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001/鈴をもたらした男たち

【キーワード】異世界/人外/異能力

拙作『わたしが鈴を知ったとき』https://ncode.syosetu.com/n1548eo/の別視点的な何か。

「届きそうで届かない何かがあったんだ」

「は?」


思わず聞き返す。

ヤツは寡黙な脳筋のくせに、時々妙に詩的なことを口走るから。


「多分、あそこ」


ヤツのごつい指が示したのは、切り立った崖の上の茂み。

それ以外見えない。


「見えないなら手は一つだな」


もう一つ、優男の声が割り込む。


「あれを、すっか? フィールドワーク」

「彼の直感は、信じたいからね」


大男の直感は最早能力の域だ。曰く、対象に近づくと生命体か思い浮かべた映像で読み取る異能を発揮する。けれど、距離があると漠然としたものしか視えないのだそう。

ただ、今回はフィールドワークが名ばかりになる。

何せオレの庭、生まれ故郷と言えば納得だろう。

閉塞で窮屈な集落だから、飛び出した。


あいつらは背中から翼が生え、空を舞える。それなのに、閉じこもりたがるんだ。まぁ、引き籠もり体質以外はオレも同じだけどな。

集落から出て、世間の常識や視線と、オレが持っていた物の乖離具合を知った。

言語体系がかなり異なるから、言葉が思うように通じない。挨拶や敬意の表し方も違った。それに加えて、翼を持つものに対する視線の鋭さが、故郷の頭でっかちを頑なにしたのだろうな。


そんなもの、大抵はオレの『眼』で跳ね除けてきたけど。


「ああ、辛そうだ……」


寡黙な大男が悲痛な声をあげた。


「崖の上に誰かいるのか?」


マッチョの肯首。


「思念からして、女の子。閉じ込められて、自らの行く末を嘆いている」


なんてこった。そんな娘がいたとは。

閉塞感の高さは承知だが、そんなことを……する奴らなんだな。周りが違うことを殊更に恐れて、自らの色に染め上げたがる連中なのだから。




崖の上には、茂みに隠されるように簡素な石牢が。

彼女が一体何をしたというのだ。

戸に鍵はかけられていない。出入りが優先されている。

となると、積極的な監禁というわけでもないのか?


「恐らくだけど、彼女……盲目だね」


戸の隙間から様子を伺う優男が、深い息とともに吐いた。


なるほど。


同胞は目の良さを競う。見た目もさながら、機能性──遠くを映し出すか──を。

盲目の時点で落伍者の印を押される。

屠られているのが常なのにこうしているということは、親が権力者の類なのだろうと。

そんな彼女の将来は、好事家のクソオヤジに売り渡される。

安易に想像つくから、反吐が出る。


「他には何かあるのか?」


盲目な彼女に対してオレの異能(邪眼)は機能しない。

他の二人に任せるしかなさそうだ。


「彼女は……とんでもないよ。未来が視える」


落伍者どころじゃない。未来視なんて同胞内で崇拝の対象だ。こんな扱いを受けるなんて。

そうか、おそらく連中は知らないのだな。


ならば、有効活用できる者が貰っても不都合はあるまい?

好事家オヤジのもとに送るには勿体無い。


優男が彼女と接触する。

異能持ちだから、食べ物が十分ではないのだろう。可哀想なほど細身だった。

先天的な盲目にもかかわらず、ある程度の教養がある。権力者の伽をさせるつもりだったのだろう。




彼女は、腹を決めたようだ。優男の誘いに頷いた。

見知らぬ野郎に乗るなんてとも思うけれど、彼女なりに葛藤した結果だと分かっている。何せ心まで見るからな、マッチョが。

腕も立つから彼女を愚直に守ってくれるだろう。

連中にとっては、扱いの難しい娘っ子が消えただけ。


明日はきっと元通り。

XXXさんには「届きそうで届かない何かがあった」で始まり、「明日はきっと元通り」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば10ツイート(1400字)以内でお願いします。

#書き出しと終わり

https://shindanmaker.com/801664

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