ドロシーの魔法のヒミツ
話が脱線し過ぎてよく分からなくなってきた。
軌道修正しないと……。
「アザレアはアルラウネだから、水魔法とは相性いいと思うよ」
「水魔法なの? おねーちゃんと同じ錬金術は出来ないの?」
私とお揃い希望とな?
うへへぇ……。
「ドロシーさん、顔がにやけてるのです」
「あ、えーっと。一番得意な魔法ってだけで、錬金術も出来るよ」
「そうなの? よかった」
「得意分野で慣れていけば、他の魔法も使いやすくなるからねー」
魔法を使うには自信をつけるのも必要。
そのため慣れることは大事な要素なのだ。
「まあその得意属性を調べるのも大変なのですけどね」
「そうなのです?」
ミラも知らない様子。
海中は水一択だから必要無かったのかな?
「どんな調べ方するの?」
「ドロシー様もご存知ないのですか!? ……魔法の分類の呼び名も知らなかった訳ですし、仕方ないのかもしれませんが……」
メルルは1人で渋々納得した。
「調べ方はそんなに難しくありませんわ。属性別の計測器に魔力を本気で流して、測定値が高かったら得意というものですわ」
「なるほど、面倒だけど単純だね」
ただしそんな計測器なんか、ここには無い。
得意というか、魔力操作による差を目で見る事ができればいいわけで……。
魔力が魔法の種類にどれだけ反応するのか……ね。
「よし、私がなんとかしてあげよう!」
「ほんと!? おねーちゃん!」
「任せて!」
アザレアの為にやってやろうじゃない。
「あぁ……またアタシの常識が崩される気しかしませんわ……」
メルルはなんだか不服そうだった。
「出来るのは明日か明後日の夜になるけどいい?」
「うん、たのしみー♪」
「あぁそんな簡単に……」
「私も楽しみなのです」
そんな訳で、今日のお勉強はここまで。
あとはゆっくりしようかなー……と思っていたら。
「ドロシーさんの魔法も見てみたいのです」
ミラがそんな事を言ってきた。
「え? よく使ってるし、昼も見せたじゃない?」
最近よく飛んだり壁作ったり水浮かせたりしてる。
「アタシも是非拝見したいのですわっ!」
「うひゃっ! なんでそんなに必死なの?」
「う〜…先程辱めにあいましたので、せめて1つ見たことのない魔法を……」
見たいだけかな。
うーん、でもなー。
「もうのんびりしたいんだけど……」
「そんなぁ」
悲しい顔されるけど、ちょっと疲れたよ。
「アザレアも、おねーちゃんの見たことない魔法、見てみたいな」
「それじゃあ、ちょっとした不思議魔法を見せてあげるね♡」
「わーい!」
「えっちょっ…ドロシーさまっ!?」
「あまりにも酷すぎる態度の急変を見てしまったのです」
ほっといて。
アザレアに頼まれたら断る選択肢など無い!
さーて、楽しい楽しい手品の魔法だよーっと。
「最初に私の魔法の簡単な説明をするわね」
なんだかお勉強の延長戦になったけど。
「今の魔法分類に当てはめるのは難しいから、分かりやすいオリジナルの単語を使っていくことにするわ」
「いわゆる固有魔法というものですわね」
「そうね」
流石メルル、頭の回転と切り替えが早い。
「私の最も得意な魔法は『錬金魔法』、周囲にある『質』を操り、様々な事象や物質を創り出す魔法よ」
「早速ワケがわからないのです……」
「質問したら1日では終わらないという事だけは分かりますわ……」
「きっと凄い魔法なんだね」
んー……分かりやすく……。
「今風に言うと、『全属性魔法』で通じるかな?」
「そんなとんでもない魔法ですの!?」
実際はもっと出来ること多いけど。
なんとなく分かったかもしれないし、実際に見せてあげよう。
「じゃあこの氷、これを色々していくから、見ててね」
手のひらの上に置いたミラの魔法で作った氷。
内部に魔力を注ぎ……氷が光り出した。
「……わっ?」
「あれ?」
「氷が光った!」
うんうん、本番はこの後。
ボッ
氷の上部から火が出た。
「こっ、氷が燃えていますわっ!?」
「ひゃっ!」
火はアザレアが怖がるから次いこう。
「氷が小さくなって……あれ?」
「上がモクモクしてるよ?」
「煙……じゃありませんわね、雲ですの?」
当たり、そして最後に。
「雲が固まっていくよ?」
「あっ、もとの氷になったのです!」
氷は一周回って私の掌の上に転がった。
「はいおしまい、どうだった?」
「なんかよく分からないけど凄かった!」
ぱちぱちぱち
アザレアは反応も純粋でいいなぁ。
一方メルルとミラは……。
「何がどうなっていますの……氷が燃えたり雲が出来たり……」
「燃えた筈の氷が帰ってきたのです……超常現象にも程があるのです……」
めちゃくちゃ頭を抱えていた。
仕組みが分からないとただの非常識な超常現象だよね。
これは魔法を使った化学の手品、プロパティを自由に動かせて初めて出来る面白テクニック。
まず、氷のプロパティである水素と酸素を氷の内部で摩擦。
するとスパークして電気になる、これが光の原因。
氷の中に電気があるから、そのまま氷を電気分解、酸素を上に、水素を横から逃す。
次に上の酸素を空気と摩擦させてちょっぴり燃やして氷が燃えているようにみせる。
火はフェイクで、上の空気の動きを止めて冷やし、水分を集めて雲にする。
氷が電気分解で消滅したら、火を消す。
最後に雲を固めて氷にしておしまい。
ね、簡単でしょ?
魔法が無くて科学が発達していた頃が懐かしいなぁ。
思い出にふけってたけど、氷持ってるから手がとっても冷たい。
……もういらないから外にポイ。
「はー、もうのんびりしていいよね。アザレア〜♪」
「はーい、窓の下にするね」
この家で初のアザレアベッドが広がった。
「床が木だからかな、なんだか良い気分かも」
木の床に草花のベッドというのも、なんだかオシャレかもしれない。
メルルとミラの2人はまだブツブツ言ってる。
「あったらしーいおーうちーで♪ おねーちゃんといっしょー♪」
アザレアがニッコニコで歌ってる、だめだこんな可愛い姿を見てたら変になっちゃいそう。
私はベッドに乗って、アザレアを間近で眺めていた。
可愛らしいピンクの髪、汚れのない緑の肌、つぶらな瞳、少女らしい滑らかな体、妖花族にはてっぺんが無いけどそこには確かな柔らかい控えめの膨らみ。
じっくり見てたら、なんだか熱くなってきちゃった。
困ったなーうふふ。
私が熱くアザレアを見てた事に気付いたのか、アザレアがこっちを見た。
途端に胸の中がキュンとした。
おっといけない、落ち着かなきゃ。
そう思った瞬間、アザレアが両手をこちらに伸ばし、おいでのポーズで───
「おねーちゃん、来て♡」
──マッハでイッた。
「うにゃっ!?」
例え一瞬であろうと、アザレアの魅力魔法に抗えるような私ではない!
私はアザレアの腰に左手を回し、体を密着させ、太ももの根元で挟みガッチリホールド!
そして右手を頭に添えて頬擦り準備もバッチリ!
完 全 密 着 ♡
ここまで1秒すら必要ない。
ああっ! なぜか着てる服が邪魔に感じる!
「お、お、おねーちゃん!? いつもより色んなトコがくっついて……ドキドキするよぉ〜!」
顔色を濃くして大慌てのアザレア。
うん、分かってるよ。
私も良い匂いのアザレアにクンカクンカしちゃう。
「んっ! やぁん…ほっぺグリグリし過ぎだよぅ……♡」
頬擦りすると、アザレアから甘い声が聞こえる。
あぁ……もう我慢出来ない。
いただきますっ!
私は頰を離し、顔を正面から近づけ……アザレアの口の中に舌を侵入させた。
「〜〜〜〜〜〜!!」
一切身動きができないアザレアが、腕の中でビクンビクンしてる。
このまま私はアザレアを蹂躙しつづけた。
──どれくらい経ったんだろう。
アザレアの体から力が抜けてからも、ずっと味わってた唇を離した。
「…………ぇへ……」
その目は力無く、しかし妖しくまどろみ、私の目を見ていた。
「………しゅき……」
そう言うと、アザレアは私の腕の中で眠りについた。
私は幸せそうなアザレアを優しく寝かせ……───
「ドロシー様ぁん♡」
「私達は相手してもらえないのですぅ?」
唐突に耳元で甘い声がした。
我慢出来なくて忘れてたけど、居たんだった!
「ご、ごめんね。お勉強頑張ったご褒美をあげてて……」
この言い訳はどう考えても、完全に失敗だった。
「アタシ達にもそのご褒美下さいましーっ!」
「ダメって言ってもいただくのですー!」
「ひあぁぁぁ〜〜んむぐぅぅぅ!!!」
この後、私が耐えきれず眠りに落ちるまで……いや、落ちた後も、私の口どころか顔中を蹂躙され続けたそうな……。




