術師なんだよ」


私は涙が止まらなかった。そう…一番に親に相談すれば良かった、そうすればルイド君も安心しただろうしルイド君の苦しみを和らげることがもっと早く出来たはず…


「お母さんなら、従属の奴隷印の消し方を知っているかもしれないし…お父さんなら何か解決方法を見つけてくれるはず…今旅行に行ってていないけど、絶対ルイド君の助けになってくれるから」


「…そうか」


ルイド君の魔質はまだ警戒と困惑の色を出している。


その時、私達の周りに魔力の気配が集まってきた。ルイド君はガッ…と立ち上がって唸った。暗闇から捕縛魔法が放たれた!私はルイド君を引き寄せると防御障壁を張った。


こんな時に…!


私の障壁に弾かれて、捕縛魔法は跳ね返された。


「リレッタ=リコランティス…私達と共に来い」


数人のフードを被った男達が闇夜の中、私達の周りに立っていた。ルイド君がいるこんな時に…ルイド君を引き寄せる手が震える。私は攻撃魔法が使えない…その代わりに異世界のチート特異能力が特化しているのだが、そのせいでこういう輩に狙われる。


「お前の力を持って我の主を救え」


やっぱりそれか…何度説明しても分かってもらえない…


「私では救えません!私の魔力は万能薬ではありません!私は治療術師の能力は高くないのです、私では死期の迫った方は救えません…死はどなたにも訪れるもので…」


「黙れっ!」


野太い声に言葉を遮られて、体を強張らせてしまう。怖い…元異世界人で見知らぬおじさんに怒鳴られた事なんてほぼ無いのに…ちゃんとお父さんの言いつけを守っていればよかった…今頃後悔しても遅いけど


兎に角、防御障壁を張って黙って耐えていればそのうちいなくなるはずだ。大丈夫だ…大丈夫。


「かかれ!」


私目掛けて、剣を持った数人が切りかかってきた。私が抱えているルイド君の毛が逆立ったのが分かった。


「ルイド君っ大丈夫だから…障壁あるから!」


ギィンン……障壁に剣が当たった音がした。私はルイド君にしがみついてしまった。早くいなくなってっっ!


「お前のっ神の加護を主に寄越せっ!」


まだ言ってる…違うと説明しても理解してくれない。この世界には無い考えなのだろうか…どの人にも適合する魔力持ちの私の作る魔力入りの薬は怪我が短時間で治癒し…後遺症も出ないと評判だった。


それは私の魔力のせいだろう。だがどれほど早く治ったとしても、全ての怪我が治るわけではない…


そう、この世界の人に寿命だ、不治の病だ…と説明しても通じない。死の淵に立っているものでも引き戻すことが出来る万能薬がこの世の中に僅かながらでも、存在していることが原因だ。


その万能薬はドラゴンしか作れないとされている。だったらドラゴンに作って貰えばいいのでは?と思うけどドラゴンは気難しくまず、同族以外には薬類は渡さないと言われている。


私は障壁の中で震えながら、時間が過ぎるのをひたすらに待った…


ルイド君は黒毛モフモフか~→ミッドナイトブルーモフモフだった!

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