次の犠牲者はイルーナにしよう
午後は砂浜でキャッキャウフフ。
ミラに寝てもらって、砂を被せて頭以外を埋めてみる。
「うーん、なんだか変な気分なのです……」
土に埋められるなんて普通ないもんね。
でもミラの力なら簡単に出てこれるはず。
だったら……ミラの上に乗ってやろう。
「えっ!? ドロシーどいた方がいいのですよ!?」
「どいてやんなーい♪」
ミラの土の上に覆いかぶさるように、寝っ転がる。
丁度けしからん乳脂肪分のある位置からミラの顔を見ると、慌てている顔が至近距離で見ることが出来る。
ふふふ、私に気を使ったのが運のつき!
「ルティエ、今ならミラに頬ずりとかヤリ放題よ」
「お、おおぉぉ!!」
「ちょっと待つのですーっ!」
歓喜の声を上げるルティエと、大慌てのミラ。
たまにはミラもいぢってあげないと、可哀想だもんねー。
「待つのですルティエ! 待っ──んんーーっ!」
なんだか頬ずりっぽくない湿った音が聞こえるけど、私は何も見ていないヨー。
ミラに被せた砂のほのかな熱が、とっても心地良い。
「ルーちゃん楽しそうだねー」
「い、いいのかなぁ……」
イルーナさんは、なんだか見てはいけないものを見るような目になっている。
大陸の方では馴染みがないんだろうか。
「イルーナさんも一緒にどうです?」
「えっ!? いえあのっ……え、遠慮しておき……ます……」
真っ赤になって俯いてしまった。
恥ずかしがりやの美人さんというのは良いですなぁ。
「ところでイルーナさんって、村に彼氏とかいないの?」
折角だから恋バナを振ってみる。
アイラさんは今頃ハッピーになってるハズだし、その親友であるイルーナさんにも何かしてあげたい。
決して恋愛沙汰でいぢりたいとか、そういう悪戯心じゃないよ? たぶん。きっと。絶対。
「い……いないですよ……」
おぉぅ、一気にどよ~んとしたよ。
イルーナさん程の見た目だったら問題ないと思うんだけどなぁ。
「もしかして村に良い人がなかなかいない?」
「いえ……男性率が低いのと、今いる大人の男性は全員既婚者なんです。そして子供は10歳未満です」
もの凄く悲しそうなイルーナさん。
たしかに相手が1人もいないんじゃ、彼氏とか無理よね。
10歳未満に手を出す少年趣味でもなさそうだし。
んー、ここは深入りしちゃおう!
面白そうだし。
「イルーナさんの好みのタイプってどんな人?」
「ええええぇぇぇっ!?」
「あ、それ興味あるぅ!」
「気になりますわィタたたっ!」
後ろから声がかかると同時に、メルルの手が私の水着の中に滑り込んできたから抓っておく。
油断も隙もない……。
「ところでミラが埋められて蹂躙されていますが……」
「うん? ……あぁ、ちょっと遊んでただけよ」
恋バナでちょっと忘れかけてたなんて言えない。
「それよりもあっちの作業はもう大丈夫?」
テーブルとイスを頼んでたからね。
「皆様のおかげでバッチリですわ。今日のところは終了して、この辺りで自由にしていただいておりますの」
焚火の場所や砂浜に数名ずつ男性陣がいる。
船から釣り竿までもってきちゃって、楽しんでるみたいねー。
よく見ると、メルルとセニアも水着になっているね。
メルルはなかなか際どい黒ビキニだし……。
セニアのほうは、ボディラインを強調しまくりの、胸元パックリ紺色ハイレグワンピース。
私には無理だ……こんな攻めた水着は無理だぁ……。
似合う似合わない以前に、恥ずかしすぎて着れない。
2人ともすごいなー。
「あ、これ紐で調整できるので、ドロシーにも着ていただけますわ」
「着ないよっ!!」
人が考えてる事を、ピンポイントで拒否しにこないでほしい。
「それでぇ、今度はイルーナさんの彼氏作りをするのぉ?」
「うん」
「そんな軽く言わないでくださいよー……」
この後テントに戻って、小一時間以上イルーナさんの彼氏作り会議をした。
好みのタイプは、そもそも異性との交流が少ないため分からなかった
筋肉じゃない事は確かだけど。
尋問まがいの事をしたりしたせいか、イルーナさんは恥ずかしさで放心してしまっている。
今度ケリー嬢が、屋敷の信用できる若い男性を紹介してくれるそうな。
よかったねイルーナさん。
さーて今から夕食作り!
メンバーは、ミラ&ルティエ、セニア、シーラさん、イルーナさん、アカリさん、海の男の料理担当グレイさん、そして私&アザレア。
「それではドロシー様、ご教授よろしくお願い致します」
「新たな魚料理は船員の活気につながりやす! よろしくお願いします!」
なぜかお料理教室みたいな流れになってるけど?
まぁ人数が多いから指揮に回ってみるのも良いかもしれない。
「今日は船長さんのリクエストでガッツリした体力のつくモノを作ります。しかも調味料さえ作っておけば時間はそこそこですが応用がしやすい結構簡単なやつです」
そんな説明に、アカリさんとグレイさんが特に大いに盛り上がった。
作業後とかに準備するのにはとっても良いからね。
レシピ本をパラパラっと見たところ、この料理は無かったから丁度良い。
「まずは担当をわけまーす」
私とシーラさんはタレ。
アザレアはサラダ。
セニア、アカリさんはお米と手伝い。
ミラ、イルーナさん、グレイさんはお魚の下ごしらえ。
ルティエはミラの移動と手伝い。
「タレですか?」
「ええ、特性の甘辛いタレを作ります」
このタレが今回の料理の要だからね。
「ライスは少し多め程度でいいよ、足りなかったらお魚で補充するから」
「はぁい♪」
「それで、メインとなるお魚はこれ!」
大きなウツボをドーンと台に置いた。
他にも数匹ある。
「ウツボは苦労するがかなり淡白だから、あんまり好きじゃないんだがな」
「そんなの料理次第ですよ、美味しくする方法があるので覚えちゃいましょう」
「おうっ! 楽しみだぜ!」
さーてやりますかっ!
お魚班にはウツボを三枚おろしにしてもらう。
その時硬い骨は抜いてもらうから、結構大変かも?
お米班は米を洗ってもらったら、庭で炊いてもらう事にした。
20人前以上って、さすがに場所を取るからね。
バーベキューとかするために、携帯コンロ作っておいてよかったね。
シーラさんとグレイさんの目が怖かったけど……あとで1個ずつあげよう。
「それじゃあタレを作りましょう。まずは米酒とミリンをお鍋にいれてアルコールを飛ばしまーす」
「ミリンの方が多いのですね」
「甘さとツヤを出す為ね。分量は大体、米酒1、砂糖2、ミリン3、ソイソース3程度。なんだけど、いろいろ試してオリジナルアレンジするのもいいかもね」
タレやソースの分量にはレシピはあっても、絶対的なルールなんて無い。
個人のオリジナルソースとかあると、かっこいいよね。
「そろそろアルコール飛んだかな。焦げないように注意してください。あとはソイソース、お砂糖を入れて、混ぜて沸騰させましょう」
お鍋から甘くて濃厚な香りが漂い始めた。
「おねーちゃん、すごくお腹空くよ~」
アザレアがテーブルの方でサラダを切りながら、笑顔でぼやく。
もうしばらくの辛抱だからねー。
「沸騰しました」
「あとは弱火でじっくり煮込みましょう。数分間で出来上がりです」
「簡単でしたね」
「保存のきく調味料だけで出来ているので、瓶や壺に入れておけばかなり長持ちします。船やキッチンに常備するのにもいいですよ」
「そりゃあいい! 使い道が多かったら船に常備するようにしよう!」
使いどころは多いけど、教えてないのに凄い食いつきだよグレイさん。
匂いがたまらないんだろうね。
お米班は炊いている間は暇が多いから、セニアが残ってアカリさんがお魚の手伝いに来た。
私はセニアと一緒に火の準備。
焼く量が多いからね。
庭に出て、石と木を積んで、前回のバーベキューの時に使っていた網を借りて設置。
それを8か所作って、下に携帯コンロを置く。
キッチンのコンロと違って、これは改良を重ねた『魔石外部接続型』。
魔石を本体にするのではなく、本体に魔石を繋ぐことで、一度に複数作る事ができるようになったお手軽品。
大昔にあった『カセットコンロ』という便利な道具を思い出して、これを発明したのだっ。
そんなわけで、今庭にあるコンロはなんと12個。
お米炊くのに4個も大鍋使ってるよ。
人数多いから仕方ないね。
準備している間に、サラダとお魚の作業が終わったみたい。
この料理のお楽しみはこれからだ!
作者に飯テロとはひでぇ小説だね




