無事に転生したよ!
2話目です。
もう少ししたら3話を投稿しますので、続きが気になるよという方はブックマークして頂けると嬉しいです。
「おっぱいがもみたいっ!」
「ふひゃあっ!?」
そう高らかに叫んだ僕だが、すぐ側で女の子の声が聞こえた。
その瞬間、自分が転生に成功した事がわかった。何故なら、転生魔法を唱えた時は1人で引きこもっていた自室だったからだ。他には誰もいない。
そしてそんな僕の近くで人の、それも1度も自分の部屋に招待したことの無い女の子がいるわけが無いという所から推測出来たわけだ。ちょっと自分で言って情けなくなってきた、ぐすん。
「ちょっと、ムー君! いきなり変な事言わないでよぅ!」
そう言って僕の事を責めてきたのは、何とも可愛らしい桃色の髪をした女の子だった。肩のあたりで切りそろえられたショートヘアで、目鼻立ちが非常に整っておりまるでお人形さんかと見違えるような美少女っぷりである。因みにバインバインだ。
「お、おっふ」
「ちょっと今度はなに変な顔してるの? 私、怒っちゃうよ!」
失敬、思わずおっふなんて反応が現実に、しかも自分で体験する事なんてあるとは思わなかった。しかし、それだけ容姿が優れているという事だ。語彙力が足りなくてすまない。
「な、なんでもないよ!? えーっと、ノエルちゃん!」
「本当に? どこかで頭打っちゃったりとかしてない?」
そう言って僕の事を心配してくれるのは、どうやら転生先の記憶によれば幼馴染みのノエルと言うらしい。家が隣同士で家族ぐるみで親交があるという。
あるという、とは僕は転生魔法の設定の段階である程度肉体が成熟してから前世の記憶が戻るようにしておいたのだ。え、理由? だって、赤ん坊から成長するのって面倒くさいじゃん。そもそもの僕のスペックが高いわけだから、赤ん坊の頃から教育を受ける必要も無いし、何よりオムツなんてしたくない!
と、そろそろ脱線した話を元に戻したい。
とにかく、僕はチーレム無双したいという大きな野望を持って転生したんだ。そして、早々に1人目のチーレム要員が手に入りそうだ。
そう! 美少女幼馴染みという異世界転生モノ御用達の存在が!
地球の両親には、枠に当てはまるようなつまらない人間にはなるなと育てられてきたが、テンプレ万歳! こんなに可愛い女の子が手に入るなら僕は何にも気にならないさ。
「だらしない顔してるよ。一体何考えてるの?」
「大丈夫。ちょっとトリップしてただけだから!」
「それ大丈夫じゃないよね? こわいよ……」
どうやら心の声は漏れずに済んだが、表情には出てしまっていたようで、ノエルちゃんが怪訝そうにしている。
「もう。明日から私たちも魔法学校に通う生徒なんだよ? ちゃんとしっかりしないと、メッだよ!」
「おぉ、そうっすね。気をつけるっす」
思わず砕けた敬語が出てしまった。
てか、メッ! とか言うの可愛すぎだろ!? こっちに顔を寄せてそんな事言ってくるもんだから一瞬良い香りがフワッと来たじゃないか!?
んー、くんかくんか、すー。
よし、もうちょっとちこうよれ。
「やだ、匂い嗅がないでよ! ムー君の変態!」
「オブゥッ!?」
バチコンッと思い切り音を鳴らして、僕の頬をはたくノエルちゃん。めちゃくちゃ痛いけど、これもこれでありかもしれない。
「今日はもう帰る! また、明日ね!」
ぷんすかと頬を膨らましながら帰っていくノエルちゃんだが、こんな事をしてもそう言ってくれるなんて、マジ天使。崇拝しちゃいますわ。
さてと、さっきノエルちゃんの口から出たように僕たちは明日から魔法高等学校に通い始めることになる。そこでは、あらゆる国から集まった人種、階級の人たちが分け隔てなく日々の魔法の研鑽に努める事を目的としている。
そこで、僕は前世の力と知識を利用して早々に成り上がってやろうという事だ。強くてニューゲーム最高。
「さて、明日は早いしそろそろ寝るかな」
前世の僕の意識が戻るまでは、どうやらこの自室でノエルちゃんと明日の入学式の事について話していてそこから他愛もない事で話し込んでいたようだった。
いよいよ300年越しに僕のチーレム無双が始まるんだ。
まずは幼馴染みのノエルちゃんから攻略していくとするかな!
そう考えながらベッドの中に潜り込むが、この興奮は冷めやらずしばらくは寝付くことは出来なかったのだった。
読んで頂きありがとうございました。