ドロシー様大暴露パーティー
「そして少女は言いました。『私はドロシー、ただの魔女よ。』」
やあぁぁぁめぇぇぇてぇぇぇぇ!!
イルーナさん!? その話ちょっと盛ってない!?
それ決め台詞じゃなくて気を遣わせない為の挨拶なんだけど!!
そんな格好良く言った事ないよっ!
いやぁぁぁぁ……。
顔が熱い、頭とか関係なく私が沸騰しそう……。
「ハァ……おねーちゃんカッコイイ……♡」
ひぃ……みんなこっち見てるぅ……やだぁ……。
「そのカッコイイ方が今現在涙目でイモムシの様になってるのは、触れるべきでしょうか……」
むしろ見ないでお願い……。
口に蔓の先端を突っ込まれているおかげで鼻呼吸しかできないから、羞恥に悶えながら話を聞くことしかできない。
しくしく……早く終わって……。
「次はアタシが230年前、ドロシー様に救われたお話をしますわ」
ぅひぃっ!?
『わー☆』
ぱちぱちぱち
やだやだやだやだ!
メルルん時も確かヒーローっぽい助け方になってなかったっけ!?
思わず体をよじってしまう。
するとアザレアが私を見てる事に気が付いた。
……なんだか視線が熱っぽい気が。
チロッ
!!?
口の中に違和感が!
なでりなでり
突然アザレアが私の頭を撫で始めた。
嫌な予感がする……。
にゅる…
んっ! やっぱり!
口の中で蔓を動かし始めてる!
音を立てないようにゆっくりと……かなりネチっこい。
ど、どうしよう。
いやどうしようもない。
アザレア、やめて……。
目で訴えると、アザレアは優しく微笑んだ。
それは私にとっての絶望のスマイル。
音を立てないという事は、メルルの話もしっかり聞こえてしまうわけで……。
「せめてお名前だけでも!と必死でお願いしましたわ。すると『私はドロシー、ただの魔女よ。』そう言って、ドロシー様は颯爽と去って行ったのですわ」
ぱちぱちぱちぱち
耳から辱めを受け、口の中も蹂躙されて、もうどうしたらいいか分からなかった。
そして話が終わると、全員が私に注目する。
おねがいみないで……。
見られてるのにアザレアは蔓の動きを止めてくれない。
「あのぅ、ドロシー様は大丈夫でしょうか? なんだかピクピクしてらっしゃいますけど」
ケリー嬢が心配してくれてるけど……今はそっとしておいて欲しい。
絶賛蹂躙中の口なんか見られたくないし。
「せめてお口だけでも自由にしてさしあげません?」
っ! だめっ!
ケリー嬢の手が口を押さえる葉に伸び……
「やめた方がいいですわ、今手を出すと噛まれますわよ」
へっ?
メルルが助けてくれた……けど。
なんたがそれだと私が猛獣みたいじゃない?
ほらケリー嬢が怯えちゃってる。
「メルル様、噛み付くような凶暴なお方であれば、この後私達がどうなるか分からないのですが」
シーラさんが冷静につっこんでる。
私そんな事しないよ……。
メルルにはお仕置きしたいけど。
「ふふっ、そんな方ではありません、ご安心下さいまし♪」
うわぁ、メルルのあの笑み、嫌な予感しかしない……。
それにしても口の中が甘くなってきたような……。
あ、これアザレアの花蜜だ。
これ美味しいから、気分を紛らわせるのにいいかもしれないね。
ゴクッ
美味しい……アザレアは優しい子だから少し心配してくれてるのかな。
……頬を染めて息が荒いけど、心配してくれてるんだよね? ね?
「おねーちゃんのお話、もっといっぱい聞きたいの」
私の信頼をよそに、物凄い甘えた声でメルルへとおねだりした。
してしまった。
「リクエストにお応えしまして! アタシがドロシー様を探す為に調べ尽くした『悠久の魔女メモリーズ』を、時間の許す限り語り尽くしますわー!」
………………。
やっぱりいやあぁぁぁぁぁぁ!!!!
「 ───こうしてウルガダール王国の歴史は、たった4人の童貞君と、それを率いるドロシー様によって、幕を閉じました」
「いやぁ、まさか歴史で習った『ドーティの反乱』の名前の由来が童貞とはな……」
あれぇ? いつのまにかフランツさんたちがいるよぉ?
あーわかったぁ、みんなあまーいミツをなめなめしにきたんだねー。
うふふ、だーめ。
アザレアはわたしのものなの~。
「とっても勉強になりましたメルルさん!」
「イルーナさん、貴女とは気が合いそうですわ」
みんななかよしだねー。
いいこいいこ。
アザレアとミラがわたしのことみてるー。
どうしたのかなー?
「メルルさーん、ドロシーさんが恥ずかしさのあまり(心が)疲れてるみたいなので、家で休ませてくるのですー」
わたしがどうしたのぉ?
とってもおいしくてげんきだよー?
「分かりましたわ、その間に施設の案内をしておきますわ」
あーメルルがどこかいっちゃった。
ふぇ? アザレアどこいくの?
かえるんだね、うふふー。
「それじゃあアザレアちゃん、本気でお願いなのです」
「がんばるよっ♪」
なーに?
ちゅぽん
あっおくちのあまいのがとれちゃった!
「あーうーあまいのーあまいのー」
かえしてー。
「見事に幼児退行しちゃってるのです……やり過ぎなのです」
「おねーちゃん大丈夫かなぁ?」
「一度強引に寝かせればきっとなんとかなるのですよ」
「それじゃあやるね」
あざれあーあまいのーもっとー。
むちゅ……ぴちゃっ
んひひ……あまあま……
じゅるるるるる
「んんっ!?むうぅぅぅぅぅ~~~!!」
だめっ! おくちぐるぐるっ!
こわれるぅ!
「んーっ! んーっ!!」
なんでこんなことするのっ!
おかしくなるからぁっ!
「ん゛っっっ!!!」
あ……………。
「うわぁ、こんな一瞬で痙攣させてるのです……」
ミラがなんか言ってるけど、うまく聞こえない。
なんで私、家でこんな事になってるの?
「ぷはぁっ♡」
「ぁっ………」
とさっ
「おねーちゃん、今はひとやす───」
アザレアが何か言ってるけど、途中で私の意識は途切れた。
「──────」
ん……。
「───も───す」
何………。
「──これ────いじゅ────ま─」
誰かいる……?
もにゅっ
「ぁぅっ!?」
「あっ! 起き────のです!」
「いえ、まだで─────」
なに……してる…の?
もみもみ
「ひゃあっ!」
がばっ!
『あっ!』
なになにっ!?
なんなのっ!?
………………。
「あ、あれ? なんでみんな家にいるの?」
私の前にはいつもの3人の他に、シーラさん、ケリー嬢、イルーナさん、アイラさん、ミカゲちゃん、ミカゲちゃんの母、そしてスキュラの子がいた。
どういう状況なの?
「申し訳ございませんドロシー様。メルル様があまりにも褒めたたえるので、全員でドロシー様の胸を堪能しておりました」
…………………………へっ?
一瞬何言われたのか分からなくて、フリーズしちゃったけど。
下を見ると、私の服がはだけてる……。
「いっ、いやあああああああ!! 何してんの!? 寝てる間に何してくれてんのぉ!?」
初対面の人がいっぱいいるのにこれは無いっ!
なんで私ばっかりこんな目に……。
「ドロシーさんドロシーさん」
「なに!?」
ギロリ
「ヒッ……しゅ、主犯はメルルさんなのです……」
「あっ! シーラさんに続いてミラさんまで!」
…………そうなんだ。
「メルル」
呟いた瞬間、なんだか自分じゃないくらいドス黒い声に思えた。
「ハイッ!?」
「何かやり返したいんだけど……どういうのがいいと思う?」
「な、なぜアタシに聞きますの……?」
「アザレア、メルルを歩けるように捕まえてて頂戴。絶対に私の傍から離れないようにね」
「うん……ごめんねおねーちゃん……」
アザレアはあとでお説教。
メルルはお仕置きが決まるまで傍に置いてガン無視の刑。
シーラさん達にはもともと何かをするつもりはないし……。
夕食の準備を任せるだけにしよう。
「今は何も考えたくない……夕食まで寝る……あとよろしく」
昼から心を折られ続けていた私は、干し草の上で不貞寝することにした。
…………フーンだっ。