表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/14

三毛猫と女豹一騎打ち

誤字修正しています

大きい洞窟だな…


「上ばかり見てると転ぶぞ」


ルイド君が手を引いてくれるので、三毛猫さんの光魔法の灯りだけでも転ばず歩ける。そして暫く歩いていると大きく開けた所に出た。……その洞窟の中に古代竜は鎮座していた。


大きい…その一言に尽きる。


古代竜、ワースクエイト様は想像していたサイズより横に大きかった。ワースクエイト様に歩いて近付いて行くと、ローブを被った2人が古代竜さんの足元にいるのが見えた。


私の肩に乗っていた三毛猫さんが


「クラリエもトウガも久しぶり!」


とローブの人に声をかけていたので、この人達…ドラゴンがお世話係?なのかもしれない。


「ミケ、久しぶり。ミツマメは元気なの?今日、皆さんが訪ねていらっしゃるからと、ワースクエイト様は起きてお待ちになってますよ」


ローブの片割れ、クラリエさんかな?女性のドラゴンのようだった。声が可愛い。


「おおっ…」


何となくルイド君が感嘆の声をあげている。古代竜といえばおじーちゃん竜?おばーちゃん竜?だと思うから、人間と一緒で日中は疲れて寝ていることが多いのだろうと推察をする。


「ワースクエイト様、お着きになられましたよ」


もう片方のローブの方、トウガさん?がワースクエイト様に声を掛けた。そのドラゴンは男性のようだった。


やがてゴゴゴ…と地鳴りが聞こえてきた。大きな古代竜の体が少し動いて、鱗か岩なのかに覆われた瞳がゆっくりとこちらを見た。爬虫類の目だけど、白く眼球が濁っている。白内障なのかも…


「これは…よく来たね。ワーウルフの子供達と人の子よ」


おばーちゃんの声だった。ドラゴン、ワースクエイト様は女性だった。


「お久しぶりです、ワースクエイト様。ミケキフォラエラ=メフィレスベアイトスです」


長っ…三毛猫さんの本名はミケキ…メフィぐらいしか聞き取れなかった。


「おお…久しいね、番のミツマメとアリアケとハナハルは元気?」


有明?花春?


「はい、番も子供達も元気です」


子供ーーー!?こんな所で新情報が!みつ豆さんと三毛猫さんご夫妻には子供が二匹?いた!


ワースクエイト様は、ゆっくりと視線を私の方を向けてきた。


「噂には聞いていますよ『異界の叡智』あなたですね?どうです、この世界には慣れましたか?」


うおっふ…まるで校長先生とか会社の社長とかと話しているみたいな、目上感がある。


どう答えようかと一瞬考えたが、今の気持ちを正直に話してみることにした。


「慣れは…多分一生慣れないですね。やっぱり前の世界はこうだったな…と比較してしまいますし。ただこちらには無いあちらの技術をお伝えして…良かったのかな、と未だに自問自答しています」


「どうしてですか?新しい魔道具や見たことの無い珍しいものを見せられて、この世界の者達は喜んだでしょう?」


んん~?それもどうだかなぁ…と実は思っている。


「進化や発展とは自然に起こるものだと思っています。突然介入した異質な力によって力ずくで別方向に誘導されるものではない…と考えております」


私がそう答えると、ワースクエイト様は忍び笑いをされた。


「では、あなた自身はこの世界に来てはならなかった…とお考えですか?」


私は首を横に振った。


「少なくともこの世界の魔道具研究に横やりを入れてしまった…という点ではやり過ぎたと思っています。ですが私はこの世界に来て…番に、彼に会えた。それが運命だったのだと思っています」


私が微笑んで隣にいるルイド君を見上げると、ルイド君は顔を真っ赤にしていた。こんな所で惚気てごめんね。


「ホホホ…そうかそうか。異界の叡智の力はやり過ぎたと思うが、番に会えた方が重要だったということだね?」


「はい、その通りです」


「正直な子だね……トウガ、渡してあげなさい」


トウガさんは巻物みたいなロール状の筒をルイド君に渡してくれた。ルイド君は受け取ったものの、ギリッドお義兄さんの方をオロオロしながら見た。


「アニキ…これ何?」


「これは…万能薬の…調合方法ですか?」


ギリッドお義兄さんがオロオロするルイド君に代わってトウガさんに聞いた。トウガさんは頷いた。


「ワースクエイト様は異界の叡智と話してみて、託せる方ならその方法を教えると仰っていたので…ああ、もう眠りに入られてしまいましたね…」


トウガさんがそう言ってワースクエイト様の方を見たので、私もつられて上を向くと確かに古代竜の瞳は閉じられている。これもお年寄りあるあるだ。疲れちゃうんだよね…


「調合方法…あの、今ここで開けて中を見ても良いですか?」


トウガさんに尋ねると頷いてくれたのでルイド君は巻物を開いた。皆で覗き込んだ。


巻物の中には帝国の言葉で万能薬の材料が書いてあるようだ。ルイド君が音読してくれる。


「バーナメントの花弁…ブロエラの実、サケレイターのヒレ…うん、材料はオヤジに教えてもらったので間違いないみたいだ。良かった…こまかな分量とどの部位を使うかも書いてある。え~とじゃあ調合は………え?液体になるまで煮込むべし…え?」


「なにこれ?煮込むだけ?」


え?万能薬の調合方法は煮込むだけなの?一緒に覗き込んでいた三毛猫さんも驚きの声を上げた。


「あの…これ間違いないですか?」


トウガさんを戸惑いながら見上げると、トウガさんは頷かれた。


「万能薬の調合方法はそれで間違いありません…何せ、最後の生き残りの薬術師のドラゴンが書き示したものなのです。ああ…その薬術師のマルタエルからご伝言があります。『リエガー=リコランティスに調合方法を渡してくれ』と」


「!」


「お父さんだっ!」


トウガさんは頷いた。


「マルタエル様からお聞きしましたところ少し前に人間の魔術師の青年と意気投合して、万能薬を売ってあげたそうなのです。人間にしては中々の術師だった…と」


お父さんが万能薬の話の時に言っていたことだ…これはお父さんに是非教えてあげなきゃ。


「ドラゴンの薬術師の方々が身罷られたと聞いて、父も気落ちしていてそのマルタエル様のお話もしていました。父に話します…ありがとうございます」


トウガさんもクラリエさんも何度も頷いている。


眠りに着いたワースクエイト様に静かに頭を下げてから私達は戻ることにした。


「帰りは転移魔法を使えるよ、ここから一気にシルバレー商会まで…」


「ちょっとお待ちを!」


洞窟の入口まで戻った私はそう言いかけたギリッドお義兄さんを制した。


「ここに来る前にも言いましたが、モフモフ王国に行ってみたいです!」


案の定、モフモフ兄弟が不機嫌そうな顔になった。


「モフモフ王国?そんな国あった?」


三毛猫さんに聞かれて力説をした。


「ワーウルフの故郷で右を見てもモフモフ、左を見てもモフモフ、モフッとの聖地っモフモフ王国とはそのモフモフが集う聖地のことなのです」


「…話の半分くらいは言葉が理解出来なかったけど、つまりはワーウルフの集落に行きたいのね?いいわよ、行きましょうよ」


ほらーー三毛猫おねーさんがこう言ってるぞ~?年功序列!年の功!目上の者に従えぇぇぇ!


ルイド君もギリッドお義兄さんも物凄く、顔をしかめている。


「ねえ、どうして嫌なの?故郷が嫌いなの?」


もしかして村八分?とかされてたのかしら…それなら無理矢理帰るのは…


「里がイヤな訳じゃない。あそこには叔父さんもいるし…従兄弟達もいるから…ただ」


ルイド君はチラッとギリッドお義兄さんを見た。お義兄さんは大きな溜め息をついている。


「会いたくない奴がいるんだ…」


何となくピンときたよっコレ!ルイド君は実年齢はナイスミドルだものっ…


「女ね…ルイド君の元カノがいるのねっ!」


「モトカノ?」


「以前お付き合いしていた女性という意…」


「付き合ってねぇ!」


ん?何をそんなに激高するんだろうか…毛を逆立たせるルイド君。おまけにギリッドお義兄さんも毛を逆立たせている気がする。


「あれは番がいない雄を狙う雌だ!俺もアニキも狙われた!」


狙う?…なるほどそんなワーウルフの女性がいるのね。女豹だね、狼だけど…


「そんな雌のどこが怖いのよ~私が蹴散らしてやるわよ」


姐さん!流石です!思わず三毛猫さんに向かって拍手をすると、ルイド君が睨んできた。結局女2人が行きたいと言ったので、転移魔法でワーウルフの里に飛ぶことになった。


「わあ…」


当たり前だけど、里の入口には『ようこそ!モフモフ王国へ』とかの看板が挙がっている訳ではない。


だが…里の中を歩いているのは普通の人間ばかりだった…


「モフモフ姿が全然いない!?どうして!?」


「どうしてって…裸で歩き回るのは誰でもイヤだろう?魔物が出たとかなら、自警団全員が狼のままで討伐っていうのはあるかもだけど」


ルイド君の説明に胸が躍る!魔物が出たら狼部隊が出動なの!?うそっ…モフモフ狩り?


「……リレッタ、魔物が出るまで里に滞在するとかは無しだからな」


「ルイド君…冷たい!」


とか里の入口で夫婦漫才を繰り広げていたら、スラッとしたカッコイイ茶髪のお兄さんがこちらに走って来るのが見えた。


「ルイド~ギリッド~」


あら?魔質を視るとすぐに分かった。走って来たカッコイイお兄さんはルイド君とギリッドお義兄さんのご親戚だ。察するに従兄弟さんだね。


「ああっ!?ルイドが成獣になってるっ!番、見付かったのか!?誰…だ……」


叫んでいる茶髪のお兄さんと目が合ったので、微笑み返した。


ルイド君が一瞬で私の横に立つと腰を引き寄せた。


「妻のリレッタです」


「リレッタです、宜しくお願いします」


従兄弟さんは泣き笑いみたいな表情をしてルイド君に抱き付いている。


「後はギリッドだな~うん?気を付けろよ…」


従兄弟さんがそう言った後、ルイド君もギリッドお義兄さんも急に緊張した魔質を放った。


なるほど…アレが噂の女豹か。


豊満なお胸を揺らしながら歩いて来る金髪の美女。自信あるんだろうなぁ…女豹はルイド君が成獣になっているのに気が付いたのか、足を止めてこちらを凝視している。


あの方は誰かの『番』じゃないんだよね?ルイド君は兎も角としても、ギリッドお義兄さんにあの人が番だと言われたら、結構びっくりするよね。いや…番は顔や体型は関係ないんじゃない?と言われそうだけど、横に並んだ時にイメージがギリッドお義兄さんとは合わないと思う。


だからと言って私とルイド君が横に並んだらお似合いかと聞かれると主観の問題です…としか答えられないけど。


金髪美女は再び歩き出して…凄い目で三毛猫さんを睨んでいる。どうしたの?


そして三毛猫さんの目の前に来て睨みながら


「あんたがルイドの番?」


と聞いてきた。


私は、なるほどなぁ~豊満な美女は自分と同じような美女を敵対視するんだな~としか思わなかったのだが、ルイド君達ワーウルフの雄は違ったみたい。


皆、一斉に毛を逆立たせたような攻撃的な魔質を放って


「ルイドの番はリレッタだ!」


「俺の番はリレッタだ!」


「ルイドの番はその子だっ!」


と一斉に吠えた。吠えられた美女…女豹の狼はギョッとしたように、視線を彷徨わせると私にやっと気が付いたかのような表情をした。


めっちゃ凝視してくるね。隣のルイド君から唸り声が聞こえる。


「そ…その子なの?嘘よっ…だって人間じゃない!」


ああ…なるほど異種差別ですね。この世界にもあるんだよね…エルフとドラゴンからの蔑む感じとか…ってよく聞くもの。私の周りのドラゴンの方々は良い竜ばかりだけど、中には悪い竜もいるらしい。


まあ人間でも善人悪人いるから当たり前だけどね。


「俺の番だ!お前には関係ない!」


叫んだルイド君の顔を見上げると、私の視線に気が付いて…途端に表情を甘く変えて微笑んでくれた。


「ほーんと嫌な感じの狼だねぇ」


おや……三毛猫さん(今は人型)から何か冷ややかな声と共にゴングが鳴らされましたよ。


永遠の500才☆VS女豹の戦いの火蓋が切って落とされました!


三毛猫さんはククク…と忍び笑いをしながら女豹の周りを円を描くように少し歩いた。動物が威嚇しているみたいで怖いね。


「番のいない雌狼ねぇ…狼の番ってまずは番だと気が付くのが匂いだと聞いたけど…こんなに他の雄の匂いをさせてちゃ、番は気が付いてくれないわね」


「…なっ!」


三毛猫姐さんのドラゴンの爪攻撃が炸裂!女豹のHP15ダウン!


「それに知ってるぅ?狼の番ってね、すごく良い匂いがするんですってぇ~あんたにそれが分かるのかしらね?狼のくせに化粧臭いし…」


「なあっ!?」


三毛猫姐さんのドラゴンの火炎放射が炸裂!女豹を直撃HP30ダウン!


「そう言うあんたはどうなのさっ!見たところ、ギリッドの番でもなさそうだし、どうせ独り者だろう!」


女豹が三毛猫姐さんの喉笛に喰らい付いた!


「あらぁ?お気の毒ですが、私ドラゴンの番の旦那と番ってもう530年になりますのぉ~可愛い子供にも恵まれてとっても幸せなんですよ~」


三毛猫姐さんは500才なんじゃなかったっけ?生まれ年より結婚歴が長いことになってるけど?


「…ぅく!」


女豹の敗北だった…女豹のHPはゼロだと思う。こういう方面のバトルは惨めになるからやめておいた方がいい…という典型的な例だった。


女豹は駆け出して逃げた。三毛猫姐さんの高笑いがモフモフ王国の入口で響き渡っていた。


後でシルバレーの叔父さんからお聞きした話では、女豹の番は実は人間の男だったらしい。それをどうしても認めたくない女豹は自分の体に他の雄の匂いを塗り付けて、本能から逃れようとしているらしい。


番を一度認識してしまうと、本能で求めてしまうから離れるというのは狼にとっては自死に近い。その人間の男性は結婚してしまい、別に家庭を築いてしまったと聞いて流石に私は、女豹に同情したり自業自得だと思ったり…番って何だろうかと考えたりもした出来事だった。


モフモフ王国ではルイド君達とシルバレーの叔父さん一家(美狼の従姉妹も居た!)にご挨拶をして里に一泊してから帰ることになった。


因みに一泊している間に魔物が現れたり、狼部隊が出動する事態は起こらなかった…実はモフモフ軍団に会いたくて徹夜で見張っていたなんて皆には内緒だ。


シルバレー商会に帰ると、出迎えてくれたお義父さんに調合方法を教えてもらったとご報告をしてから、一度スローティニア王国の両親の所へ顔を出した。


リエガー=リコランティス…私の父に、ドラゴンの治療術師のマルタエル様からお父さんに万能薬の作り方を渡して欲しいと言伝を受けたことを話すと、珍しくお父さんが目に涙を浮かべていた。


「魔術師として駆け出しの頃に薬術用の草の採取に山に入って魔物に囲まれた時に、マルタエルに助けてもらったんだ。怪我の治療をしてくれて薬草の事も教えてくれた。俺は治療術は使えないから同じ魔術師協会のその時は友達だった…ローズエッタに教えたい…とか話して、それから時々…本当に時々会うくらいだったんだけど…俺のこと憶えてくれていたんだな」


お父さんはしんみりしながら、巻物のマルタエル様の直筆の調合方法を見ていた。


さて万能薬の作り方は分かった。なるべく早く公表しないと世界中の治療術師、薬術師へ暴行や監禁が続いてしまう。


まずはスローティニア王国の国王陛下に了承を得て、それからマホーミッツ帝国の皇帝陛下の許可も取り、シルバレー商会とローズの魔道具店で『万能薬の作り方教えます』と大々的に発表をした。


勿論、世界中の魔法使いから調合方法を知りたいと問い合わせが殺到した。そして術師達はその素材リストを見て…大半のものが諦めているようだった。


スローティニア王国とマホーミッツ帝国では万能薬を作れた術師には多額の謝礼金を出すことを発表し、そして法外な値段の素材の闇取り引きに応じたり、希少素材を強奪したりそれに準ずる犯罪を犯すものは重罪に科すとの発表も併せて行った。


まずスローティニア王国ではリースベル=ナエリアシス侯爵子息の終身刑が発表された。調べた所、私以外にも複数人の治療術師を拉致し、恫喝や暴力を振るったりしていたらしい。


マホーミッツ帝国でも何人か逮捕されて、重罪の判決を受けていた。


そんな中、ローズの魔道具店は早々に告知を出していた。


『万能薬の調合方法は誰にでも開示します。素材を集めるのに苦労はしますが、当店で出来るだけ早く万能薬を作り、世に出します。誰に万能薬をお渡したかは、ローズの魔道具店では全て秘匿にします。そして当店を襲撃した輩は速やかに名前を公表し、当店ではその輩の一族の関係者には万能薬を販売しないことにします』


結構強気の告知だったが、それでも襲って来た馬鹿はいたのだ。


魔道具店の店先に襲撃されたその都度に貼り紙が出されて、他国の貴族、有名宝石店…おまけに同業者の治療術師が数名、最初の頃はひっきりなしに公表されていた。


馬鹿だな…これでこの人達は表立って万能薬を買えなくなって、闇で怪し~い万能薬っぽいものを掴まされながら泣く泣く買うしかなくなってしまったのだ。


この万能薬騒ぎでシルバレー商会と同じ同業種の素材卸屋さんは大儲けだった。シルバレー商会が率先して希少価値の高い素材を集め始めたので、同業種の人達も一斉に動き出したらしい。


鼻が利くってこういうことなのか?


抜け目のない人達は儲けて、焦って功を急いだ人は自滅していった。


そして私は今日もゴローデの石鹸作りに精を出していた。万能薬の素材はまだ集まっていない。残り二種類だと聞いている。


お義父さんの計らいにより、シルバレー商会で万能薬の製造に着手出来るのは私が一番最初になるそうだ。失敗は許されないよね…素材の無駄遣いが出来ないプレッシャーが半端ない。


「リレッタ~戻ったよ」


「おかえり~ルイド君」


ルイド君はシルバレー商会に籍を置いて素材ハンターとして活動を始めた。明日は万能薬の残りの素材の一つ、イサクリータと言う大型魔獣の捕獲に向う。


何でも、ごっじぃぃら位の大きさの魔獣なんだって、怖いね。


大きさ的に三毛猫さんとみつ豆さんに空中から攻撃してもらったら?と思ったんだけど、実はドラゴンって温厚な生き物なんだって。三毛猫さんくらい攻撃的なドラゴンは珍しいらしい。


魔獣捕獲に心配だから私もついて行きたいけど、攻撃力ゼロ下手すりゃマイナスの私が行っても足手まとい確実なので、ルイド君には治療薬をいっぱい持たせることにしている。 


「気をつけてね、無理しちゃ駄目よ」


私が治療薬をルイド君のショルダーバッグに詰め込んでいるのを横で見ながら笑顔で頷き、チュッチュッと私に口付けてくれる旦那様のルイド君。


このままなし崩し的に…は避けたいし、まだ日が高いし、とルイド君を引き離したいけど、ルイド君にトロトロにされた私は、そのまま捕獲に出発する朝までベッドの住人になったのだった。


この後、ルイド君視点の話があります。完結まで残り数話の予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ