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暗闇の旅人-ボイジャー1号・2号-

人工天体擬人化小説「Satellite Children」シリーズ、スタートです!


今回は、2018年11月にボイジャー2号が太陽圏を脱出したと発表されたことを記念して、ボイジャー兄妹です!


ただひたすらに、太陽圏の外へと走り続ける、ボイジャー兄妹。40年以上頑張る彼らの日常を、ちょこっとだけ切り取ってみました。

 どこまでも続く、真っ暗な空間。自分の手元さえも、僕の頭についているヘッドライトがなければ許されない。なにもない。

 地球を出発して、もう40年以上が経った。当初のミッションである、木星と土星の探査はとうにクリアして、ただ、永遠に続く大宇宙の奥へ、いけるところまで向かうだけだ。

 ここ最近は、地球からたくさんのお祝いのメールを受け取ることが多い。どうやら僕は、地球からもっとも遠くの場所にいる、人工天体らしいのだ。

 もちろん僕には、そんな実感はない。こんなに何にもない空間なもんで、自分が進んでいるのか、止まっているのか、それすらも分からない。景色が変化しないから、何にも分からないのだ。

 時々、夢に見るのだ。僕はいままでずっとまっすぐ走ってきたつもりなのに、気がついたら冥王星に到着する夢を。今となっては惑星ではなくなってしまったらしいのだが、それでも、妹が訪れたことのない星を訪れるというのは、悪いものではないと思う。

 ピコーン

 メールの着信音が鳴る。手元の小さな端末が暗闇の中で光り、メールが来たことを知らせてくれる。

 地球からの定時連絡だろうか。たしかに、そろそろそんな時期だ。

 メールフォルダを開き、最新のメールを開く。タイトルは、「お兄ちゃんへ☆」。間違いない、妹からだ。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ヤッホー^^* 二号だよ☆


お兄ちゃん、この前のメールで太陽圏を出たって教えてくれたけども、やっと私も出ることができたよ*\(^o^)/*


この先も結局、なんにもないんだろうけれども、やっぱりなんか怖いなぁ(∩´﹏`∩)


でも、お兄ちゃんも、地球のみんなも頑張ってるんだなら、私もね頑張るよ✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。


じゃあ、またね(´∀`*)ノシ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 太陽系の外へと向かっていったのは、僕たちも含めて五人。ボイジャー兄妹、すこし先輩のパイオニア姉弟、そして、顔も知らない後輩ニュー・ホライズンズ。先輩二人とは、もう長いこと連絡が取れていない。今頃どのあたりにいるのか気になるところではあるが、僕たち兄妹が、こうして元気なまま太陽圏を脱出できたことを、まずは祝おうではないか。

 ニュー・ホライズンズがここまで来るのは、いったい何年後になるのだろうか。その頃まで、私たちが元気でいられる保証は、全くない。もしダメだとしても、仕方のないことだ。私たちは、人工天体としては十分に生きてきたんだから。

 さて、やることができた。僕は新しいメールを打ち始める。まずは、おめでとうと言ってあげよう。それから、僕の最近考えたポエムも送ってあげよう。彼女は、僕のポエムが大好きなのだから。

 それが終わったら、今日は眠ろう。今日は久しぶりに、異星人とお話をする夢を見てみたい。ここんところは後輩たちが頑張っている夢ばかりだからな。

 僕の意識がなくなっても、きっと異星人は僕を再起動してくれる。そしたら僕は、異星人に、地球のことを紹介するんだ。青い海のことを。青い空のことを。白い月のことを。眩しい太陽のことを。そして、僕を作ってくれた、人間のことを。

こんにちは。サユリです。


ボイジャー1号・2号は、1977年に打ち上げられた、NASAの惑星探査機の1つです。それから41年目にあたる2018年、ボイジャー2号がついに太陽圏から脱出し、ボイジャー1号に続いて、太陽圏を脱出した人工天体となりました。あまり詳しいことを書くと長くなるので、気になる方は調べてみてください(..;) ともかく、これだけ長い間運用が続いていることに、正直驚きを隠せません。もっと頑張れ!


次回は未定です。今どこそ、失踪だけはしたくないですね。


ではまた、他の小説でお会いしましょう。

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